shiotch7 の 明日なき暴走

ビートルズを中心に、昭和歌謡からジャズヴォーカルまで、大好きな音楽についてあれこれ書き綴った音楽日記です

ビートルズのドイツDMM盤特集⑤

2017-02-18 | The Beatles
 ビートルズのドイツDMM盤特集の最終回はこの2セット計4枚のレコードで公式録音曲の約1/4を押さえたことになる「赤盤」と「青盤」だ。

①The Beatles 1962-1966 [05307-A2+//D, 05307-B2+//D, 05308-A2+//D, 05308-B2+//D]
 私が初めて買ったビートルズのアルバムは何を隠そうこの「赤盤」である。このレコードとの出会いがなければ私の音楽人生は今とはかなり違ったものになっていたか、ひょっとすると音楽に縁のない無味乾燥な日々を送っていたかもしれない。そういう意味でこのアルバムへの思い入れはめちゃくちゃ強いのだが、そういった個人的な思いを差し引いてもこのレコードは圧倒的に、絶対的に、超越的に素晴らしい。もちろんベスト盤ということでシングル・ヒット曲がたくさん入っていることもあるが、何よりもその選曲や曲の配置が素晴らしく、「ラヴ・ミー・ドゥ」から「イエロー・サブマリン」に至るまでの前期の代表曲26曲がまるでオリジナル・アルバムのような大きな流れを形作っており、LP2枚組丸ごと一気呵成に聴けてしまうのだ。今風の言葉で言えばまさに “神ってる” と言っていいかもしれない。
 そんな “究極の愛聴盤” がDMMでリリースされていると知って食指が動かないワケがない。しかも「フロム・ミー・トゥ・ユー」「シー・ラヴズ・ユー」「アイ・ウォナ・ホールド・ユア・ハンド」「アイ・フィール・ファイン」「ウィー・キャン・ワーク・イット・アウト」「デイ・トリッパー」「ペイパーバック・ライター」といったオリジナル・アルバム未収録のシングル曲がDMMの強烈な音で聴けるのだ。これを買わねばビートルズ・マニアではない。
 更に私の好奇心をくすぐったのが例の「アナログ・ミステリー・ツアー」に載っていた録音評だ。そこには何と “ドイツDMMの中で最も狂った音が聴ける” とか “極度に肥大した低域は曲が持つ意味合いをまったく変えており、聴いていてあっけにとられる” とか書かれていたのだ。 まぁ読み物としてはめちゃくちゃ面白いが、それにしても言うに事欠いて “最も狂った音” とは凄い表現だ。まさに “そこまで言うか...!” レベルの一刀両断ぶりだが、逆にここまで言われて “これは面白そうだ...” と思わなければビートルズ・マニアではない。
 このレコードは eBay には出ていなかったので Discogs で探すとラッキーなことに MoldyFigRecordsというセラーがNMの盤を$40で出していた。 Discogs のセラーはあまり信用できないので念のためにドイツDMMか確認(←レッド・ビニールの盤で、センター・レーベル左上にハッキリDMMと明記されており、ジャケット左上にはステッカーっぽい印刷がされている)のメールを送るとしばらくしてからYESという返事が来たのだが、驚いたことに私の確認メールを見てから $40 → $75 へとこっそり値上げしてあるではないか! こんなクソ野郎からレコードなんて買えるワケがない。ということでコイツは即ブロックして別のセラーからVG+盤を $28 で購入。届いたレコードはジャケットが少々傷んではいたが盤の状態はほぼ新品同様で大喜びした(^.^)
 で、肝心の音の方はと言うと、確かに低音はズンズン腹にくるし高音は突き抜けるように伸びているしでまさに絵に描いたようなドンシャリの音作り。特に凄まじいのはD面で、「ミッシェル」や「イン・マイ・ライフ」なんかもうデリカシーのかけらも感じられない(笑) “曲が持つ意味合いをまったく変えて云々...” の件はまさにこのあたりのことを指しているのだろう。UKオリジナル盤(マトは-1/-1/-3/-1)と聴き比べてみるとそのあたりの違いは歴然で、確かにDMM盤の音の出方はナチュラルさを欠いた武骨なもので堅気の音楽ファンにはちょっとキツいかもしれないが、爆音好きの私には十分許容範囲内。アンプのヴォリュームを上げていくと低音がグワ~ンと地を這うように伝わってきて尻がムズムズするし、バシャ~ンと破裂するように響くシンバルも耳に心地良い。やっぱりビートルズはガツン!とくる音で聴くに限りますな(^.^)

②The Beatles 1967-1970 [05309-A2+//D, 05309-B2+//D, 05310-A2+//D, 05310-B2+//D]
 私は「赤盤」でビートルズに入門した後、個々のアルバムを1枚また1枚という感じで買い揃えていったのでアルバム未収録曲の入ってない「青盤」をわざわざ買う必要がなくなり、付属のディスコグラフィーと年表欲しさでこのアルバムの中古盤を500円(!)で買ったのはかなり後になってからのことだった。そのせいもあって、「赤盤」に比べると私の「青盤」への思い入れはほとんど無いに等しい。
 しかし今回のDMM盤蒐集に関しては、安心ラクチン格安パックツアー(?)みたいな感じで手っ取り早く後期の代表曲をDMMの音で聴けるということで、ちょうど“DMMサンプラー”的な感覚でこのレコードを購入。こちらは eBayでイタリアのセラーから£24.99で買うことが出来た。
 届いた盤はもちろん青のカラー・ビニールだったが、何故か赤盤やホワイト・アルバムとは材質の違う半透明のレコードだ。しかし音の方は赤盤同様のアウトローっぷりで、縦横無尽に暴れまわるポールの巨大なベースがめっちゃ気持ちいい(^_^)  大音量で聴けばボディーブローの連打を浴びているかのような錯覚を覚えるヤクザな低音だ。高音域も確かに凄い爆発力なのだが、音作りの明確な方向性が決まらず迷走状態にあった初期アルバムのDMM盤のように音が耳に突き刺さるようなことはないので、竹を割ったような豪快な音で後期の曲を聴きたいというマニアには超オススメのレコードだ。