shiotch7 の 明日なき暴走

ビートルズを中心に、昭和歌謡からジャズヴォーカルまで、大好きな音楽についてあれこれ書き綴った音楽日記です

Wings「Wild Life」の音質最強盤を求めて①

2019-05-01 | Paul McCartney
 ポールの、いや全てのビートルズ関連アルバムの中で最も過小評価されていると私が考えるのがウイングスのデビュー・アルバム「ワイルド・ライフ」だ。かく言う私も中高生の頃は “有名なシングル曲も入ってないし、何か地味なアルバムやなぁ...” と思っていたのだが、何度も聴き込むうちにすっかりハマってしまい、いつの間にか超の付く愛聴盤になっていた。特にこのアルバムのA面はリズミカルな曲が多くて何度聴いてもウキウキワクワクさせてくれる。
 私がビートルズ関連のUKオリジナル盤を買い始めたのは15年ほど前のことだが、その時に参考にした「Beatles' Vinyl Made in UK」という本の中で著者の和久井光司氏が「ワイルド・ライフ」の UK盤について “初版のマトリクス・ナンバーの末尾は A面が「‐1」で B面が「‐11」。B面は「1」を2度打ってしまったものと思われる。” と書かれていたので “へぇ~、そうなんや...” とその本の内容を盲信して(←まだ純真無垢なコレクターの卵でしたわ...笑)マト11の盤を eBayで買ったのだった。
 しかしいざレコードが届いてみると A面が「‐11」でB面が「‐1」と AB面のマトが逆であり、その後も「赤盤」「青盤」や「アット・ザ・ハリウッドボウル」、「マッカートニー」などで初版マトの間違いが数多く判明するにつけ、私の中で和久井氏の本の信憑性は著しく低下していったのだが、その極めつけがこの「ワイルド・ライフ」で、その後の調べでA面のマトが9の盤の存在を確認。こーなってくると和久井氏の言う「1を2度打ってしまった説」はどう考えても筋が通らない。
 私はこのマト9盤が欲しくなり、早速 eBayでチェックしてみたが待てど暮らせど出品される気配がない。そこで Popsikeで過去にどれほどの数が出品されたのかを調べてみたところ、2011年からの約8年間でたったの9枚、しかも2016年を最後にこの2年半ほどは出品すらされていないという激レア・アイテムであることがわかったのだ。このアルバムの人気の無さを反映してか、落札金額自体は£30前後なのだが、市場に出てこなければこちらとしても手の打ちようがない。
 そんな「ワイルド・ライフ」のマト9盤を実際にこの目で初めて見たのが他でもない B-SELSで、しかも泣く子も黙る Factory Sample盤である。当然ながらエサ箱ではなく壁面に飾ってあったのだが、欲しくて欲しくてたまらなかった私にとってはまるで後光が差しているかのような神々しさだ。当然私の心は激しく動いたが、さすがに超の付く稀少盤だけあって(←しかも盤質極上!!!)値段を見るとやはり桁が1つ違っており、貧乏コレクターの私にポンと払える額ではない。う~ん、これは実に悩ましい。
 悶々としながら家に帰った私は Discogsで「ワイルド・ライフ」の各国盤をチェック、UKマザーの盤をしらみつぶしに調べたところ、スウェーデン盤のマトが「9/1」であることを発見。これってもしかして...!(^^)!  しかも盤質 NMで値段の方も €15.99 とお買い得だ。これで UKマト9と同じ音が聴ければ儲けものと思った私は即買いを決めた。
 6日後(←早っ!)に届いた盤をワクワクしながらターンテーブルに乗せ、早速試聴。第1印象としては確かに高音質なのだが、どちらかと言うと高音が強調された派手な音作りで UK初版らしい重厚さに欠ける。 “ホンマにこれがマト9の音なんかいな?” と訝しく思った私はこの盤を B-SELSに持ち込んで(←いつもの展開...)本物の UKマト9盤と聴き比べをさせていただくことにした。 (つづく)

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