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イギリスのEU脱退

2019-12-20 04:33:46 | Peace Cafe


 イギリスもいよいよEU離脱という事が決定的なようだ。ジョンソン氏が首相になり、保守党が選挙で圧倒的な勝利をした。決められない議会の末の解散選挙。はっきりしない野党の姿勢の結果と言われている。私には一国主義の結果と見えている。世界がよその国のことどころではないという、方向に動いているように見える。

 アメリカではトランプ、イギリスではジョンソン、そして中国では習近平。ロシアではプーチン。独裁的な色合いの人が世界を動かし始めている。自国の利益だけを追い求めるリーダー。こうした人が選挙で選ばれるような世界になり始めた。麻生氏の言うとおり、ヒットラーは選挙で現われる。

 こんなことで世界は大丈夫なのだろうか。世界は資本主義の競争の激化で、追い詰められてきたのだろう。ヨーロッパでは中東からの難民問題。アメリカでは中南米からの移民阻止。外国人を排斥しようとしている。中国もロシアも昔からの覇権主義。第2次世界大戦の反省から始まった平和の希求から、少しづつ世界は一国主義に引いてゆくかに見える。

 それぞれの国に状況の違いはあるのだろうが、強い中心人物がいて強権を振るい、決めて行く。他国を利用だけして、排除する政策をとる。それに対する野党の意見の方がまともではあるが、まとまらない。理想主義は分散しがちだ。国民は我慢をしないことになった。

 こうして世界中が自国の利益だけを主張すれば、世界の破たんが待ち受けているのは自明の理に違いない。このまま進めば、世界の軋轢は高まることだろう。一国資本主義は成立するはずが無い。

 みんなが良くならなければ自分も良くなれないというのが、資本主義の原理のはずである。世界中の生活水準が上がることで、消費が浮上する。相手を滅ぼしてしまえば、消費が減少する。松下幸之助さんはそういうことを言っていた。

 日本の平和の理想主義は世界の希望だと思ってきた。武力を用いず世界の問題を解決する。当たり前のことだし、その様な努力以外に対立や戦争を避けることはできない。ところが平和憲法を持つ、理想主義の日本がアベ政権になり、憲法改定を主張し続けている。

 イギリスの選択は間違っていると私は思う。少なくとも世界の平和主義の後退である。正しい道というものは混とんとしている。未来の希望は現実主義よりもいつも霧で霞んでいる。確かに、一国主義は分かりやすい一本道。しかし、この道の先にあるものは必ず国家間の対立である。当然のことである。

 イギリスがEUを離脱して、経済が下降線をたどれば、国内の問題が一気に過激化する可能性がある。イギリスはEUと対立するだけではなく、国内の問題が表面化してくるはずだ。移民問題どころではない事になると見ている。

 イギリスの状況は複雑である。残留派住民が多い北部スコットランドは離脱に突き進むいきおいのまま、英国からの独立。そしてEU加盟を独自に探るスコットランド民族党は圧勝。20年に独立を問う住民投票が行われる可能性が高まる。北アイルランドでは、地続きのEU加盟国のアイルランドとの統合構想がある。

 アメリカと中国の争いは自分の国の利益だけの経済競争である。勝つか負けるかを争っている。互いの成長を望まなければ、未来がないという事が分からなくなっている。経済が豊かになり、貧しい国に足を引っ張られたくないという姿に見える。

 日本の経済は徐々に下降線に入ってきた。人口減少という事もあるが、それよりも国としての勢いが失われていると思う。ひとりあたりのGDPは世界で32位である。韓国が36位で台湾が46位である。香港は21位である。

 GDPがその国の暮らしを表しているわけではない。過去のインフラが整っている国はいまGDPが低くとも、公共投資が不要なため生活水準は高くなる。日本は人口が多かったので、国別のGDPでは世界2まで登ったこともあった。一人りあたりでもトップテンには入っていて、世界の上位国であった。

 日本の現状としては、公共的な施設への投資はまだまだ不足状態である。災害多発列島という事もあり、様々な環境整備の投資を続けざる得ないのだろう。原発などへの投資も、取り壊すとなれば負のGDPである。

 いずれにしても毎年順位は低下している。問題はこの実情を認めることのできない、政府と国民ではないだろうか。順位を上げろというのではない。日本はあと十年すれば、世界でも中位の国になり、世界での発言力のない国になるという事実である。

 イギリスのEU離脱は過去の栄光への幻覚のような気がする。植民地からの恩恵を失い、大英帝国の頃に投資した公共施設も徐々に更新が必要になっている。そこに旧植民地からの移民が増大している。白人の国とも言えないぐらい多種類の人種が存在する。こうした状況での国の方向の選択である。民主主義的選挙が正しい道を選ぶとは限らない。


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