shiotch7 の 明日なき暴走

ビートルズを中心に、昭和歌謡からジャズヴォーカルまで、大好きな音楽についてあれこれ書き綴った音楽日記です

「ヘイ・ジュード」各国盤LP聴き比べ①

2016-09-18 | The Beatles
 前回は「ヘイ・ジュード」のUKオリジ盤入手の顛末について書いたが、そこに至るまでの何年もの間、ベストな音質の「ヘイ・ジュード」を求めて色んな国の盤を買いまくるという紆余曲折というか、まさにザ・ロング・アンド・ワインディング・ロードを彷徨い続けた。その結果、ウチのレコード棚には「ヘイ・ジュード」のLPが何枚も並ぶハメに...(>_<)  せっかくの機会なのでアルバム「ヘイ・ジュード」の各国盤聴き比べをやってみることにした。

①日本盤(AP-8940)
 私が最初に買った「ヘイ・ジュード」は当然東芝の国内盤である。当時はオリジナル盤の“オ” の字も知らず、歌詞カードが付いているというだけで嬉々として国内盤を買っていた。いや、それどころか “輸入盤は音が悪い” などという根も葉もない噂を信じていたのだから笑ってしまう。今から考えれば無知蒙昧そのもの(笑)だった。あれから40年経った今の私は逆に国内盤LPの音に対してはネガティヴな印象しかないが、今回の企画で久しぶりに聴き直してみた結果、この盤は良い意味で私の予想を裏切ってくれた。一言でいうとキレの良い、中高域を重視した音作りで、例えるならキングのブルーノート盤みたいな感じの音なのだ。もちろんUK盤を始めとする外盤に比べれば低音の迫力不足は如何ともしがたく私の好みの音ではないが、ヴォーカルはしっかりと鳴っており、いかにもオーディオ・マニアが好みそうな繊細で緻密なサウンドになっている。

②アメリカ盤(SW-385)
 私が友人の901さんの影響で本格的にビートルズのUKオリジナル盤を買い始めたのは十数年も前のことだが、アメリカ編集盤である「ヘイ・ジュード」アルバムは当時のイギリスでは発売されなかったこともあって、仕方なくUS盤を買うことにした。センター・レーベルのアルバム・タイトルが「Beatles Again」になっていてカタログ・ナンバーもまだ当初予定されていたSO-385のままになっている盤(←ジャケ裏右上の表記はSW-385に正されている)が1st プレスだ。カッティングはもちろんBell Soundで、エネルギー感に溢れたパワフルなサウンドが楽しめる。特に高域の切れ込みは文句ナシで、“元気溌剌” という形容詞がぴったりハマりそうなシャキシャキした音作りだ。ただ、UK盤の後に続けて聴くと高域がキツすぎて耳が疲れてしまうのだが、こればっかりは聴き手の好みの問題だろう。

③南アフリカ盤(PCSJ-149)
 このレコードは EMI1ボックス・ロゴのシルバー・パーロフォン・レーベルということで “ひょっとすると幻のUK 1stプレス盤に近い音が聴けるかも...” と考え、アホみたいな安さだったこともあって試しに買ってみたのだが、安物買いの銭失いとはよくぞ言ったもので、これがもう大ハズレ(>_<)  ジャケットが美しいフル・ラミネート・コーティングだったこともあって盤に針を落とすまではワクワクドキドキだったのだが(笑)、スピーカーから聞こえてきたのはノッペリした平面的なサウンドで、レンジが狭く各楽器の音が混濁しており、期待が大きかった分、ガッカリ感もハンパなかった。南ア盤はタイトルによって当たり外れが大きいとどこかで読んだことがあるが、「ヘイ・ジュード」に関する限りは間違いなく後者のようだ。ビートルズ・アナログ・コレクターの皆さんはくれぐれもご注意を!

④イスラエル盤(CPCS-106)
 南ア盤の失敗に懲りるどころか逆にムキになって再びEMI1ボックス・ロゴのシルバー・パーロフォン・レーベルに手を出したのがこのイスラエル盤だ。レコード番号もUK盤と同じ CPCS-106だしセンター・レーベルもそっくり(←左上部分に“STEREO & MONO” 表記があり、EMIマーク下に "MADE IN GT BRITAIN"表記がないのがイスラエル盤の特徴)、しかもマト枝番も-1/-1ということで “今度こそは!” と思ったのだが、届いたレコードのジャケットを見てまずガッカリ。ジャケット写真はオリジナルよりも紫がかった色調で画質も良くないし、もちろんノン・ラミネートの安っぽい作りだ。音の方も期待外れで、埃っぽくてヴォーカルが奥に引っ込んだかったるいサウンドにまたまたガッカリ。こういう生ぬるい音は生理的に受け付けない。まるで剛性不足の車でコーナーを回る時のフロントのぐにゃぐにゃ感みたいな不快さだ。今回の聴き比べ企画のために久しぶりに引っ張り出してきて聴いてみたがやはりダメなものはダメで、再び隣室片隅の “滅多に聴かない盤のコーナー” へと消えて行った。 (つづく)

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