shiotch7 の 明日なき暴走

ビートルズを中心に、昭和歌謡からジャズヴォーカルまで、大好きな音楽についてあれこれ書き綴った音楽日記です

Back In Black / AC/DC

2009-04-20 | Hard Rock
 オーストラリアのバンドといえばメン・アット・ワークやインエクセス、リトル・リヴァー・バンドなどが思い浮かぶが、世界に通用するスーパースター・レベルのロック・バンドとなると私の知る限りでは1つしかない。ハードロックが “前時代の遺物” 的扱いを受け、イギリスではニューウェイヴ/パンク・ロックが、アメリカではディスコ/AORがそれぞれ全盛を極めていた70年代後半においてもその凄まじいまでのライブ・パフォーマンスでオーディエンスを圧倒し続け、更にリード・ヴォーカリストの不慮の死というバンド存続の危機をも乗り越えて80年代初頭にウルトラ・メガ・ヒット・アルバムを連発して全世界を制覇した偉大なるハードロック・バンド、AC/DCである。
 今私はあえて “ハードロック” という呼び方をしたが、“ヘヴィーメタル” と一体どこが違うねん?と思われた方もおられるかもしれない。人によってその定義は様々で曖昧なところもあるので一概には言えないが、私の中では「ブルースを基本にしたラウドなロックンロール」がハードロックで、「○イアン・○イデンや○ューダス・○リーストらに象徴される、超高音を強調した金属的な音が特徴のハイスピード・ロック」がヘヴィーメタル... もっと分かり易く言い換えれば、演奏がいくらハードでラウドになろうともメロディーや歌心を大切にしているのがハードロックで、どれを聴いてもみな同じに聞こえるただウルサイだけの騒音(ファンの方、ごめんなさい...)がヘヴィー・メタルだと思っている。
 AC/DCの音楽はブルースをベースにブギーのエッセンスを加えたストレートなロックンロールなのだが、他のバンドとの一番の違いは激しいヘッド・バンギングを誘発するリフ攻撃を主体とした縦揺れ型のグルーヴを得意としている点だ。ディープ・パープルを始めとする多くのブリティッシュ・ハードロック・バンドが起承転結のはっきりしたドラマティックな構成の中で延々と流麗なギター・ソロが繰り広げられるような定型パターンに則った演奏を展開するのに対し、AC/DCのロックンロールはプリミティヴなパワーでひたすら直線的に押しまくり、その圧倒的なノリで聴き手の身体を揺らしてしまうのである。これこそまさにロックンロールの原点と言えるのではないだろうか?
 彼らの最高傑作は何と言っても80年リリースの「バック・イン・ブラック」だろう。全曲ハガネのようにストレートなロックンロールで、まさに “シンプル・イズ・ベスト” を地でいくような名リフの宝庫なのだ。中でも強烈無比なドライヴ感を誇る④「ギヴン・ザ・ドッグ・ア・ボーン」の凄まじいノリは私の知る限り史上最強のハードロック・ナンバーの一つに挙げられるし、⑨「シェイク・ア・レッグ」の異常なまでのテンションの高さも圧巻だ。重厚な鐘の音に歪んだアルペジオが絡んでくるイントロを聴いただけで鳥肌モノの①「ヘルズ・ベルズ」のドラマティックな展開もたまらない。無駄な音を一切排し、隙のないハイ・テンションなサウンドに仕上げたロバート・ジョン・マット・ラングのプロデュース・ワークもさすがという他ない。
 このアルバムはアメリカ国内だけの売り上げでもマイコーの「スリラー」、イーグルスの「グレイテスト・ヒッツ」、ゼッペリンの「Ⅳ」、フロイドの「ザ・ウォール」に次ぐ第5位の売り上げを誇り、これが世界規模での総売り上げとなると「スリラー」に次ぐ第2位というからまったくもって恐れ入る。骨太なリフと鉄壁のグルーヴで全世界をヘッド・バンギングさせたAC/DC こそ史上最強のハードロック・バンドなのだ。

AC/DC - Givin The Dog A Bone


ACDC-shake a leg

この記事についてブログを書く
« War / U2 | トップ | Working Class Dog / Rick Sp... »