蛙と蝸牛

本の感想。ときどき競艇の話。

天使と悪魔

2016年11月03日 | 本の感想
天使と悪魔(ダン・ブラウン  角川文庫)

ヨーロッパの科学研究組織が反物質の生成に成功するが、それを何者かに盗まれてしまう。反物質は適切な管理をしないと核爆発並の反応を起こしてしまうのだが、それがコンクラーベ真っ最中のヴァチカンに持ち込まれたことがわかる。主人公の宗教象徴学者は、事件に巻き込まれて誘拐された枢機卿と反物質を探し回るが・・・という話。

映画「インフェルノ」が公開されて、いまさらながらラングトン教授シリーズを読んでみようと思い立った。
ホラ話はスケールが大きいほど面白くなる、という法則?の典型例のようなストーリーで、ベストセラーになるのもわかるなあ、とは思った。
イルミナティに関する説明やローマの地理や美術品に関する蘊蓄、科学と神学の対立をテーマにしているフリをしている?ことなどが読者のスノッブを刺激して、著者が作り出した大きなウソを覆い隠している(荒唐無稽なストーリーにリアリティを持たせている)ように思えた。

それにしてもラングトン教授の超人ぶりはスーパーマン並だなあ。
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火星に住むつもりかい?

2016年11月03日 | 競艇
火星に住むつもりかい?(伊坂幸太郎 光文社)

平和警察という組織は、いいかげんなタレコミをもとに無実の人を拘束しては拷問して不実な自白をさせ、国家への反逆者に仕立て上げては公開処刑でギロチンにかける。
妻を病気で亡くして自暴自棄に陥っていた主人公は、自分の店の客が平和警察に捕まったのを知り、ある秘密兵器を携えてその客たちを救い出そうとする。

伊坂さんの作品を読んでいなかったとしたら、あるいは、この本の著者が伊坂さんと知らずに読んだとしたら、もう、この設定だけで本を放り出しそうな感じなのだが、終盤にはちゃんと辻褄を合わせて?物語として成立させているのは、さすがだ。

平和警察やその他の主人公の「敵」たちの悪としての描写が(著者はS系の人なのかと疑いたくなるくらい)非常に巧みで、読者として苛立ちみたいなものを感じてきたあたりで主人公が勧善懲悪のヒーローとして登場するのは、あざといんだけどカタルシスがあった。

また、主人公が、妻が突然の病いで非常に苦しみながら死んだことの理不尽さを嘆く場面が印象的だった。

あとがきによると、タイトルはデヴィッド・ボウイの曲「LIFE ON MARS?」から取っているそうなのだが、この曲名の本当の意味は「火星に生物が?」くらいのものだそうである。
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