shiotch7 の 明日なき暴走

ビートルズを中心に、昭和歌謡からジャズヴォーカルまで、大好きな音楽についてあれこれ書き綴った音楽日記です

「Revolver」インド盤2種聴き比べ

2020-04-29 | The Beatles
 「Revolver」に関しては UK盤が最強という結論が出たのは前回書いた通りだが、実を言うとこの話には続きがある。その次に B-SELSを訪れた時のこと、いつものようにビートルズ談義に花が咲き、ちょっと休憩ということで私はお店のトイレをお借りした。するとトイレのドア越しに「Taxman」が聞こえてきたのだ。それも何とも言えぬ良い音で、である。私は “日本盤やUS盤がこんなエエ音するはずないし、UK盤の音ともちょっと違うなぁ。店頭に並んでる「Revolver」で他にこんな音のする盤あったっけ???” などと考えを巡らしながら用を足し、トイレから出るなり “これどこの盤ですか?” と伺うと “インド盤です。この前仕入れたんですよ。” とのこと。
 「Revolver」のインド盤ってこんなエエ音してたっけ??? と思いながらジャケットを見せていただくと、悲惨なくらいにボロボロながらもしっかりとコーティングされている。私の盤は確かUSキャピトル盤みたいにジャケ写真を貼り付けただけの味もそっけもない作りだったはずだ。マト番は同じっぽいが、私のとは明らかに違う良い音なんである。好奇心に火がついた私が “次回私のインド盤を持って来ますから聴き比べさせていただけませんか?” と言うとSさんも “いいですよ” と快諾して下さった。
 そしてその1週間後、B-SELSで2種類のインド盤「Revolver」の聴き比べが始まった。音を出す前にまずジャケットを見比べたところ、裏ジャケの下半分のデザインが全然違っていてビックリ。これはどう見てもコーティング有りの方が1stプレスだろう。私のレコはいかにも廉価版っぽい作りで、貧相なジャケットがその安っぽい音質を体現している感じ。因みに盤の重さは1stプレスが162gで2ndプレスが176g ... 同じイエロー・パーロフォン・レーベルで同じマト番だというのに、えらい違いだ。
 まず最初に私の2ndプレスから聴いていくが、当然ながら少し前にここで聴いた時と同じ平凡なサウンドで、A面を少し聴いたところで “もう十分” ということになり(笑)、音の良い 1stプレスにチェンジ。おぉ、やっぱり全然違うやん...(^_^) スタンパー・コードをよくよく見ると、両面共にGだ。そりゃあエエ音しますわな。ではここからはいつものようにSさんとの会話形式で...

 私:まず2ndプレスの方ですが、インド盤にしては盤質も良いですし音も悪くはないんだけれど、UK盤やDK盤を聴いてしまうと格落ちというか、明らかに劣りますね。
 Sさん:そうですね。それに比べて1stプレス盤の方は音圧も高いですし、高い音も低い音もよく伸びてます。特にA①「Taxman」のギターの音が違いますね。
 私:A③「I'm Only Sleeping」のイントロの “バシャ~ン” も全然違いますね。細かい音までしっかりと表現できてるのはやはりプレスの差でしょう。 
 Sさん:A⑥「Yellow Submarine」のアコギの鳴りも明らかに違いますね。
 私:B②「And Your Bird Can Sing」もめっちゃスピード感ありますし。何と言えばいいのか、とにかく聴いてて気持ちいいんですよ。UK盤のようなガチの超高音質というのとはちょっと違うんだけど、何て言えばいいのかな... その、何度も聴きたくなる音ですね。
 Sさん:そうそう、仰ることはすごくよく分かります。他のどの盤とも違う独特な音作りですね。
 私:今これを聴いてて思うのは、「アナログ・ミステリー・ツアー」の本で湯浅さんが絶賛されてたのはこの1stプレスだった可能性が非常に高いということです。絶対にあの2ndプレスの音を褒めるはずがない(笑)
 Sさん:「Imagine」もそうでしたが、インド盤って中々奥が深いですね。
 私:今まではマトが同じならそんなに音は変わらんやろと思ってましたが、こうやって同じマトでプレス違いの2枚を聴き比べてみると、スタンパーとかプレスの差を痛感させられますね。このインド盤2枚の聴き比べはホンマにエエ勉強になりましたわ。
 Sさん:世界広しと言えど、インド盤のプレス違いの聴き比べをやってるとこなんて他にありませんよ(笑)
 私:ハハハ、確かに...(^.^)

尚、このレコードの音がどうしても忘れられなかった私は、後日この「Revolver」インド盤 1stプレスを身請けさせていただきました。