shiotch7 の 明日なき暴走

ビートルズを中心に、昭和歌謡からジャズヴォーカルまで、大好きな音楽についてあれこれ書き綴った音楽日記です

艶・怨・演歌 / 藤圭子 (Pt. 2)

2013-09-12 | 昭和歌謡
 彼女のカヴァー作品で西田佐知子に次いで目を引くのが青江三奈の曲だ。このボックスに入っているのは④「恍惚のブルース」だが、個性の塊のような青江三奈の曲をガッチリと受け止めて自分の歌として表現する見事な歌唱力にはただただ参りましたと平伏すしかない。他に「池袋の夜」(←「歌いつがれて25年 藤圭子 演歌を歌う」に収録)や「長崎ブルース」(←デビュー・アルバム「新宿の女」に収録)も雰囲気抜群の名唱だ。西田佐知子、青江三奈、そして藤圭子... このあたりのディープな歌世界は一度足を踏み入れたら生涯そこから抜け出せない、まさに昭和歌謡の桃源郷である。
恍惚のブルース

池袋の夜


 黛ジュンの⑥「恋のハレルヤ」は “怨歌” 系のカヴァーが多い中で異彩を放つ選曲だが、ビートの効いたポップス調のこの曲でも堂々たる歌いっぷり。彼女のハスキーなヴォーカルが曲にバッチリ合っていて実にエエ味を出していている。黛ジュン以外でこの曲をこれほど見事に歌いこなせる歌手が他に何人いるだろうか? 同じ鈴木邦彦作品では朱里エイコの⑭「北国行きで」のカヴァーもダイナミックに押しまくるオリジナルとは一味違う繊細かつ雄大なヴォーカルが楽しめて超オススメ。又、同時期にヒットした筒美京平の “大人の歌謡曲” 路線の最高傑作である朝丘雪路の⑧「雨がやんだら」では女心を情感豊かに歌い上げており、カヴァーがオリジナルを凌ぐ瞬間を体験できる。いや、ホンマにもう凄いですわ(^o^)丿
恋のハレルヤ

北国行きで

雨がやんだら


 藤圭子カヴァー特集のシメはCDになっていないためあまり一般には知られていない隠れた名唱「東京ブルース」でいこう。オリジナルはもちろん西田のさっちゃんだ。テンポをやや遅めに設定し、オリジナルへのリスペクトを感じさせながら悠揚迫らぬ歌唱を聴かせる圭子姐さんが圧倒的に、超越的に素晴らしい。これは「ざんげの値打ちもない」と同じく「藤圭子リサイタル」に入っている名唱なのだが、残念ながら未CD化のままだ。こんな名盤を放置して涼しい顔というのはレコード会社の怠慢以外の何物でもない。世間では藤圭子のCDがガンガン売れてるらしいし、この際だからCDになっていないライヴ盤5タイトルは全てCD化してほしいものだ。いつ出すの?今でしょ!!!
 藤圭子はオリジナル “怨歌” も素晴らしいが、女心を歌った昭和歌謡の名曲カヴァーにこそ彼女の真髄があるのではないかと思う今日この頃。レコード会社も中途半端な選曲のベスト盤でお茶を濁さずに、“藤圭子、女心を歌う” というテーマのカヴァー作品をライヴ音源も含めてコンプリートにコンパイルしたCDを出してくれへんかなぁ...
東京ブルース
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