shiotch7 の 明日なき暴走

ビートルズを中心に、昭和歌謡からジャズヴォーカルまで、大好きな音楽についてあれこれ書き綴った音楽日記です

別ヴァージョンで楽しむキャンディーズ特集③

2015-12-19 | 昭和歌謡
 この「危い土曜日」はしばしば “キャンディーズ史上最も売れなかったシングル” という不名誉な紹介のされ方をする不憫な曲だが、私に言わせれば「危い土曜日」ほど過小評価されている曲はない。とにかく私はこの曲が大好きで、彼女達の全シングルの中で五指に入る愛聴曲と言ってもいいぐらい気に入っている。売れなかったのは多分、デビュー曲「あなたに夢中」からセカンド・シングル「そよ風のくちづけ」へと続いてきたミディアム・テンポの純情アイドル路線から一転して、このサード・シングル「危い土曜日」がダイナミックなリズム感溢れるアグレッシヴなナンバーだったため、それをすんなり受け入れるだけの土壌がまだできていなかったからではないかと思っている。時代の先を行っていたというか、要するに10年早かったのだ。
 とにかくこの曲は今の耳で聞いても十分にスリリングでカッコイイ...(^o^)丿  当時の歌謡ポップスの基準から見れば、コンガを強調したパーカッシヴな音作りは異端とすら言えるものだが、裏を返せばキャンディーズの曲の中でこれほどライヴ映えする曲はないと言っても過言ではないだろう。強烈なビートが生み出す圧倒的なグルーヴがオーディエンスの高揚感を煽りまくるのだ。それにしてもサブーも顔負けのこのコンガの乱れ打ちだけは何回聴いても笑えるわ...(^.^)
 安井かずみが書いた歌詞もかなり過激で、“愛してると囁く 私の耳が熱い♪” だの “愛しているなら やさしくして~♪” だのと煽っておいて “もぉっとぉ~ もぉっとぉ~♪” と迫るのだからこれはたまらない(≧▽≦)  サビの “どこに ゆくの ふたりは~♪” から一気にたたみかけて “ぐるぐる 危い土曜日~♪” でビシッとキメるあたりの歌詞とリズムの絶妙なるコンビネーションが生み出す躍動感がチョー最高だ。
キャンディーズ 危い土曜日


 2008年にリリースされたボックス・セット「キャンディーズ・タイムカプセル」にはこの曲と「年下の男の子」だけ特別に「2008 Time Capsule Mix」が作られてボートラとして収録されていたが、トラックダウンからやり直すことによって、オリジナル・ヴァージョンで過剰といえるぐらい自己主張していたコンガの大暴走が抑えられて各楽器間のバランスが最適化された結果、ヴォーカルもより聴きやすくなっている。解説によるとプロデューサーの松崎氏がもう一度ミックスし直したい曲として選んだとのことだが、まさに慧眼と言っていい素晴らしい出来ばえだ。私は基本的にオリジナルをいじくり回すのには反対の人間だが、この「2008年版ミックス」に関しては十分にアリだと思う。
危い土曜日 2008 Mix


 この「危い土曜日」にはダンス・リミックス・ヴァージョンも存在する。1989年にリリースされたキャンディーズのリミックス・ヴァージョン集「キャンディーズ・ビーツ」の1曲目を飾っていた「Dangerous Saturday」がそれだ。このトラックはスウィング・アウト・シスターなどを手掛けたイギリスの若手プロデューサーがキャンディーズの音源をダンサブルにリミックスしたもので、オリジナル・ヴァージョンのリズミカルな側面を更に強調して実にサバービアでコモエスタなサウンドに仕上げてある。アルバムでは他の曲とメドレーで収録されていたが、「タイムカプセル」にはこの曲単体のシングル・ヴァージョンの方が収録されていたのでめっちゃ嬉しかった(^.^)
Dangerous Saturday