石垣市では自治基本条例の突然の廃止案が本会議に上程される。今日である。全く寝耳に水の突然である。石垣市の方角を定めている自治基本条例である。こんな重要なことを委員会で5時間話しただけで、廃止案の上程を決めたのである。
廃案を決めた審議会での議論は公開されていないし、議事録すら無い。音声記録はすでに廃棄されたという。全く革命政権が石垣市に登場したようなものだ。自治基本条例を廃止するなど、基本条例自体の想定外である。
石垣市は昨日は26度まで上がったが、もう怒りの炎が燃えさかっている。こんな理不尽なことが民主主義国家で起こったのだ。自治基本条例はいわば石垣市の方角を示したものだ。これをいらないというのは権力者の横暴そのものだ。
安部政権は日本国憲法を改定するとは言うのだが、さすがに憲法廃止とは言わない。ところが石垣議会ではたいした話し合いも無く、廃止と言いだしたのだ。そもそも自治基本条例には廃止のための条項はない。それは憲法も同じだ。憲法は改正条項はある。廃止するのは革命政権だけだろう。
自治基本条例は石垣市の民主主義を定めたものだ。特別のことが書かれているものでは無い。これを廃止するという考えが出てきたのは、自衛隊基地に対する住民投票問題である。
石垣市は自衛隊基地を建設中である。十分審議されない内に、安全保障は国の専権事項だから、住民は意見は言えないという一方的な市長のでたらめ論理で、説明すらされないまま自衛隊基地は着工されてしまった。やり方が実に姑息であった。
これは余りに横暴と言うことで、住民投票をして判断すべきと言うことになり、正式な署名を3分の1の住民が行い請求した。ところが住民投票を市長は実施しない。自治基本条例には住民の四分の一以上の請求があれば、市長は住民投票をしなければならないとしている。
明らかに市長は基本条例の義務違反である。そこで、裁判によって市長の義務違反を明らかにすべきとなった。現在係争中である。多分来年3月までには判決が出るであろう。そうなれば、まず間違いなく住民投票が実施される。
住民投票が実施されれば、自衛隊基地を誘致する住民は少ない。となれば工事は中断となるだろう。その理由は自衛隊基地は市有地を利用して作ろうと言う計画である。住民が反対しているにもかかわらず市有地の売り渡しはできないだろう。
市の土地を自衛隊に売却することは住民投票で多数が反対している以上できないことになる。そこで自衛隊基地を誘致したい市長と保守議員は自治基本条例を廃止してしまい、住民投票ができないようにするという、革命のような暴挙を起こそうとしている。
今日の本会議で決まりそうである。私が石垣に戻った昨日の夜に、緊急集会が行われていた。慌てて参加したのだが、100人を超える人が保健センターに急遽集まった。みんな心配そうだった。どうしたらいいのかという戸惑いである。
今日の9時に市役所に集まり、市議会に来る議員に対して、なんとしてこの暴挙は止めなければならない。と言って、正直止めようも無い。数だけで言えば、保守系議員の方が多いらしい。もしかしたら、さすがに保守系議員の中にも、改定の決まりに従い審議会で進めようという、当たり前の考えの人も居るかもしれない。
そうした人に期待するほか無い。何しろ、突然の廃止など自治基本条例を全くないがしろにした行為である。基本条例をここまで軽く見る人とたちが登場するとは、想定すらしていないのであろう。安部政権でもさすがに、憲法改定までである。しかも、国会で決めたとしても、そのあと国民投票があるのだ。
それをなんと、5時間の審議で理由も示さず、即廃止。こんな馬鹿げたことはあってはならない。民主主義を重んずる以上、まず審議会を設けて改定を議論するというのが当たり前のことだ。そもそも、改定の条項にはそう書いてある。
一切を無視して議会でこうした暴挙を行うのは民主主義の破壊である。石垣市の保守系議員の蒙昧を日本中にさらすことになる。保守系議員の中にもしかしたら、議会制民主主義を尊重する人が居るかもしれない。そういう骨のある人の登場に期待する以外に無い。
