shiotch7 の 明日なき暴走

ビートルズを中心に、昭和歌謡からジャズヴォーカルまで、大好きな音楽についてあれこれ書き綴った音楽日記です

Deface The Music / Utopia

2010-06-16 | Beatles Tribute
 先日マーサさんからいただいたコメントの中にトッド・ラングレンのバンド、ユートピアによるビートルズ・パロディ・アルバムの話が出てきた。「ディフェイス・ザ・ミュージック」(邦題:「ミート・ザ・ユートピア」←こっちの方が馴染みやすいわ...)と題されたこのアルバム、実は近いうちに取り上げよーかなーと思っていた矢先のことだったので、正直ちょっとビックリしてしまった(゜o゜) 何でわかってんやろ..???(笑)
 ということで今日は “馬ヅラの貴公子” 、じゃなかった “ロックの神童” “天才ポップ・クリエイター” ことトッド・ラングレン(←私が高校生の頃愛読していたミュージック・ライフや音楽専科では彼の馬ヅラ・ネタが結構多くていつも笑わせてもらってました... 確かに顔、長いです...笑)が率いるユートピアが1980年にリリースした「ミート・ザ・ユートピア」でいこう。
 このアルバムはスミザリーンズやチープ・トリックがやったようなカヴァーでも完コピでもなく、アレンジやサウンド・プロダクションにおいて随所にファブ・フォーの名曲のエッセンスを散りばめた純粋なオリジナル曲で構成されており、アルバム全体からビートリィな薫りが濃厚に立ち込める、非常に高度なパロディ・アルバムになっている。このアルバムが出た当時は今ほどビートルズ・パロディ盤は氾濫しておらず、ちょうど “イギリスのラトルズ” vs “アメリカのユートピア” みたいな図式だったように記憶している。
 まず目を惹くのが「ウィズ・ザ・ビートルズ」、じゃなかった「ミート・ザ・ビートルズ」の(←私はイギリス盤を聴いて育ったのでついつい「ウィズ...」と言ってしまうが、アメリカのバンドにとっては言うまでもなく「ミート...」なんよね...)ベタなパロジャケである。ジャケットというはビートルズ・パロディの重要な一要素だと思うが、私はアメリカのバンドらしいこのノーテンキさが大好きだ。
 ジャケット以上に私が気に入っているのが各曲につけられたおバカ全開の邦題の数々だ。当時の洋楽担当ディレクター氏が元ネタになった曲を原題に無理やりくっつけたような②「キャント・バイ・ミー・クリスタル・ボール(Crystal Ball)」や⑥「エイト・デイズ・ア・ウイーク・イズ・ノット・ライト(That's Not Right)」に始まり、シンセの似非ストリングスが生み出すチープな質感が耳に残る⑨「エリナー・リグビーはどこへ(Life Goes On)」やパロディーで終わらせるにはもったいないような美曲⑫「ミッシェルの微笑み(All Smilles)」なんかも面白いが、一番大笑いしたのが⑩「フィクシング・ア・ホール・イズ・ゲッティング・ベター(Feel Too Good)」... 元ネタになった2曲のタイトルをつなげただけという鬼のような合わせ技にはアホらしすぎて大笑いしてしまった(^o^)丿
 とにかくどの曲にも年季の入ったビートルズ・ファンならニヤリとさせられるような仕掛けが満載で、聴いててホンマに楽しいアルバムだ。私が一番好きなのはハーモニカにハンド・クラッピング、バック・コーラスに至るまで初期ビートルズの魅力を2分2秒に濃縮還元したような①「抱きしめたいぜ(I Just Want To Touch You)」だ。トホホな邦題もアレだが、何と言っても馬ヅラのビートル・スーツ姿(笑)が堂に入っているビデオ・クリップが最高だ。これでリッケンバッカーをかき鳴らすトッドがもう少しガニ又やったら完璧やねんけどなぁ...(^.^)
 ポップとアヴァンギャルドの狭間で絶妙のバランスを保ちながらアート・ロックとでも呼べそうなプログレ路線を体現してきたユートピアが、トッド・ラングレンの音楽の原点であるビートルズへのオマージュとして作り上げたこのアルバム、まさにトッド版 “マージービートで笑わせて” といった感じの1枚だ。

Utopia - I Just Want To Touch You

この記事についてブログを書く
« Masterful Mystery Tour / Be... | トップ | Tango & Beatles / Tango & L... »