shiotch7 の 明日なき暴走

ビートルズを中心に、昭和歌謡からジャズヴォーカルまで、大好きな音楽についてあれこれ書き綴った音楽日記です

レア盤シングルで聴く「ビー・マイ・ベイビー」カヴァー特集

2015-02-23 | Wall Of Sound
 私は基本的にアーティストよりも曲を中心に音楽を聴くので、気に入った曲のカヴァーは草の根を分けてでも探し出して手に入れるようにしている。CD化されている音源に関してはネット検索すれば簡単に見つけることができるので問題ないのだが、厄介なのはアナログ、それもシングル盤でしか聴くことのできないマイナーなアーティストによるカヴァー・ヴァージョンだ。そういったレア盤を見つけるのに役立つのが YouTube と eBay で、YouTube 検索で偶然見つけたのが前回取り上げたマーベルズだが、今日は eBay で検索して見つけた「ビー・マイ・ベイビー」のレアなカヴァー・ヴァージョンを3つご紹介したい。

①Georgettes
 ジョージェッツは1957年にEbbレーベルから「Love Like A Fool / Oh Tonight」(←何とあのエディー・コクランがギターで参加してます!!!)でデビューしたアメリカの3人組コーラス・グループで、中心メンバーだったリッキー・ペイジの夫の名前ジョージに “女の子たち” という意味を表す接尾辞 -ettes(←マーべレッツやコーデッツ、ロネッツなんかもみんな -ettesですね...)をくっつけてジョージェッツという名前にしたらしい。
 彼女らはシングルを数枚出したがヒットせず、その後自然消滅状態になっていたのだが、1963年にリッキーがナッシュビルに移り住んだのを機にジョージェッツの名前を復活させて、ヒット曲をリアルタイムで無名アーティストにカヴァーさせるカヴァー曲専門レーベル(←英語では Cover Factory “カヴァー工場” というらしい...)の HIT から当時大ヒットしていたロネッツの「ビー・マイ・ベイビー」のカヴァー・シングルをリリースしたというワケだ。
 で、そのジョージェッツ版「ビー・マイ・ベイビー」だが、リッキーの歌い方からバック・コーラス、その他諸々の器楽アレンジに至るまでロネッツのオリジナル・ヴァージョンを忠実に再現することを目指したカヴァーに仕上がっており、それが単なる完コピ・カヴァーではなくオリジナルへの愛情とリスペクトに溢れたキュートな王道ガール・ポップとして楽しめるところがいい。こんなん聴くぐらいならオリジナルを聴くよ、と言われればそれまでだが、私的にはこういうカヴァーも大いにアリだと思う。
The Georgettes - "Be My Baby"


②Suzanne Doucet
 ウォール・オブ・サウンドのファンはアメリカ、イギリス、日本にとどまらず世界中にいるようで英語以外の言語でもカヴァーされているが、ドイツ語のカヴァーではスザンヌ・ドゥーシェのヴァージョンが有名だ。日本では「私の可愛い子ちゃん」という邦題で(←本家ロネッツに付けられた邦題「あたしのベビー」にはワロタ...)UNIONレコードから「ソー・ロング・ソー・ロング」のB面として出されていたが、オリジナルは独Metronomeレーベルから1963年にリリースされたもので、タイトルは「Sei mein Baby」だ。
 一聴して感じたのはとにかくエコーが深いということ。いきなりイントロのドラムの響きからしてスーパーヘビー級で、“お風呂場エコー” そのものの強烈な残響音に度肝を抜かれる。しかもドイツ語というのはスウェーデン語と並んでキツく響く言語らしく(←モニカ・ゼタールンドのアルバムなんてまるでサディスティックな女の先生に叱られているみたいだった...)、原曲の “あたし(笑)の愛しい人になって” という甘酸っぱいセンチメンタリズムは雲散霧消し、“私の下僕におなりッ!!!” とムチでシバかれているかのような錯覚に陥ってしまう。ドMな音壁ファンに超オススメの逸品だ。
Suzanne Doucet, Sei mein Baby, Single 1963 (German Version "Be my baby)


③Les Surfs
 レ・サーフスは60年代にフランスの Festival レーベルから何枚もEP盤をリリースしたマダガスカル出身の男女混成黒人兄弟姉妹コーラス・ユニットで、この「ビー・マイ・ベイビー」以外にも同じロネッツの「ベイビー、アイ・ラヴ・ユー」を始め、ダスティ・スプリングフィールドの「二人だけのデート」やウィルマ・ゴイクの「花のささやき」、スプリームズの「恋はあせらず」、トイズの「ラヴァーズ・コンチェルト」、そしてビートルズの「ゼアズ・ア・プレイス」といった古今東西の名曲を片っ端からフランス語でカヴァーしまくっているのだが、このEP盤はスペインの HISPA VOXレーベルから1964年にリリースされた超珍しいスペイン語版「ビー・マイ・ベイビー」だ。
 イントロはエコー控えめのあっさり系ウォール・オブ・サウンドなのだが、 “シン プレグンタ キェネーラス メェ ナァモォレェ~♪” とスペイン語のヴォーカルが入ってくると何とも不思議な感覚に襲われる。これまで何百回何千回と聴き込んできた超愛聴曲だけに最初はこの違和感に戸惑ってしまったが、何度も繰り返し聴いているうちに意味の分からないスペイン語が脳内リフレインを起こし、気がつけば “トゥ セラスミ ベイベェ~ ソロトゥミ ベイベェ~ ベイベデミア~モ~♪” とサビメロを口ずさんでいた(笑) いやぁー、カヴァー・ヴァージョン探求って本当に楽しいですねー
Les Surfs - Tú serás mi baby (Be my baby)

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4 コメント

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Be My Baby 最高 (fab-for)
2015-02-23 20:18:00
shiotchさんこんばんは。
ロネッツファンでBe My Baby大好き人間として、とても興味深く面白く聴かせてもらいました。
いやーBe My Babyって本当にいいものですね。

あまりにいいのでshiotchさんのブログ記事を私のfacebookページで紹介させて頂きたいと思います。

カバーシリーズ続くのですか。
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モット キキタイ? (shiotch7)
2015-02-24 00:17:57
fab-forさん、こんばんは。
今回の特集はこの数か月間のシングル盤フィーバーの流れの中でたまたま思いついたネタだったんですが
同じロネッツ・ファン、ビマベビ・ファンであるfab-forさんに楽しんでいただけて何よりです。

そういうワケですのでシリーズ化も何も、
次回はガールグループ関係という以外、まだ未定なんですが、どうしましょう?
“春のビマベビ祭り” っていうのも面白そうですね。
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韓国の、、、 (fab-for)
2015-02-25 18:44:10
shiotchさんこんばんは。
shiotchさんの記事をfacebookで紹介されてもらいました。
メグミンさんが面白いといっていましたよ。
中村Pからはこんなのも教えて頂きました。
韓国のロネッツ(?)Barberettesです。

https://www.youtube.com/watch?v=3WOGRCy3wBw
https://www.youtube.com/watch?v=WEaGWsE-coQ
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色々あるんですねー (shiotch7)
2015-02-25 22:08:49
fab-forさん、こんばんは。
こんな偏差値の低いブログを音壁女王のメグミン様に読んでいただけたとは恐縮です。
でもこれからはあんまりエエ加減なこと書けませんね(笑)

韓国にも音壁リスナーがいたとはオドロキです。
ウォール・オブ・サウンドに国境なしですね。
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