shiotch7 の 明日なき暴走

ビートルズを中心に、昭和歌謡からジャズヴォーカルまで、大好きな音楽についてあれこれ書き綴った音楽日記です

It's The Girls / Bette Midler

2015-03-04 | Cover Songs
 Divine Miss M(素敵なミスM)こと、ベット・ミドラーは現役女性シンガーで私が最も好きな一人である。初めて彼女の歌を聴いたのは1979年の「ザ・ローズ」で、当時バリバリのハードロック・ファンだった私でさえも “何ちゅうエエ曲や...” とこうべを垂れて聴き入ったものだった。それから10年ほど経ってちょうど湾岸戦争が激しさを増していた頃、今度は彼女が平和への祈りを込めて切々と歌う「フロム・ア・ディスタンス」に感動し、私の中では“ベット・ミドラー = 素晴らしいバラッド・シンガー” というイメージが出来上がっていった。
 そんな私の固定観念を良い意味で打ち砕いてくれたのが2003年にリリースされた「ベット・ミドラー・シングス・ザ・ローズマリー・クルーニー・ソングブック」で、バリー・マニロウとのデュエット曲「オン・ア・スロー・ボート・トゥ・チャイナ」を聴いてその軽妙洒脱なヴォーカルがめちゃくちゃ気に入り、その次に出た「シングス・ザ・ペギー・リー・ソングブック」と共に “古き良き時代のアメリカン・ポピュラー・ミュージック” をコンテンポラリー感覚で楽しめる粋なアルバムとして愛聴してきたのだ。
 そして去年の12月、ビートルズのUKシングル盤蒐集が一段落して次のターゲットを物色していた時にたまたまネットで見かけたのが彼女の最新アルバム「イッツ・ザ・ガールズ!」のジャケットだった。これってどこをどう見てもベット・ミドラー版 “一人ロネッツ” ではないか! これで面白そうだと思わなければガールグループ・ファンではない。 “おぉこれは...” と色めきたった私は早速 YouTube でチェック、そこで見つけたのがこの↓ trailer(ダイジェスト編集の予告編)だ。
Bette Midler - It's The Girls Album Trailer


 エキサイターズの「テル・ヒム」、シフォンズの「ワン・ファイン・デイ」、ロネッツの「ビー・マイ・ベイビー」、ビートルズもカヴァーしたシュレルズの「ベイビー・イッツ・ユー」、コーデッツの「ミスター・サンドマン」、そしてスプリームズの「ユー・キャント・ハリー・ラヴ」と、まるで私のために選曲されたかのように我が愛聴曲が並んでいる。しかもこれらのガール・グループ・クラシックスが持つウキウキワクワク感をこれ以上ないと思えるぐらい見事に表現しているのだからたまらない(≧▽≦)  私はすぐにこのCDを注文した。
 それにしても何という名曲・名唱の数々だろう! ベット・ミドラーってたしか70歳近かったと思うのだが、年齢的な衰えを全く感じさせない声量で “音楽が最高に楽しかったあの時代” の名曲の数々を現代によみがえらせている.。下に貼り付けたのはアメリカのTVショーに出演してこのアルバムからのリード・シングルである「ビー・マイ・ベイビー」を歌うベットの動画だが、彼女の表情や歌い方からコーラス隊の振り付けに至るまで、どこをとってもオリジナルに対する敬意と愛情に満ち溢れていて嬉しくなってしまう(^o^)丿 何よりもベット自身がまるで10代の頃に戻ったかのように嬉々として歌っているとことがいい。音楽ってこんなに素敵なものだったんだ... と改めて実感させてくれる素晴らしいパフォーマンスだ。曲が終わった後、司会者がロネッツの振り付けをマネしながら “僕にもコレやらせてよ” と言ったのに対して間髪を入れずに “I have been waiting for you!” と歌詞の引用で切り返す彼女の機転にも感心させられる。さすがは超一流のエンターテイナーやね。とにかくこのベット・ミドラー・ヴァージョンこそが私の知る限り最高の「ビー・マイ・ベイビー」カヴァーだと断言したい。
Bette Midler Performs 'Be My Baby' │LIVE On Today Show│


 収録されている全15曲はそれぞれ入念なアレンジが施されており、アルバム1枚聴き通しても全く飽きさせない工夫がなされている。ダーレン・ラヴとのデュエットで聴かせるクリスタルズの⑥「ヒーズ・シュア・ザ・ボーイ・アイ・ラヴ」なんてオリジナルを聴き込んだ人は思わずニヤリとさせられようなアレンジだし、トロピカルな味わいがたまらない⑦「ミスター・サンドマン」も素晴らしい出来ばえだ。ブルーグラス風にアレンジされた⑫「ユー・キャント・ハリー・ラヴ」も “あのモータウン・サウンドがこんな風に化けるのか...” と思わず唸ってしまう逸品だ。
 リンロンもカヴァーしていた⑤「テル・ヒム」なんかもう完璧と言ってもいいぐらい見事なヴォイス・コントロールだし、私の大好きなシャングリラスの⑬「ギヴ・ヒム・ア・グレイト・ビッグ・キス」も理屈抜きの楽しさに溢れている。マーベレッツの隠れ名曲⑨「トゥー・メニー・フィッシュ・イン・ザ・シー」なんかもうノリノリだ(^o^)丿 やっぱりガール・グループ・クラシックスのカヴァーはこうでなくてはいけない。
BETTE MIDLER THE DIVINE MISS M TELL HIM DECEMBER 15 2014

Bette Midler Give Him A Great Big Kiss

Better Midler - Too Many Fish In The Sea │LIVE On Today Show 2014│


 このアルバムは上記のような王道ガール・ポップス・ナンバー以外にもアンドリュース・シスターズの③「素敵なあなた」やボスウェル・シスターズの⑮「イッツ・ザ・ガール」といったいわゆるひとつの “シスターズ系” コーラス・グループのジャジーなナンバーがさりげなく収められているところもいい(^.^)  やっぱり50~60年代前半というのはアメリカのポピュラー・ミュージックの黄金時代やったんやなぁ... と再認識させてくれるこのアルバムを聴いて、私はガール・グループのオリジナルUSシングル盤蒐集という底なし沼へとハマり込んで行った。
Bette Midler - It's The Girl + Lyrics
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