shiotch7 の 明日なき暴走

ビートルズを中心に、昭和歌謡からジャズヴォーカルまで、大好きな音楽についてあれこれ書き綴った音楽日記です

ちあきなおみ リサイタル

2010-02-11 | 昭和歌謡
 私は日本で最高のシンガーはちあきなおみさんだと思っている。ただ単に歌が上手いというだけでなく、表現者としても他の追従を許さない孤高の存在であり、更にエンターティナーとしても超一流だ。それを確信したのは NHK「ビッグショー'77」出演時のステージ映像を YouTube で見てからで、約35分にわたるその超貴重な映像が7分割してアップされており、ちあきさんファンは必見なのだが(←下に2と4を貼っときました)、それらを見て思ったのは彼女は単なる歌謡曲の歌手とは激しく一線を画するジャズ・シンガー的な資質を持っているということ。レコードでの歌唱をステージで再現するという発想ではなく、ライヴならではの斬新な表現方法で歌に新たな魂を吹き込んでいるところなんかアニタ・オデイあたりのステージを彷彿とさせるものがある。これら一連の YouTube 映像を見て、ちあきさんの本当の凄さはライヴにあり、と確信した次第。ということで、ちあきなおみウイークの最終回は「ちあきなおみ リサイタル」でいきたい。
 彼女の残したライヴ盤は3枚あるが、選曲・アレンジ・音質のすべての面において私はこの「ちあきなおみ リサイタル」がベストだと思う。これは1974年10月に中野サンプラザで行われたコンサートの模様を収録したライヴ盤で、編曲は何とあの宮川泰氏だ。74年10月といえばちょうど「円舞曲」リリース後に体調を崩し「かなしみ模様」で復帰した直後なのだが、とても病み上がりとは思えない充実した内容だ。
 Disc-1ではまずヒット曲をそれぞれ2分程度にアレンジしてメドレー的な処理で一気呵成に聴かせる②「雨に濡れた慕情」~③「私という女」~④「夜間飛行」~⑤「四つのお願い」に圧倒される。良い曲と良い歌手の出会いを天才アレンジャー宮川泰氏が演出するという、これ以上ないステージだ。更にこのリサイタル用に書き下ろされた①「私はこうして生きてきました」と⑥「イロケの歌」も素晴らしい。①は彼女の半生を綴った歌詞を本人が情感を込めて歌っているし、⑥は彼女のコミカルな一面が垣間見れる貴重なナンバーだ。彼女のトークもめっちゃ面白い(^o^)丿
 シャルル・アズナヴールのカヴァー⑦「帰らざる青春」はザ・ピーナッツがラスト・コンサートで涙ながらに歌った忘れがたいナンバーだが、ちあきさんのヴァージョンはベテランのシャンソン歌手が自らの人生を振り返りながらオーディエンスに歌いかけているような深い味わいがある。宮川先生のドラマティックなアレンジも含めて、パリのオランピア劇場あたりが似合いそうなトラックだ。大好きな⑪「別れたあとで」はスタジオ録音ヴァージョンよりもジャジーなアレンジがめちゃくちゃカッコイイ(≧▽≦) ⑬「そっとおやすみ」ではカーペンターズの「クロース・トゥ・ユー」そのまんまのイントロから入るユニークなアレンジに宮川先生の遊び心が感じられて楽しい。
 Disc-2でまず度肝を抜かれたのが①「裏窓」だ。タイトルも違うし日本語詞がついていたので全くノー・マークだったのだが、このメロディー、どっかで聴いたことあるなぁ...と思ったら何と私の大好きなスタンダード・ソングの「ブルー・プレリュード」だった。まさかちあきさんの歌声で「ブルー・プレリュード」が聴けるとは!!! ちあきさんに関しては驚かされることばっかりだ(^.^) 
 8分近い大作④「ねぇあんた」はもう歌という次元を超越している。女の哀しみをコワイぐらいにリアルに表現する彼女の歌は聴いていて胸に突き刺さってくる。「夜へ急ぐ人」といい、この曲といい、他の誰にも真似のできない圧倒的な吸引力で、まさにちあきさんの真骨頂だ。⑤「円舞曲」は原曲よりもかなりゆったりとしたテンポで曲を慈しむように歌う。普通の歌手なら間が持ちそうにないところを絶妙なヴォイス・コントロールでこの曲の新たな魅力を引き出している。う~ん、コレにはもう参りましたという他ない。そして圧巻なのはショーのエンディングへ向けて大盛り上がりを見せる⑧「劇場」~⑨「バラード」~⑩「喝采」と続く一連のドラマティック歌謡3連発だ。⑧の絶唱はスタジオ・ヴァージョンを凌駕する素晴らしさだし、歌謡曲とは思えないような垢ぬけたアレンジの⑩を聴き終えた後のカタルシスは、エルヴィスのラスヴェガス・ライヴに匹敵するモノがある。これは70年代ちあきさんの白眉と言える出来だろう。
 彼女が一切の活動を停止してからもう18年もの月日が流れた。その間にもCDは売れ続け、私のような新しいファンが増えている。彼女の評価はその復活を願う声に比例するかのように年々高まっている。生きたまま伝説となった感のある大歌手、ちあきなおみ... 多分もう復帰はないだろうが、彼女が私たちに残してくれた歌の数々が放つ輝きは永遠に不滅なのだ。

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