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三菱の強制徴用

2015-07-26 04:23:24 | Peace Cafe

三菱マテリアルは強制徴用された中国人3765人に対し、1人当たり10万元(約200万円)の賠償金を支払うと表明した。最高裁が賠償請求を認めなかった中国人被害者に対して、日本企業側が謝罪・賠償する新しい決断をした。三菱マテリアルは今月19日(現地時間)、第2次世界大戦中に強制労働をさせられた元米国人捕虜に謝罪もした。強制徴用問題は、過去解決済みということで日本政府も、日本の最高裁も、賠償を認めてこなかったことである。三菱側は「元労働者の人権が侵害された歴史的事実」と「使用者としての歴史的責任」を認め、「深甚なる謝罪と哀悼の意」を示す用意があるとしている。徴用というものは、私の母も、名古屋の繊維工場で徴用されていた。母はお国のためだから、当然と考えていた。もちろん恨みもないし、お国のために必死で働いたと話していた。工場で働いていたときに、大きな地震があり、大変だったことをよく話した。

母は、山梨の山の中から、名古屋の体育学校に進学した。祖母は看護師さんだったということもあり、医学の道に進みたかったという。体の弱かった母を丈夫にするには、体育学校に行かせるのがいいという判断で、祖父に無理やり名古屋の体育学校に入れられたらしい。母は小児結核をやったことがあり、体が十分でなかった。しかし、体育学校の授業に通った時期はわずかで、ほとんど名古屋の工場で働いていた。何とその頃の母の同級生が私の絵の呉の友人に偶然いた。いろいろ話を聞かせてもらったことがある。ただただ、お国のために働いたということだったらしい。日本人であれば、大半の人はそうだったのだろう。しかし、中国人は日本と戦っている人たちである。日本の企業のためは、反中国ということになる。それを強制的に徴用されやらされたのである。私なら我慢できないようなことだ。

母の人生は、戦争で大きく影響を受けた。人間にとって最も大切な、自由に人生を歩むということを、決定的に制限されたのだ。しかし、政府や名古屋の繊維工場に賠償請求をしたいなど少しも考えなかった。それが自分の生き方と言える様に、戦争に巻き込まれていたからだ。一方、日本のために、徴用された中国人、さらに数の多いい朝鮮人には耐えがたいことであったはずだ。三菱はここでも米国人捕虜には、謝罪をしているから、朝鮮人労働者はいなかったということなのか。当事の世界情勢を考えれば、悪かったのは日本だけではない。戦争をしたすべての国に問題があったはずだ。敗戦国だけが責任を追及されるという、不公平に不満はある。シベリアの抑留、強制労働など、人道に反する行為だ。敗戦国日本が口にすることは少ない。日本は潔く非を認め、二度と戦争などしないということになる。日本が堂々と正しい道を歩めば、黙っていてもそのことはいつかは正当に評価される。そうしたことが分かる世界の人たちと、日本は連帯すればいい。

日本政府は、安倍氏は戦争被害に対する謝罪の表明をやめるかもしれない。そして戦後70年の平和国家としての日本の歩みを強調しようとしている。そのことがどのように、強制徴用被害を受けた人たちの心に受け止められるのかを考えれば、許されることではない。日本が戦争で行ったことを正面から受け止め、謝罪し、必要な賠償を行うべきだ。今回三菱が賠償を決めた背景にあるのは、グローバル企業として、世界に通用する姿勢を考えたからであろう。日本政府が謝罪をしないということは、日本国が世界に通用しないということになる。世界の目はそれほど日本に厳しいものになっている。中国の覇権主義と同じように、安倍政権の方向転換が、危険視されているのだ。今まで、日本が敗戦国でありながら、世界に許され、受け入れられてきた理由は、二度と戦争はしないと誓い、武力を捨てたからだ。


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