蛙と蝸牛

本の感想。ときどき競艇の話。

猿の惑星 創世記

2012年05月31日 | 映画の感想
猿の惑星 創世記

TVのある動物番組で、チンパンジーにいろいろな人間の仕草を教え込むコーナーがある。
言葉はしゃべれないが、その他はほとんど人間なみの賢さを感じさせる場面が多い。

チンパンジーの賢さを強調するためにアタマを使うようなことをさせることが多いのだが、あるとき(うろ覚えだが)チンパンジーにスケートボードのようなものをやらせるという企画があった。
それを見て(私が)驚いたのは、チンパンジーは恐ろしく運動神経がいい、ということ。

もちろん、驚くべきことではなくて、当たり前なのだが、普段その賢さばかりが強調されるので、彼ら(チンパンジー)が猿であることをつい忘れてしまっていたのだと思う。


本作に登場する、チンパンジー他の猿たちも、当たり前だが運動神経がいい。
認知症用の新薬を投与されて人間同様の知能を持ってしまえば、彼らが人類の脅威となりうることにそれなりの納得感があった。

しかし“ファースト”猿の惑星は、人類が恒星間飛行ができるほどの未来の話だったはずで、本作とそこまでの未来との間には大きな懸隔があるような気がするが・・・単に続編を乞うご期待ということなのだろうか?
ただ、子供のころに見た“ファースト”猿の惑星の衝撃はPTS並みに私の中に残っていて(小学生だったので、単に人間が猿の奴隷になっているのが怖かっただけかもしれないが、それでもやはりラストシーンはインパクト十分だった)、それに比べると少々食い足りない感じだった。

本作の猿の登場シーンはほとんどCGだそうだが、あまり違和感はなかった。
猿をモチーフにしてこれだけリアルにできるのだから、人間自身を主人公にした実写風フルCG映画もできそうな気がする。
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ウインターズボーン

2012年05月30日 | 映画の感想
ウインターズボーン

17歳の主人公の父は、麻薬絡みの事件で裁判にかけられようとしていたが、借金してこしらえた保釈金で出所した後、行方をくらます。
主人公の母は精神病で、幼いきょうだい二人を抱えて、主人公は日々暮らしていくのがやっと。
そこへ保安官?が来て父が裁判に出頭しなければ保釈金の担保に入っている自宅や森をとりあげる、という。
主人公は父を捜し始めるが・・・という話。

主人公は、叔父や遠縁の一族?を訪ね歩くが、皆、父にかかわるのを避けて非協力的である。しかし、困り果てた主人公が無謀な策をめぐらすのを見て、やがて協力しはじめる。その、主人公の悪戦苦闘ぶりが周囲の大人の態度をしだいに変えさせていくあたりがいい。

舞台は、「ここは現代のアメリカ?」と思えるほどの田舎(例えばリスを銃で捕獲して皮をはいでフライにして食べちゃうとか)なのだけれど、アメリカと言えど、そんな僻地に行けば一族や血縁の関係というのは濃密(この映画で見る限り日本の田舎のそれよりずっと濃い感じ)なんだなあ、と思えた。

暗いストーリーなんだけど、主人公が支える家族関係は暖かくて、この手の映画にしては珍しくハッピーエンディングが訪れるので、見終えた後さわやかな気分になれた。
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マネーボール(映画)

2012年05月30日 | 映画の感想
マネーボール

大リーグ・アスレチックスのGMビリーは、かつてトップレベルのドラフトでメッツに入ったが選手としては活躍できずに終わる。自身の経験から在来のスカウト手法に疑問を持ち、自らのチームではサイバーメトクスを駆使して編成を行う。

当然、チームの監督(フィリップ・シーモア・ホフマンがとても好演。この人「ダウト」の牧師役だったと思うけど、その時もよかったなあ)やスカウト達、昔からのスタッフは猛反対。

試合でもなかなか結果が出ず、思惑通りに行かないチーム運営にビリー(ブラッドピッド)は、短気な性格からモノに当たりまくるのだが、この手のシーンが少しずつ趣向を変えて繰り返されるのが面白かった。(ビリーが短気なのは事実らしく、この性癖からナマで自身のチームの試合を見ようとしないという)

映画の中では、サイバーメトリクスの説明がほとんど出てこないので、野球に詳しくない人や原作を読んでない人には、ビリーの策のどこが革新的なのかさっぱりわからないとは思うが、この映画委のテーマは、過去を全否定して「改革」に挑むリーダーと、なじみの過去を懐かしむ現状肯定派のあつれきを面白おかしく描くことのようなので、細かい説明はどうでもよかったのだろう。
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