中国の王毅国務委員兼外相は24日、米ニューヨークであった国連総会の一般討論で、「代理戦争をあおる国はやけどを負う」と述べ、そのうえで「根本的解決のためには全ての関係国の正当な安全保障上の懸念に対応し、バランスが取れ持続可能な仕組みを作ることが重要だ」と指摘した。
中国外相の主張の通りだと思う。「持続可能な仕組みを作る」ことに世界中が本気にならなければ、世界は代理戦争の時代に入る。では中国は持続可能な仕組みを作ろうと努力しているのかと言えば、そうとも言えないだろう。ロシアもそうであるし、日本も持続可能な仕組みを模索しているとは言えない。何が正しいか分かっていながら、どこの国もやろうとはしない。
ウイグルの人達や、香港の人達にしてみれば、中国の持続可能な仕組みとは、国家権力によって反対勢力の自由を抹殺してしまうと言うことになる。果たして中国が考える持続可能と言うことは、人間はだめなものだから、正しい判断が出来る国家権力が自由を奪っても良いと言うことになる。
それは、国家のためには都合が良いし、資本主義の競争にも有利と言うことになるのだろう。世界が国家資本主義に成って行く可能性が出てきている。一方でEUのような経済共同体の構築という希望もある。日本は本来であれば、東アジア経済共同体を模索すべきなのだろう。
中国はロシアに対して黙っていることで、漁夫の利を得ている。ロシアのウクライナ侵攻で、あらゆる国が被害を受けている中で、一番被害が少ないのが、中国である。黙っていることで有利が転げ込むならば、動かないことに限る。これが持続可能な態度とは思えない。
中国は無謀な国家ロシアに巻き込まれ、世界から引き釣り下ろされないように立ち回ることが、これからの中国のめざす政策になるだろう。先日の習近平プーチン会談は、ロシアの戦争には中国は賛成では無いと言うことが示されたのだと思う。
その結果ロシアは最後の手段として、徴兵を始めたと思われる。ロシアはかなり苦戦をしていると言うことが見えてきている。ロシア防衛戦には耐えるが、国外での攻撃力は弱いのかもしれない。アフガンでもひどい敗北を喫した。チェチェン共和国の独立運動ではボリショイ劇場の占拠事件が起きた。
プーチンがかってに追い詰められ、失脚してしまえば一番良いのだろうが、ロシア人は世界から孤立していた長い間に、歪んだ人達になっているかのようにプーチン支持が続いている。このさきのロシア国内の動きは予測できない。原爆を使う可能性も無いとは言えない。
ロシアが予備役の徴兵を進めた。これはロシアには戦力に余裕がないと言うことを国民に告げたと言うことになる。10万人に近い人が戦死しているという予測も出ている。両者の情報戦だから正確なところは見えないが、予備役を徴兵しなければ、戦えなくなっていることをロシアの国民は自覚したところだろう。
ロシアの人達にまだ理性が残されているならば、こんな馬鹿げた戦争を始める意味があったのかと考え始めているはずだ。自分が人殺しに引き釣り出され、運が悪ければ殺されるか、殺さなければならないと考えれば、誰だって何かがおかしいと考え始めるはずだ。
ロシアから国外に逃げる人が出はじめている。予備役の徴兵反対のデモが起きている。こういうことは当然なことで今まで戦争反対が見えなかったことの方が、余りに不自然であった。10万人が死ねば100万は家族や親しい人だ。黙っているはずがない。
これから徴兵される家族であれば、なおさら危機感が強いはずだ。これは何百万人に影響を与え始めているはずだ。ロシアとしてはウクライナがナトウに加盟することになれば、国家存亡の危機だと考えたのだろう。しかしそれを外交交渉ではなく、軍事侵攻を突然始める異常さはさすがにロシア人は感じ始めているだろう。
しかもその軍事侵攻が予備役の徴兵にまで及び、そう簡単なことではなかったとなると、さすがに何かがおかしいと主張する人が出てくるはずだ。そうなれば今までの一枚岩もどこかほころびが出てくるはずだ。
世界はロシア国内の普通の市民達と連帯を示し、繋がらなければならない。ロシア国内から、戦争反対の声が盛り上がれば、戦争は終わりになる可能性が出てくる。おかしいのはプーチンとその取り巻きであり、ロシアの普通の人達がおかしいわけではないはずだ。
世界の常識がどこにあるのかを、ロシアの異常さを伝えて行く必要がある。問題の大半はプーチンの独裁にあることを、ロシア人は自覚していないようだ。ロシアの独裁政治を一般市民が変える以外に道がないと言うことを伝えなければならない。
その一番おおきな役割が中国にあるのだろう。中国とロシアはよく似ている政治体制である。プーチンに引導を渡せるのは中国だけだろう。中国が何もしない対応を明確にして、経済協力をしないとなれば、それもロシア市民が変わるきっかけになるだろう。それが中国の国益となると考えれば、中国は動くはずだ。さすがにプーチンが破滅的な戦争に進むことは中国の利益にもならないはずだ。
中国はロシアの市民に対して、戦争終結を促すことが可能な国だ。中国が止めたほうが良いと終結を促せば、ロシアの市民もさすがに戦争反対の主張を始める可能性が高い。今や中国はロシアの動きに影響を与えうる唯一の国になっている。中国が経済協力を止めるとなれば、プーチンもさすがに戦争の継続は出来ないだろう。
中国のこれからが日本の未来に大きく影響する。中国がどのような状態になるかで、日本の在り方もかわってくる。韓国は中国に近づきすぎて、非常に難しい状況に陥った。韓国も政権が変わり、アメリカとの連携を強化して行く戦略に変わったようだ。日本との関係も見直しをせざる得ないのだろう。それに対して、韓国は大統領の不支持が広がっている。
今の日本はアメリカの配下の国である。韓国も同様である。その結果中国は仮想敵国とされている。そのアメリカも一国主義化して、日本はとの関係は揺らいでいるところがある。バイデンはそれを修復しようとしている。日本と韓国と台湾の軍事強化が背景にある。
まとまって中国に対抗しなければ、アメリカも危ういという意識だろう。日本はむしろ東アジアの連携を模索する必要がある。中国との平和的な経済関係の構築を目指す。中国の未来が見えていないが、中国と友好関係にならない限り日本の未来は見えてくないだろう。