一枚の葉

私の好きな画伯・小倉遊亀さんの言葉です。

「一枚の葉が手に入れば宇宙全体が手に入る」

書評

2016-04-09 08:30:20 | 読書




「日刊ゲンダイ」に拙著『評伝 森崎和江』の書評
    が載り、版元から送ってもらった。
    (2016/4/6)


    森崎和江の生涯を大きく分けると4つに分けられる。

    ① 少女期
    ② 日本にわたってきた18歳~結婚まで
    ③ 詩人・谷川雁と出会い筑豊時代
    ④ 谷川雁と別れ、炭坑の女たちとの出会い

    森崎は当時、日本の植民地であった朝鮮(現、韓国) 
    で生まれ、18歳まで育った。
    感受性豊かな少女期、内地を知らない日本人として
    豊かな生活を享受しながら、貧しい現地の人たちの
    苦しみを知る。

    日本にわたってきたのは大学受験のためである。
    昭和19年。
    まさかそのまま敗戦となり、日本にとどまるとは
    夢にも思わなかったであろう。

    やがて苦しみながら生活していくなかで理解のある
    男性と知り合い、結婚。
    2人の子供にもめぐまれるなか、当時早稲田の学生
    だった弟の自殺に遭う。

    自分には故郷がないという弟の苦しみは、森崎自身
    の苦悩でもあった。
    そこで出会ったのが詩人の谷川雁であった。

    雁は「一緒に本を出そう」「弟の仇をとろう」と
    いってくれた。
    断わっておくが、森崎の夫婦関係はうまくいっていて
    夫には何の不満もなかった。

    だが、決断する。
    ここで生きなおそう!
    
    そうでもしなければ森崎自身が弟の二の舞を踏む
    ほど苦しんでいたのである。

    筑豊の炭坑地帯に住んでからの生活もまた、
    疾風怒濤の連続であった。

    ここで詳しく触れることはしないので、
    是非、本を読んでいただきたい。

    炭坑の女たちの聞き書きをしながら、
    森崎は次第に自分をとりもどし、女とはなにか、
    生きるとはなにか、を考えはじめる。

    この書評はあらためて森崎和江という人物を
    考えさせられるものであった。

   ※ 画面でも読めるように少し大きいサイズにした
      が読みにくい。
      興味のある方は是非、「日刊ゲンダイ」を手に  
      とってください。

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