shiotch7 の 明日なき暴走

ビートルズを中心に、昭和歌謡からジャズヴォーカルまで、大好きな音楽についてあれこれ書き綴った音楽日記です

ビートルズ・ルーツ特集⑧Chuck Berry-5

2015-11-03 | Oldies (50's & 60's)
①Back In The USA [Chess 1729]
 この「バック・イン・ザ・USA」という曲は言わずと知れたビートルズの「バック・イン・ザ・USSR」のパロディー元ネタとして有名だ。原曲に出てくる “摩天楼” “ドライヴイン” “ハンバーガー” “ジュークボックス” を “ウクライナやモスクワの女の子” や “バラライカの音色” へと置き換え、“ジョージア”と“グルジア”を引っ掛けたポールの作詞センスはもう見事という他ないし、インドでの作曲時にインスピレーションを与えてくれたマイク・ラヴへのささやかなお返しといえるビーチ・ボーイズ風コーラスも最高だ(^.^) そう言えば “ビートルズはビーチ・ボーイズがチャック・ベリーのコピーをしていることのイミテーションをした” という趣旨の評論をどこかで読んだ覚えがあるが、言い得て妙だと思う。
The Beatles - "Back In The USSR" Mono


 チャック・ベリーのオリジナルは1959年にリリースされたものの折からのロックンロール退潮期と重なったせいか全米チャートでは37位までしか上がらなかったが、曲自体の出来は素晴らしく、ニューヨークやロサンゼルス、デトロイト、シカゴといった地名がポンポン飛び出してくるアメリカ賛歌として大いに楽しめる。バックの演奏もノリノリで、特にジョニー・ジョンソンのグルーヴィーなピアノなんかもう最高だ。このレコードはeBayで$9.99(約1,200円)でゲット、VG+表記だったので少し心配だったがプレイ・グレードはNMクラスでめっちゃラッキーだった(^o^)丿
CHUCK BERRY back in the usa tv 1959


 この曲のカヴァーは何と言ってもリンロン・ヴァージョンにトドメを指す。このノリ、このグルーヴ、最高ではないか! チャック・ベリーの黄金フレーズを見事に再現したダン・ダグモアのギター、コロコロと転がるようにスイングするドン・グロルニックのピアノ(←これホンマに凄いです!!!)、そしてパワフルな歌声を聞かせるリンロンと、まさに絵に描いたような名曲名演だ。
Linda Ronstadt - Back In The USA


 リンロンは1986年にセントルイスで行われたチャック・ベリーの生誕60年コンサートの時もゲスト出演して御大と共演しており、バックに回ってギターとコーラスを担当するキース・リチャーズも含めゴージャスな顔ぶれに圧倒される。御大がダック・ウォークでリンロンの周りをまわったり、歌詞の一節 “Just to be at home back in ol' St. Louis♪” で大盛り上がりするオーディエンスの様子など、この曲は映画「ヘイル・ヘイル・ロックンロール」の中でも大好きなシーンの一つになっている。
CHUCK BERRY, KEITH RICHARDS, ROBERT CRAY - Back in the U S A


②Let It Rock [Chess 1747]
 この曲を初めて聴いた時は一瞬「ジョニー・B・グッド」のセルフ・コピーか何かだと思った(笑) チャック・ベリーの曲には似通ったものが多く、例えば「メイベリーン」と「サーティー・デイズ」のバック・トラックなんてほとんど同じリズムだし、「スクール・デイズ」と「ノー・パティキュラー・プレイス・トゥ・ゴー」の2曲はまるで一卵性双生児と言ってもいいぐらいそっくりだ。前回取り上げた「リトル・クイニー」と「ラン・ルドルフ・ラン」に至っては歌詞が違うだけで全く同じ曲である。極論すれば、チャック・ベリーはいくつかのお気に入りフレーズを組み合わせて曲を紡ぎ出していくのだが、私は彼のフレーズが全部好きだから、出るたびに “あっ、また出た(^o^)丿” といって喜ぶのである。だからこの「レット・イット・ロック」も「ジョニー・B・グッド」のオルタネイト・ヴァージョンとして何も考えずに楽しんでいる。尚、このシングルはアメリカのレコ屋からの一括購入でVG++盤を$9.00(約1,100円)でゲットした。
Chuck Berry - Let It Rock (1960)


 数ある「レット・イット・ロック」のカヴァーの中ではストーンズのヴァージョンが断トツに素晴らしい。これは71年のスティッキー・フィンガーズ・ツアー時のリーズ大学でのライヴ音源で、シングル「ブラウン・シュガー」のB面に収められていたものだが、バック・トゥ・ザ・ルーツを標榜していたこの時期のストーンズらしいストレートアヘッドな演奏がチョーサイコー(≧▽≦) 特に水を得た魚のようにチャック・ベリー・フレーズを弾きまくるキースのノリがハンパない。やっぱりストーンズはこうでなくっちゃ!
ROLLING STONES - Let It Rock (Mono Single Version)


 ストーンズ以外ではヤードバーズのヴァージョンも好きだ。63年のライヴ音源でヴォーカルの弱さが玉にキズだが、バリバリ弾きまくるクラプトンのギターが聴けるだけでもこのレコードの価値がある。クラプトンは誰が何と言おうとラウドなギターをガンガン弾きまくっている時がベストなのだ。
Yardbirds- Let It Rock

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