蛙と蝸牛

本の感想。ときどき競艇の話。

数学が見つける近道

2023年09月23日 | 本の感想

数学が見つける近道(マーカス・デュ・ソートイ 新潮社)

数学者のガウスは、小さい頃に先生から「1から100までのすべての数を足すといくらになるか」という問題を出されて一瞬で答えをだした(50✕101=5050)。このような近道(ショートカット)を見つけるのが数学の最も有効な使い方だと著者はいう。

一方、新しい近道を見つけるには(ガウスのような人でないと)相当に長時間の思考と試行錯誤が必要であり、下手すると力づくで問題を解決するよりも長いかもしれない。その苦労の末にひらめきが降りてきた時の快感こそが数学という学問の醍醐味なんだ、ともいう。

私は数学が非常に苦手で、数学でひらめきが降りてきたことは生涯一度もない。しかし、仕事では同じことをずーっと考えているうちに、思いもかけないようなスマートな解決法を思いついたことは何度かあり、著者がいう、何かが降りてくる瞬間ってそういうことなんだろうなあ、とは何となく思うし、確かに快感が走るだろうな、とも思う。

本書の内容で最も印象に残ったのは、都市の規模が2倍になると社会・経済的な要素は2倍よりちょっと増えるのだが、そのちょっとがどのくらいかは、どの要素もほぼ同じで15%だという説。これを見つけたのは米サンタフェ研究所の理論物理学者だった。サンタフェではさまざまなジャンルの学者がともに研究することで思いもかけない発見が相次いだそうで、これもその一つだという。


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