shiotch7 の 明日なき暴走

ビートルズを中心に、昭和歌謡からジャズヴォーカルまで、大好きな音楽についてあれこれ書き綴った音楽日記です

各国盤頂上決戦②「Led Zeppelin Ⅳ」

2021-07-18 | Led Zeppelin
 各国盤蒐集をしている中でビートルズ関連のレコードをほぼ買い尽くしてしまった時に “他のアーティストのレコードもこんな風にオリジナル盤とは一味違うエエ音で鳴るんやろか?” とか “このレコードをチューブ・カッティングの音で聴いたらどんな感じなんやろ?” といった好奇心を抑えきれず、以前ここで取り上げたヴァン・ヘイレンやTOTOのインド盤のようにビートルズ以外の各国盤にも手を出してきたのだが、ビートルズのトルコ盤ネタも尽きてしまったので、他のアーティストでも各国盤の聴き比べやってみることにした。
 イの一番に頭に浮かんだのは「Led Zeppelin Ⅳ」である。各国盤に関して言うと、ゼップはビートルズに次いで多くのヴァージョンがリリースされているアーティストで私も色々と買ってきたが、この「Ⅳ」ほどプレス国による音作りの違いが明確に出ているタイトルは他になかったからだ。ということで、今日は「Led Zeppelin Ⅳ」のインド盤 vs ウルグアイ盤 vs トルコ盤です。

①インド盤
 私が初めて買ったゼップの各国盤がこのインド盤。「アナログ・ミステリー・ツアー」の影響でインド盤に興味があったのと$30という手の出しやすい値段だったこともあって軽~い気持ちで買ったのだが、届いた盤を手にしてみてその分厚さと重さにビックリ。まるで鉄板でも持っているかのようなズッシリ感で、量ってみると194gもあったのだ。しかしもっと驚いたのはその音で、一言で言うと“エグい”音。特にボンゾのドラミングはUK盤やUS盤をも凌ぐ凄まじさで、私がこれまで聴いてきた「Zep Ⅳ」の中でも間違いなく最高峰だ。中でもB④「When The Levee Breaks」で聴ける爆裂ドラミングは圧巻で、リスニングルーム全体が地鳴り鳴動する快感は筆舌に尽くし難い。私がゼップの各国盤を集めるきっかけとなった思い出深い1枚だ。
 尚、「Ⅳ」のインド盤は最初、バンド名とフォー・シンボルズだけが描かれた茶色の独自ジャケにred/plumレーベルでリリースされたものの、すぐにノーマルなレギュラー・ジャケにgreen/orangeレーベルという組み合わせに変更されたらしい。私が持っているのは2ndプレスの方だが、音質コスパを考えれば(←1stプレスはその稀少性から$5,000前後という恐ろしいプレミア価格で取り引きされている...)これで十分だと思う。

②ウルグアイ盤1stプレス
 去年の秋にビートルズのウルグアイ盤を根こそぎ買い漁っていた時に調子に乗って$50で買ったのがこの「Zep Ⅳ」だ。同時期にプレスされたジョンやポールのソロ・アルバムのウルグアイ盤がめちゃくちゃ良い音していたこともあって大いなる期待と共に盤に針を落としたのだが、スピーカーから出てきたのは予想とは全く違う埃っぽい音でガッカリ(*_*)  $50も出してこれでは浮かばれないので何度も丹念にクリーニングしてみたがやっぱりダメ。ゼップの他のタイトルのウルグアイ盤はみんな良い音で鳴っているので、何故この「Ⅳ」だけがこんなショボい音なのか全く解せない。尚、ウルグアイの「Ⅳ」には同じ1stプレスでもレーベル・デザインが微妙に違うものが存在しており、ひょっとしてそっちは良い音してるんじゃないかと思って親しいウルグアイのセラーにお願いして試聴してもらったのだが、彼が言うにはその盤も“somewhat dirty(イマイチすっきりしない)” な音とのこと。それでようやく「Zep Ⅳ」のウルグアイ盤1stプレスはハズレなのだと諦めがついた。

③ウルグアイ盤2ndプレス
 1stプレスの試聴をしてくれたそのセラーが言うには “ウルグアイ盤の「Zep Ⅳ」には1987年にリリースされた2ndプレスが存在しており、そちらの方はクリアーでシャープな音がする。” とのこと。好奇心旺盛な私は “毒を食らわば皿まで”的なノリで購入を決意(←どんだけ「Ⅳ」好きやねん!)... €25のところを €22にまけてもらってラッキーした(^.^)  届いたレコードはセラーが言うように1stプレスに比べるとかなり “クリアーでシャープ” な音だったが、残念ながら私がウルグアイ盤に求めるチュープカットの濃厚で分厚い音とは違っていた。う~ん、やっぱりアカンかったか。これで完全に「Zep Ⅳ」のウルグアイ盤に諦めがついた。

④トルコ盤
 最後は1ヶ月ほど前に手に入れたトルコ盤。ゼップのトルコ盤は$100オーバーが通り相場だが(←キモい独自ジャケで有名な「Ⅱ」なんか$500前後でちょっと手が出ない...)ネットで丹念に探せば良い出物を見つけることが可能だ。私はこの「Ⅳ」をデンマークのセラーから €32という信じられない安値で買ったので現物を手にするまでは正直不安だったが、届いた盤はれっきとした本物で、しかもVG+と表記されていた盤質はピッカピカのNM盤。手に持った感触もインド盤ほどではないもののズシリと重くて(162g)艶があり、“ええビニール使うとるのぉ...” とニンマリしてしまう。
 出てきた音は期待を裏切らない素晴らしいもので、まるでモノラル盤を聴いているかのような密度の高い音はトルコ盤ならでは。とにかく音のエネルギー感がハンパなく、アンプのヴォリュームを少し上げただけでまるで北斗剛掌波の直撃を食らったかのような凄まじい圧力を体感できたヽ(^o^)丿。
 ということで今回の聴き比べの結果はインドとトルコの圧勝だった。この2枚はどちらもめちゃくちゃ良い音だったものの音作りの方向性は少々異なっており、敢えて言うなら“一音一音のキレ味・爆裂性(?)のインド盤” vs “濃厚一発官能二発で音密度最強のトルコ盤”、という感じ。私はどちらの音も大好きなので優劣付けがたく、インドとトルコは引き分けとしておこう。この2枚にUK初版とUS白プロモ盤を加えた4枚が文字通り私にとっての “フォー・シンボルズ” なのだ。