shiotch7 の 明日なき暴走

ビートルズを中心に、昭和歌謡からジャズヴォーカルまで、大好きな音楽についてあれこれ書き綴った音楽日記です

The Rockabilly Tribute To The Ramones

2010-10-20 | Ramones
 ラモーンズ・トリビュート大会第2弾はロカビリー、その名もズバリ「ロカビリー・トリビュート・トゥ・ザ・ラモーンズ」である。パンク・ロックとロカビリーと言うと一見ミスマッチに思えるかもしれないが、コレが中々エエ感じなのだ。そもそも “パンク” というと “安全ピンをアクセサリーに奇抜なファッションで身を包み、ライヴではオーディエンスに向かって唾を吐きながらワケのワカラン曲をムチャクチャに演奏する” というネガティヴなイメージばかりが先行してしまうが、70年代に入って長尺ソロだの変拍子だのと難解になってしまったロックへのアンチテーゼとして、躍動的なリズムとスピーディーなギター・リフで贅肉を削ぎ落としたシンプルで分かりやすいロックンロールを演奏しよう、というのが本来のパンク・ロックの原点なのだから、50年代スタイルのロカビリー・フォーマットでラモーンズをカヴァーするというのは、まさにラモーンズ・ミュージックの本質を鋭く見抜いた素晴らしい企画だと思う。
 ジャケットにアーティスト名が明記されていないのでタイトルから Various Artists によるトリビュート盤だと思っていたら、演奏はすべてフル・ブロウン・チェリーというアメリカのネオ・ロカビリー・バンドだった。彼らはこのアルバムの前に「ロカビリー・トリビュート・トゥ・AC/DC」という盤を出しており、2匹目のドジョウを狙った感がなきにしもあらずだが、出来としてはこっちの方が良い。ただ、ヴォーカルにジョーイのような強烈な吸引力がないので、アレンジがイマイチだと凡演になってしまうキライがある。これがブライアン・セッツァーのようなヤクザなヴォーカルだったら間違いなく名盤になっただろうと思う。
 まずはアルバム1曲目の①「ブリッツクリーグ・バップ」、ヴォーカルもバックのサウンドもエディー・コクランを彷彿とさせるバリバリのロカビリーだ。コレでつかみはOKといったところか。続く②「ロッカウェイ・ビーチ」、③「シーナ・イズ・ア・パンクロッカー」、⑤「シーズ・ザ・ワン」、⑥「ジュディ・イズ・ア・パンク」あたりはやや単調で今一つパンチが足りないように感じるが、④「クリーティン・ホップ」は思わず踊りだしたくなるようなノリノリのロックンロールになっていてめっちゃ気に入っている。
 このアルバムで一番ロカビリー化が成功していると思えるのが、ラモーンズでは異色のパワー・ポップ⑦「ザ・KKK・トゥック・マイ・ベイビー・アウェイ」だ。絶妙なテンポ設定が原曲の魅力を十分引き出していてロカビリーとしても十分楽しめるように思う。⑧「ティーンエイジ・ロボトミー」では重厚なドラムの乱打がインパクト大だし、ラモーンズ屈指の大名曲⑨「アイ・ウォナ・ビー・セデイテッド」もまるでエルヴィスが憑依したかのようなカッコ良いヴァージョンに仕上がっているのが嬉しい。
 シンプルの極み⑩「ドゥー・ユー・リメンバー・ロックンロール・レイディオ」では「エンド・オブ・ザ・センチュリー」のリマスター盤に入っていたデモ・ヴァージョンとの聴き比べも一興だろう。チビに一発...じゃなかった⑪「ビート・オン・ザ・ブラット」はやや平凡なトラックで、可もなし不可もなしといったところか。ラストの⑫「バップ・ティル・ユー・ドロップ」はあまりロカビリーに向いていないような気がするが、どうなんだろう?個人的には「サイコ・セラピー」あたりを火の出るようなロックンロールで聴かせてくれたら最高やったのに、と思うのだが。
 このアルバムはさすがに全曲聴いているとだんだん飽きてくるので、私のように気に入ったトラックを何曲かつまみ聴きするか、あるいはお気楽なパーティーの BGM なんかに使えばぴったりハマるように思う。

Rockabilly - Blitzkrieg Bop - Full blown cherry


Rockabilly - I Wanna Be Sedated - Full Blown Cherry


Rockabilly - The KKK Took My Baby Away - Full Blown Cherry

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