shiotch7 の 明日なき暴走

ビートルズを中心に、昭和歌謡からジャズヴォーカルまで、大好きな音楽についてあれこれ書き綴った音楽日記です

【超絶アクション】ジョン・ウィック:チャプター4【大興奮】

2023-10-06 | TV, 映画, サントラ etc
 「ジョン・ウィック:チャプター4」を観に行ってきた。ちょうど日本公開日が9/22(金)だったので、早く観たいけれど人間嫌いの私は(←映画館で他人が横におるのがすごく嫌...)土日明けの25(月)のレイト・ショーで鑑賞。あれからもう10日以上経つが、未だに興奮冷めやらずといった感じで、USアマゾンで取り寄せたブルーレイ(←9/25の晩に帰ってすぐ注文してからたったの1週間で届いたのにはビックリ...)をほぼ毎晩繰り返し観ているし、車の中ではブルーレイから抽出した音声をエンドレスで聴きまくっていて(→銃撃音がハンパないので信号待ちで停まった時とか、さすがにちょっと恥ずかしい...)、気分はすっかりキアヌ・リーブスだ。というワケで今日は「ジョン・ウィック4」の感想・考察を書いていこうと思う。
 この映画は3時間近い長編で、しかもアクション・シークエンスが質・量共にハンパない。とにかくこれでもかとばかりに次から次へと凄まじい戦闘シーンが連続して出て来るので、普通の神経をした人なら感覚が麻痺してしまうかもしれない。因みにジョン・ウィック・シリーズの死者数を数えた動画がYouTubeにアップされているのだが、それによると「1」が84人、「2」が118人、「3」が84人、そしてこの「4」は過去最多の178人というのだからこれはもう凄いとしか言いようがない。又、IMAXで見たおかげで凄まじい銃撃音や爆音をリアルに体感することができて大満足。これから観ようという人には IMAXで観ることを強くオススメしたい。
 このジョン・ウィック・シリーズの原点である「1」はいわゆるひとつの “ナメてた相手が実は殺人マシンでした...”型映画の王道を行く作品だったが、その続編である「2」「3」ではその “殺し屋ワールド” をどんどん拡張していく方向に舵を切ってマンネリ化を防ぎ、敵がどんどんスケールアップしていく中で懸賞金目当ての殺し屋たちに命を狙われながらも一撃必殺で返り討ちにしていくという痛快な展開が超胸熱! 「3」のエンディングを見た私は、ジョンがここからどうやって主席連合(←世界有数の犯罪組織が結びついて出来上がった巨大な闇組織)にリベンジし、どのように決着を付けるのかワクワクしながら新作の「4」を待っていた。
 主席連合に対するジョンの復讐劇は「3」で彼の指と指輪を奪った首長(主席連合のトップ)へのお礼参り(!)からスタート。首長役がアラブ人らしいミステリアスな雰囲気を上手く出してた前回の俳優さんとは違っていたのが残念だったが、絵に描いたような “眉間に一発” で仕留めて観る者のワクワク感を煽っていくところはさすがという感じ。どうせなら「3」に出てたあのクソ生意気な裁定人の女にもリベンジしてほしかったところだが、そんなことしてたら3時間を超えてしまうか...(笑)
 NYコンチネンタル・ホテルの爆破やウィンストンのコンシェルジュだったシャロンの射殺というショッキングな展開で敵役のグラモン公爵の冷血ぶりを描いた後、舞台は前半の山場というべき「大阪編」へと移る。そこでは大阪コンチネンタル(→「初志貫徹」のネオンサインや夜桜のライトアップにワロタ...)の支配人シマヅ役の真田広之がめっちゃ存在感があって、何度観ても惚れ惚れする。特にジョンの “メイワクカケテ スマナイ” に対する “Friendship means little when it's convenient.(困った時こそ大事なのが友情だ)” には痺れたし、ホテルに乗り込んできた敵を迎え撃つ時に “お客様のご到着だ。おもてなしの準備を。” と部下に指示するところや、敵と対峙して緊張感が極限まで高まる中、“撃て!”と叫ぶ姿も超カッコ良かった。又、ガードがスモウレスラーで武器が刀・弓矢・手裏剣と、いかにも “外国人が考えそうな日本” 的要素が満載なのも面白かった。
John Wick 4 – Friendship means little when it's convenient

John Wick 4 - High Table invades Osaka Continental 

 シマヅの娘アキラ役の女優さん(リナ・サワヤマ)もキレッキレの動きで見応え十分! 銃だけでなく弓矢やナイフを駆使して自分よりも遥かに体格で勝る敵を仕留めていく様は痛快そのもので(←彼女のスタントダブルを演じた伊澤彩織さんのアクションも凄かった...)、特に必死で逃げようとする大男に馬乗りになって背中をナイフでメッタ刺しにするシーンは鬼気迫るものがあった。この人凄いなぁ... と感心して後で調べてみたら、本業は何とイギリスで活躍するシンガー・ソングライターで、メタリカのチャリティー・トリビュート・アルバムに参加して「Enter Sandman」をカバーしているというのだからビックリ(゜o゜)  これが女優初挑戦ということを頭に入れてもう一度あの凄まじいアクション・シーンを見ると驚倒すること間違いなしだ。
John Wick 3: Osaka Hotel Scene 2


