shiotch7 の 明日なき暴走

ビートルズを中心に、昭和歌謡からジャズヴォーカルまで、大好きな音楽についてあれこれ書き綴った音楽日記です

ちあきなおみ・これくしょん ~ねぇ あんた~ (Pt. 5)

2010-02-10 | 昭和歌謡
 いよいよ6枚組 CD BOX も最終回、今日も気合いを入れてちあきさんを聴いていこう。⑪「かなしい唇」はデビュー曲「雨に濡れた慕情」のB面で、当初はどちらをA面にするか決めかねていたらしい。結局地方興行で客の反応の良かった「雨に...」がA面に決定したとのこと。「長崎は今日も雨だった」を裏返しにしたようなこの曲も決して悪くはないが、やはり「雨に...」で大正解だろう。⑫「愛の荒野」は「モア・モア・ラヴ」のB面で、同名のTBSテレビ映画の主題歌だという。彼女が最も得意とするムード満点の歌謡曲で、咽び泣くサックスが実にエエ味を出している。
 ここからは未発表超お宝音源のアメアラレ攻撃だ。⑰「勇気を出して」はちょうど彼女が方向性を模索していた1971年3月の録音で、これがビックリするようなブギウギ歌謡(゜o゜) 思わず身体が動いてしまいそうなラグタイム・ブギウギ系ピアノをバックにノリノリで歌うちあきさんがめちゃくちゃカッコイイ!!! まるで70年代によみがえった東京ブギウギだ。私としてはこれだけでもこの CD BOX を買った甲斐があったと思っている。⑱「終景」は「喝采」と同時期の1972年6月録音で、作者も同じ。どちらかというと「喝采」よりも「禁じられた恋の島」に近い曲想だ。
 ⑲「喝采(英語ヴァージョン)」はライナーによると、レコ大受賞翌年の1973年にオランダ輸出用(!)にレコーディングされた音源で、本邦初公開。ここでしか聴けないウルトラ・レア・トラックだ。いやぁ~、ホンマに価値ある CD BOX ですわ。英語で聴く「喝采」っちゅーのも中々オツなモンですね~(^.^) ⑳「さとうきび畑」はNHK「みんなのうた」で放送された時の音源から CD 化したという、 BOX 制作スタッフ執念のトラックで、オリジナルは森山良子。ちあきさんの抑制された深~い歌声の吸引力は凄まじく、寄せては返す波のような “ざわわ ざわわ~♪” に吸い込まれていく。わずか2分15秒の短い歌の中に何と多くの感情がこもっていることだろう!第2次大戦で蹂躙された沖縄の人たちの哀しみがコワイぐらいに伝わってきて、何度聴いても目頭が熱くなってしまう。下手な反戦メッセージの何十倍もの説得力でちあきさんの一言一言が心に沁み入ってくるのだ。音楽聴いててよかったな... ちあきさんに出会えてよかったな... そう思える1曲だ。目を閉じて、青空の下に広がるサトウキビ畑が “ざわわ~♪” と風にたなびいている風景をイメージしながら聴いてみてください。
 ということで4日間にわたって6枚組のうち Disc-1と2の収録曲を聴きながら彼女のキャリアを振り返ってきたのだが、改めてちあきなおみという不世出の大歌手の素晴らしさを再認識できた。Disc-3と4ではスタジオ録音盤だけでは窺い知ることのできない彼女の別の一面を垣間見ることが出来るし、Disc-5と6のカヴァー曲に至ってはオリジナルが霞んでしまうような素晴らしい歌の数々を楽しめる。このように貴重な音源が一杯詰まったこの6枚組 CD BOX 、ちあきさんマニアに絶対の自信を持ってオススメできる究極の逸品だ!

勇気を出して


沖縄 さとうきび畑 ちあきなおみ

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