もし、こうした暴挙が進められたならば、この市民条例に基づき作られた12本だかの条例も同時に廃止になるのだそうだ。一体どうしてこんなでたらめをまともな市議会議員がするものだろうか。
このでたらめな廃止案は違法行為だと思う。再度裁判にて争う以外に無いことになる。こんな不幸なことは無い。多分保守党議員は裁判に負けることも覚悟で、ともかく自衛隊基地が作りたいだけなのだ。これが本当に不思議な思い込みだ。
今行われている自衛隊基地の住民投票の裁判所の判断が出るまえに、基本条例を無くしてしまえばいい。そうすれば裁判所で実施しろと言われても、住民投票をやらないで済むと考えているのだ。これほどひどい行政は聞いたことも無い。
これはドドノつまり石垣市民に防人になれと言うことだ。日本全体のために、石垣市の住民に犠牲になってくれという考えだ。しかし、石垣市では自衛隊基地防人案の議論が行われていない。自衛隊基地の是非が充分話し合われていない。
話し合えば反対が増えると考えている。それで問答無用で進められている。反対は住民としての当然の気持であろう。誰でも防人になれと言われて、はいなりますとは言えないだろう。それは憲法違反なのだから当然国民としては当たり前のことだ。
日本国は中国との間に尖閣諸島というとげを抱えている。そうした国際問題が生じたときには平和的手段で解決すると憲法で決められている。国際問題があるから、ミサイル基地を作れとは憲法には書いてない。
この憲法に書かれた平和的努力を十二分に行うことがすべての大前提である。全く平和的努力をせずに、尖閣諸島の帰属を中国と面と向かい話し合うことはせず、何で軍事基地となるのか。
その本音は日本の武装化である。強力な軍隊を持たなければ、安心は無いという考え方である。平和外交などと夢のようなことを言っていたんでは、日本の安全保障はできないと思い詰めているのだろう。
そういう考えがあることは分かる。しかし、民主主義国家である以上手順を踏んで話し合わなければ、日本の武装化もできないのだ。どうしてもやりたいというのであれば、軍事クーデターと言うことになるのだろう。
そのいわばクーデターが石垣市議会で今日行われようとしている。こんな馬鹿げたことが日本の市議会であるとは思わなかった。手順を全く無視して、今まで積み上げてきた、自治基本条例を問答無用の、数の力だけで押し切ろうというのだ。
これは保守系議員の劣化である。焦りであろう。自分の考えを言葉で伝える能力が無いのだろう。防人理論を住民に伝える自信が無いのだ。自衛隊基地ぐらいで、まさか中国の攻撃を受け止められるとは誰も思わない。
中国が攻めてきたら、石垣市が犠牲になり占領される。その間に、本土は態勢を整えて、米軍の力を借りて反撃する。こういう考えなのだろう。一体石垣市民が犠牲になることを望むという市長はどういう人なのだろうか。
なぜこんな洗脳をされてしまったのだろうか。市長が右翼ゴロのように見える。保守系議員の多くも右翼ゴロのように見える。初めからこういう考えの持ち主が、本音を見せずに市長や議員になったのであろうか。
日ごろの選挙を甘く見てきた結果と言うことなのだろうか。しかし、石垣市には住民投票を名前を出して請求した人が三分の一居るのだ。さすがにこれほどの暴挙が許されるとは思えない。次の選挙では方向が変わるのでは無いか。そのためのヤケのヤンパチなのか。
自治基本条例は住民を交えた審議会を設けて改定を検討するというのが、当たり前の方法である。廃止をするのであれば、それこそ住民投票が必要であろう。そこで二分の一以上の廃止賛成であれば、廃止でも仕方が無い。
市長や保守系議員が、勝手なことをできないようにしているのが、自治基本条例の役割でもある。廃止を主張すると言うことは勝手なことをやりたいと言うことなのだ。住民の意思などどうでもいいのだ。今日が石垣島の不幸な日にならないように。