 盲目の腕利き殺し屋ケイン役のドニー・イェンの演技も光っていた。ドンパチのさなかにまるで他人事のように涼しい顔でラーメンをすすっているシーンには大いに笑えたが、雇い主から “仕事しろ!” と言われて面倒くさそうに超絶テクニックで敵を仕留めていくところ(←緊張感溢れる戦闘シーンでの “ピンポン”センサーにはクソワロタ...)はさすがの一言。ドニーはスター・ウォーズ・スピンオフ映画の最高傑作「ローグ・ワン」でも “フォースを信じる盲目の戦士” を演じて強烈なインパクトを残したが、今回の「ジョン・ウィック4」でもMVP級と言ってもいいくらいの大活躍だ。因みにこの “盲目” というコンセプトは映画「座頭市」へのオマージュだろう。
Caine Osaka Fight Scene


 「大阪編」でもう一つ印象に残っているのが、シマヅがジョンをホテルから逃がす時に言った “ひとつ頼みがある... できるだけ多く殺していってくれ” というセリフで、これには思わず大爆笑(^.^)  とにかくこの映画には作り手側の遊び心が満載で、それはセリフであったり、さりげない動作であったりと、手を変え品を変えながら観る者を笑わしにくるのだ。ド派手なアクションだけでなく、そういったユーモアのセンスにもこのシリーズの人気の秘密が隠されているのだろう。それと、本物とは全然似てない梅田駅(←どうしても「ニッポンウイスキー 飛沫」の看板に目が行ってまう...)や地下鉄車内の描写(←プラスチック製のピカピカな座席はどう見てもアメリカの地下鉄やん...)にも笑ってしまった。
John Wick 4: Osaka scene 4


 この映画は全編アクション/戦闘シーンの塊みたいなモンだが、アクション・シークエンスの面白さで言うと、ラスボスのグラモン公爵との決戦が行われた「パリ編」が断トツに素晴らしい。222段の“階段落ち”(←キアヌが自分からガンガン回転して落ちにいってるところはもうギャグそのもの... たまたま後ろで観てたおかんが “ネイマールみたいや!” って大笑いしとった...)や、敵に対して焼夷弾を撃ちまくるシーン(←まるで人間松明やん!)を上から俯瞰するカメラワークなど、よくもまぁこれだけ色んなアイデアが浮かんでくるものだと感心してしまうが、私的に一番衝撃的だったのが凱旋門前の周回道路で走ってくる車を避けながら殺し屋軍団と闘う大乱闘シーンで、まるでゲームの世界のような現実離れした戦闘シーンの連続(→防弾背広強力すぎwww)は文句なしにアクション映画史上最高レベルの面白さと言っていいと思う。いやぁ、コレはホンマに凄いですわ ... (≧▽≦)
John Wick 4 - Arc De Triomphe scene

Overhead Gun Fight

John Wick falls down the stairs


 そんなこんなで最後の決斗を終えて朝日が昇る中、階段に倒れ込むジョンの姿から場面が切り替わって、ニューヨークの墓地でウィンストンとバワリー・キングがジョンの墓の前に佇むシーンが映し出され、ウィンストンが “ダスビダーニャ、マイ・サン(さらば、わが息子よ)” と呟いて去っていくのだが、不死身のジョンがあの程度で本当に死んでしまったとは考えにくい。これはあくまでも “ババヤガ(殺し屋)としてのジョン” の死を示唆しているのであって、ジョン自身はどこか人里離れた山奥で亡き妻の思い出と共に静かに引退生活を送っているのではないか... と思えてならない。
The Death Of John Wick


 この映画は一旦エンドロールが終わった後、花束を持って娘に会いにいこうとするケインにナイフを持ったアキラが忍び寄るシーンが映し出されてで終わる。これはシマヅを殺したケインが “報い”、すなわち “コンセクエンス” を受けるということを暗示しているのだろう。アクション・シークエンスのテンコ盛りでお腹一杯にさせた後、最後の最後で “すべての行いには報いがある” というこのシリーズのテーマをぶっ込んでくるあたりにもチャド監督のセンスの良さがうかがえるというものだ。
John Wick Chapter 4 end credits scene


 とまぁこのようにこの「John Wick 4」は100点満点をあげたいくらい気に入っているが、唯一不満なのは日本版トレイラー(予告編)のせいで最後の結末がネタバレしてしまったこと。ジョンがむくっと起き上がって “報いだ!” と叫んでグラモン公爵を射殺するどんでん返しのシーンを予告編に入れるアホがどこにおんねん!とポニー・キャニオンに文句の一つも言いたくなってくるが、映画自体はシリーズ最高傑作であると同時にアクション映画史上に燦然と輝く金字塔と言っても過言ではない。私としては早くも「チャプター 5」が見たくなってきた...