蛙と蝸牛

本の感想。ときどき競艇の話。

0から始める都市型狩猟生活

2010年11月15日 | 本の感想
0から始める都市型狩猟生活(坂口恭平 太田出版)

東京でホームレス(路上)生活をするためのノウハウ本。
哲学めいたことが書いてある箇所もあるが、ノウハウ紹介に重点が置かれているところが好印象。

東京では、年中炊き出しが行われているそうで、服や靴はごみ収集所にいけばいくらでもあり、ダンボールハウスは冬でも十分に暖かいそうで、つまりは東京でのホームレス生活はそれなりに快適であるとのこと。
また特定の職業につけなくても空き缶拾いや、ごみの中から貴金属をさがしたりするなどで現金収入を得ることも可とのこと。医療も炊き出しを実施している慈善団体が用意していることが多いらしい。

私は、貧乏性でケチなので、こういう貧乏くさい(著者はそう思っていないが)話を読むのは大好きで、本書は(現実のノウハウ本というよりフィクションの一種として読む分には)とても楽しめた。
ダンボールハウスや竹とひもとブルーシートで作る家なんかはじぶんちのベランダでやってみたいと思うほど。(本当に路上でやってみたいとは思わないところが根性なし)


ノウハウとして欠けているのは「家族で路上生活する方法」だろうか。というか本書は、社会的拘束をはずれて一人で生きて行きたい、という願望が前提となっているのだと思われ、家族の不存在が前提となっているのだろう。やっぱり病弱な妻や学齢期の子供がいる路上生活は厳しいものがある。

路上での自由な生活は、すばらしいかもしれないけれど、それを嫁さんや子供に理解してくれ、というのはやっぱり無理。
そういえば、昔、大金持ちが趣味で、時々路上で乞食をやっているという話をきいたことがあったけど、本書をフィクションあるいは他人事として読む、あるいは、趣味として楽しむ、という程度が凡人にはせいぜいだと思う。

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