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shiotch7 の 明日なき暴走

ビートルズを中心に、昭和歌謡からジャズヴォーカルまで、大好きな音楽についてあれこれ書き綴った音楽日記です

麻丘めぐみ エッセンシャル・ベスト

2009-08-01 | 昭和歌謡
 1975年にビートルズの音楽との運命的な出会いをする以前の私は今とはまったくの別人でレコード・プレイヤーすら持っておらず、せいぜいテレビの歌謡番組で気に入った歌手や曲を聴いて楽しむ程度だった。当然特定のシンガーやグループにのめり込むようなこともなかったし、ましてや系統立って音楽を聴くなどとんでもなかった。今の姿からはとても考えられないことだが、音楽とはほとんど無縁の生活を送っていた。
 しかし今になって振り返ってみると70年代前半の邦楽というのは中々興味深いものがあり、70年代中盤から後半にかけての “昭和歌謡大爆発” への胎動期というか、黎明期というか、石を投げたら名曲に当たるというのは言い過ぎかもしれないが、とにかく宝の山みたいなモンで美メロの宝庫なのだ。
 そのことに気付いたのは2年前のこと(←いつもながら、遅いっ!)で、ツタヤの半額セールでたまたま借りた「青春歌年鑑」シリーズを聴いて目からウロコ、昭和歌謡のエッセンスを濃縮還元したかのような独特の世界にすっかり魅せられてしまったのだ。セコイ話で恐縮だが、「続・青春歌年鑑PLUS」シリーズも含め、70年代前半の音源を半額セールのリミット一杯の10枚まで借り切り(笑)思う存分コテコテの歌謡世界を堪能した。森山加代子の「白い蝶のサンバ」、山本リンダの「狙いうち」、金井克子の「他人の関係」、フィンガー5の「恋のダイヤル6700」、平田隆夫とセルスターズの「ハチのムサシは死んだのさ」etc... 懐かしの名曲アメアラレ攻撃だ。そんな中でダントツに良かったのが麻丘めぐみの「私の彼は左きき」だった。改めて言うのも恥ずかしいが、何というキャッチーなメロディだろう!そして何というキュートな歌声だろう!これはもう文句のつけようのない奇跡的な名曲名唱だ。コーフンした私は早速彼女のベスト盤「麻丘めぐみ エッセンシャル・ベスト」をオーダーした。
 まずはジャケットに注目、彼女の写真がこれ1枚だけ(廉価盤なのでしゃあないか...)というのは寂しいが、とにかくお姫様系アイドルの先駆としてのオーラが眩しいチャーミングなポートレイトだ。昨今の低俗茶髪ギャル系の連中とは異次元の可愛らしさで思わず彼女の写真満載のボックス・セットが欲しくなってしまうが、いかんいかん、9月にボックス・セット2つ買うし、そんなことしとったらBOX破産してしまうわ(>_<)
 さて、問題の中身である。①「芽生え」はいかにも清純派路線アイドル歌手のデビュー曲という感じのナンバーで、彼女の透明感溢れる初々しい歌声が楽しめる。筒美メロディーの魅力全開で、サビの “離れなぁいわぁ~♪” という彼女の伸びやかな歌声は一度聴いたら頭から離れないわぁ(笑)
 ③「森を駆ける恋人たち」は風雲急を告げるようなイントロからアップテンポで飛ばすメグたん(←おいおい!)がとってもキュート。ポール・リヴィア&ザ・レイダースの「キックス」みたいなイントロからアトランティック・レーベルあたりのソウル路線で突っ走り、要所要所を昭和歌謡の泣きのメロディでビシッとキメる展開は京平さんならではだ。
 ④「私の彼は左きき」はさっきも言ったように日本のアイドル歌謡史上一二を争う、時代を超越した大名曲だ。何よりも歌詞がユニークで面白い。一度聴いたら忘れられないだろう。そんな歌詞と超キャッチーな曲が有機的に結びつき、これ以上ないぐらいのチャーミングなアイドル・ポップスの完成だ。絶妙なタイミングで滑り込んでくるハンド・クラッピングといい、清涼感溢れるバックのコーラス・ハーモニーといい、細部に至るまで実に丁寧に作り込まれたサウンド・プロダクションも素晴らしい。それにしてもあの高中正義がギターを弾いてる(あんまり目立ってへんけど...)とは知らなんだ(゜o゜) YouTubeの映像貼っときましたが、振り付けもめっちゃカワイイなぁ(^o^)丿
 ⑤「アルプスの少女」はタイトルだけ辛うじて覚えていたが、 “ダメよ あぁの人に 見ぃられたら 恥ぁずかしいわぁ 恋してるぅ アルプスの少女~♪” のサビのメロディは一回聴いてすぐに思い出した。名曲は35年の年月を瞬時にして超えるということだ。それにしても彼女のイメージにピッタリのこんな曲を書き上げるなんて、京平さんの天才には脱帽する他ない。
 ⑧「悲しみのシーズン」はメグたんと京平さんの一連のコラボレーションのラストを飾るもので、初期の山口百恵あたりが歌いそうなネオ・アイドル路線的な曲想だ。それにしても、サビの “いいことも 悪いことも あなたが教えてくれたか~らぁ~♪” に秘められた女心のキメ細やかな描写には思わず息をのむ。「芽生え」から2年、「左きき」から1年でこの表現力だ。可愛いだけでなく、シンガーとしても着実に成長していることがよくわかる。ここぞとばかりに炸裂する絶妙なストリングス・アレンジも素晴らしい。
 この後、ライターが猫の目のようにコロコロ変わっていって曲想も毎回バラバラになり、筒美イヤーズのような高い完成度は望むべくもなくなってしまったのが本当に残念でならない。キャンディーズや山口百恵の時に書いたかもしれないが、アイドル歌手にとって何よりも重要なのは優秀なスタッフ、それも楽曲の方向性を決定づける様な斬れるブレーンの存在だということの証だろう。
 結局これだけ楽しめて1,000円ちょっとというのはホンマにありがたい。さすがにボックス・セットに2万円もよう出せへんから、せめて平山みきや弘田三枝子みたいに「筒美京平ウルトラ・ベスト・トラックス」とか、ザ・ピーナッツみたいに「麻丘めぐみ・レア・コレクション」とか出してくれへんかなぁ、それも出来れば超豪華ブックレット付きで...(^.^)

麻丘めぐみ「わたしの彼は左きき」

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