津々堂のたわごと日録

爺様のたわごとは果たして世の中で通用するのか?

■積水ハウス・マンション解体に思う

2024-06-12 08:53:54 | 些事奏論

 建築を生業にしていた者として、国立市の景観(富士山が見えなくなる)問題に関して完成間近かな高層マンションを解体するという話には少々驚かせた。

    国立駅に降り立つと大きな通りがあり、その正面に富士山が見えている様だが、このマンションが完成すると、その姿が半分ほど欠けてしまうということらしい。
著名な辛口コメンテーターも驚きの声を上げていたが、建築主や建設業者の意図を押はかることができないでいたが、「景観に著しい影響があると言わざるを得ず、眺望を優先するという判断に至った」というコメントが発表された。
こういう景観に関する裁判は過去にもあり、最高裁までいっても建築基準法にのっとって許可された事案であるから当然の帰結で大方敗訴である。
高層建築ではなくても、住宅地域での日照問題など裁判に持ち込まれた事例は多い。
しかし、法律を超えての勝訴というケースはあり得ないのではないか。
コメンテーターの発言同様、私も大いなる驚きを以てこの事案の経過を見ていたが、訴えていた人々も喜びと共に大いなる驚きを感じておられるのではないか。
少々怖さを感じる。


 昨日はちょうど私たちが今のマンションに引っ越してきてから一年がたつ。
5階の南東角の我が家の位置からは、遠くに阿蘇外輪から矢部ー三角に連なる山脈が見える。
先にも書いたが、150mほどのところに2棟の12~14階建のマンションが建設中で、飯田山の山頂部分が見え無くなりつつある。
時の流れとともに街中の景観は変わっていく。郊外にでも出て雄大な富士山に出会えるような、自然を満喫する生活も必要だろう。


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■町在を読む―2

2024-06-12 06:47:02 | ご挨拶

 今読み下しにチャレンジしている「町在」、大方1/4ほどを読了した。
是には中古町に住みながら細工町の別当を勤める友枝良右衛門が、零落した80名ほどの人形師を助けるために、自らの貯えを融資して援助し、家業の更生に尽力したことが書かれている。
さてその額なのだが「鳥目、拾貫目餘」と書かれている。「鳥目(ちょうもく)」とはその形からきた、いわゆる「穴あき銭=一紋銭」のことである。
詳しく読んでいくと、このことにより町の根取たちが藩に対し「士席浪人格」や「正月の門松」「町獨礼」などにするように推挙している。
問題は「鳥目、拾貫目餘」の解釈である。「鳥目」とは「銭」のことだが、後半の拾貫目とは「銀勘定」を表している。
仮に銭「拾貫」の書き間違いだとすると、当時は「1両=銀60匁=銭6,500文」位だとすると、銀10,000匁/6,500文=1,5両ほどにしかならない。
やはりこれは「銀勘定」と考えられ、銀60匁=1両で計算すると、銀10貫目×1,000/60匁=167両ほどになり、5万/1両くらいと考えても835万円ほどになって納得できる。
ならば頭についている「鳥目」をどう解釈するかである。「銀」としてあれば何の問題でもないのだが、色々調べてみると、我々が通常「お金」と呼ぶ感覚であるらしい。
商売が立ちいかぬ人形師たちの生業が立ちいくように、別当として自らの資金を提供して励まし続ける、良左衛門に対し町の根取達が藩に対し請願をしている事情がよく理解できる。
良左衛門は他にも、大阪へ直接「絵具」の買い付けをして、人形師たちに提供している。
おかげで人形師たちの生業も復活し、それぞれが返済に勤め「備銀」の貯えが900匁に及んだという。

 

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