shiotch7 の 明日なき暴走

ビートルズを中心に、昭和歌謡からジャズヴォーカルまで、大好きな音楽についてあれこれ書き綴った音楽日記です

Sgt. Pepper Live / Cheap Trick

2010-06-12 | Beatles Tribute
 前回、前々回と2回にわたってスミザリーンズのビートルズ・カヴァー集を取り上げてきたが、ビートルズ・マニアのバンドの元祖といえばイの一番に思い浮かぶのがチープ・トリックだ。彼らはデビューした時からビートリィな雰囲気を湛えたバッドフィンガー路線のサウンドだったし、本家ビートルズの曲も「マジカル・ミステリー・ツアー」や「デイ・トリッパー」をカヴァーしており、ビートルズ直系バンドの筆頭格だったが、何といってもジョン・レノンの復帰作「ダブル・ファンタジー」のセッションに参加(←結局ボツになって「ジョン・レノン・アンソロジー」に収録されたけど...)しているのだからこれはもう筋金入りのビートルズ好きと言っていいだろう。
 私とチートリとの出会いは1978年のこと、ラジオから流れてきた「サレンダー」の絶妙なポップ感覚がめちゃくちゃ気に入り、この曲の入った彼らの 3rd アルバム「ヘヴン・トゥナイト」を買いにレコード店へ走ったのを覚えている。それか半年ぐらいして例の「アット・ブドーカン」で大ブレイク、翌79年に出たアルバム「ドリーム・ポリス」ではA面トップの疾走感溢れるタイトル曲とB面トップに置かれためっちゃビートリィな「ヴォイシズ」が彼らのアイデンティティーを強烈に主張していた。その後彼らはスランプに陥るが1988年のアルバム「ラップ・オブ・ラクジュアリー」で完全復活、見事全米№1になった「ザ・フレイム」はF1中継時のブリヂストンのCMで耳にタコが出来るくらい聴いたものだったが、90年代以降は私が洋楽ロックと絶縁したこともあって彼らの名前を聞くこともなくなっていた。
 この「サージェント・ペパー・ライヴ」はそんな彼らが2007年の8月に「サージェント・ペパーズ」発売40周年を記念して行ったコンサートの模様を収録したライヴ盤で、ニューヨーク・フィルハーモニック・オーケストラを始め様々なゲスト・ミュージシャンを起用してあの「ペパーズ」のアルバムの完全再現にトライしているのだから買わずにはいられない(笑) 実際に聴くまでは “「ウィズイン・ユー・ウィズアウト・ユー」のインド音楽どーすんねんやろ?” とか “「ア・デイ・イン・ザ・ライフ」のクライマックスはどーなるんやろ?” とか、色々と想像出来て楽しかった(^.^)
 この盤を聴いた第一印象は、特に奇を衒うこともなくオリジナルに忠実なアレンジで真正面から「ペパーズ」に取り組んでいるということ。だから演奏だけで判断するならオリジナルと比べるだけ野暮というもので、私としてはこの “ライヴでアルバム丸ごとコピー” という大胆なアイデアを買いたい。「ホワイト・アルバム」を曲順にカヴァーした(←前代未聞ですね!)フィッシュのライヴ盤同様、ビートルズ・ファンとしては “おたくら、ホンマによぉやりまんなぁ...(^.^)” という寛大な気持ちで接するのが正しいと思う。それに、この後でオリジナルを聴くと改めてビートルズの凄さ、偉大さ、素晴らしさを再認識できるという効用もある。
 1曲目のタイトル曲からロビン・ザンダーが絶叫する “チートリ流ビートルズ” のオンパレード。特に③「ルーシー・イン・ザ・スカイ」はライヴなのにタンブーラみたいな音まで聞こえるという入魂のサウンド・プロダクションがインパクト大で、トムのベースが唸るところなんかも大好きだ。この曲のカヴァーでは三指に入る名演だと思う。⑦「ミスター・カイト」、⑨「ホエン・アイム・64」、⑩「ラヴリー・リタ」の3曲は何故かゲスト・ヴォーカリストがリードを取っていてちょっとユルく感じてしまうが、ヴォーカルがロビンに戻ると途端にロック色が濃くなり演奏のテンションが上がるところは流石という他ない。事前に興味津々だった⑧「ウィズイン・ユー・ウィズアウト・ユー」はシタール全開でカヴァーしておりその徹底ぶりには頭が下がるし、曲が終わった後に拍手と共にオーディエンスの感嘆の声が聴き取れるのが面白い。
 圧巻はやはり⑬「ア・デイ・イン・ザ・ライフ」だろう。ロビンの年季の入ったヴォーカルといい、リンゴが憑依したかのようなバーニーのドラミングといい、さすがは元祖ビートルズ・マニア・バンドである。オーケストラ・パートはライヴではこれが限界なのだろう。ミドル・パートも巧くまとめられており、後半部に入る3分24秒あたりからの加速感へとつながっている。そしてアンコール(?)は⑭「メドレー・ソング」と題して「アビー・ロード」から「ゴールデン・スランバーズ / キャリー・ザット・ウエイト / ジ・エンド」だ。何だか気に竹を接いだような感は否めないが、もし自分がライヴの会場にいたらきっと大喜びしていただろう(笑) でもどーせここまでやるなら、エンディングでリック・ニールセンあたりにインナーグルーヴの逆回転呪文(?)を叫んでほしかったなぁ...(^.^)

Sgt Pepper Live- Lucy in the Sky With Diamonds/ Getting Better


Sgt Pepper Live -A Day in the Life

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