蛙と蝸牛

本の感想。ときどき競艇の話。

ドラフトデイ

2015年12月27日 | 映画の感想
ドラフトデイ

NFLのドラフトをめぐってGM同士のかけひきを描く。

主人公のGM(ケビン・コスナー。ずいぶん腹が出ているのは役作り?)は、オーナーの意向もあってハイズマン賞のQBを狙って向こう3年間の1位指名権と今年の全体1位の指名権のトレードをしてしまう。しかし、スタッフからは大ブーイングで、さらに狙いのQBを調べるうち、意外なウイークポイントが見つかり・・・という話。

NFLの試合にはそれなりに興味があって気が向くとNHKBSの深夜放送?を睡眠不足を心配しつつ見たりしているのだが、ドラフトがこんなに盛り上がるイベントだとは知らなかった。

シーズンの順位が下のチームから指名していくウエーバー方式なので、日本の野球のドラフトみたいに籤で運命がわかれるようなドラマチックさがないのでは?と思っていたが、指名権を(指名権同士や所属選手と)トレードできる仕組み(しかも来年以降の指名権すらトレードできる)があって、まさにGMの腕と度胸で大きな成果をあげることができるシステムになっていて、指名するその時まで結果が予想できない、ハラハラドキドキの仕組みになっていたのだった。

しかし、この映画を見る限り仕組みが複雑すぎるうえに、指名直前(前のチームの指名から10分程度の猶予時間があるのだが、その10分間の間すらGM同士が電話でトレード話をする)までトレードできるので、TVの前の一般ファンにはわかりづらいのでは?と思えてしまった。

もっとも、権謀術数をめぐらして狙いの選手を指名したとしても上位指名の選手が活躍するとは限らないのは日本のプロ野球と同様のようで、この映画の中でも「ブレイディは190位台指名だった」みたいな主旨のセリフがあった。

日本のプロ野球でも、アマ時代に輝かしい実績を残し、プロのスカウトがこぞって評価したドラ1なのにプロにはいるとさっぱり、という人がけっこういるのはなぜだろう。
メンタルの問題なのか、アマ時代に酷使されたせいなのか、はたまた人生のピークがアマ時代に来てしまったのか、少年野球から始まるとてつもなく広い裾野から、これ以上ない厳しい選別のアミをくぐり抜けたほんの12人でさえ、大きな当たりはずれができてしまうのは本当に不思議だ。

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インターステラ―

2015年12月23日 | 映画の感想
インターステラ―

地球環境の悪化により異常気象が続いて(?)乾燥地帯が拡大し農作物の収穫量が激減し人類の存続すら危ぶまれる未来。
主人公はかつては腕利きの宇宙パイロットだったが、今は家族で農園経営をしている。しかし、謎のメッセージに導かれて人類移住の惑星を探すプロジェクトに従事することになる。
このプロジェクトでは、ワームホールを利用してワープ(?)する計画であり、これは(主観時間がゆっくり経過するため)家族との別れを意味していた・・・という話。

ハードSFとも言えそうなストーリーで、そうした方面に無縁な人が見たらわけがわからなくないのではないかという懸念を感じるが、私はけっこう楽しめた。
全体に難しそうな理屈を(適度に省略しながら)上手に説明していたと思う。ただ、主人公を導くメッセージなどいろいろな謎のタネはSFに慣れた人ならすぐにわかってしまいそう。

冒頭の(本筋とは全く関係ないエピソードだが)、主人公がコントロールを失っても飛び続けるドローンを車で追っかけて捕まえるシーンが面白かった。
アン・ハサウエイは美人すぎてこういう映画には合わない(特に宇宙服が似合っていない)ような気がした。ただ、ストーリーと関係なく、登場するともっと長く映してほしいと思ってしまうのだけど。
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ダイナー

2015年12月20日 | 本の感想
ダイナー(平山夢明 ポプラ社)

アングラなバイトをしてその筋の人に捕まってしまった主人公は、ボンベロという男が経営するレストランに売り払われる。
そのレストランは職業的?殺人者が集う店で、主人公はボンベロにウエイトレスとしてしごかれるうち、殺人者と渡り合えるたくましさを身に着ける・・・という話。

グロ系、ホラー系は苦手なので、著者の作品には近づかないようにしていたのですが、本書は、各種書評で評価が高く、グロ度やホラー度も(比較的)マイルドという評判だったので、読んでみました。

でも、冒頭で主人公が痛めつられるシーンですでに読むのをやめようかと思ってしまったほど(私にとっては)グロかったです。

ストーリーは虚構性が強くて、イマイチついていけない感じでした。ただ、ボンベロが作るハンバーガーはとてもおいしそうに描写されていて、本格的なハンバーガーの店に行ってみたくなりました。
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スクールオブロック

2015年12月20日 | 映画の感想
スクールオブロック

ロックに人生をかけている主人公は、居候している友人(学校の臨時講師)の家にかかってきた求人(別の学校の臨時講師の口)の電話をとって友人になりすまして小学校の先生になる。
授業時間中に、こっそり生徒にロックバンドの練習をさせてコンクールに出場する・・・という話。

昔から各種のおすすめ映画リストでよく見かける作品なのだが、ロック自体に親しみがない私としては、いまいちピンとこない感じだった。ロック好きの人にとっては作品中で演奏される名曲や、(多分いろいろな場面に挿入されていると思われる)ロックに関するエピソードなども、とても楽しめるものなのだろう。
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その女アレックス

2015年12月11日 | 本の感想
その女アレックス(ビエール・ルメートル 文春文庫)

看護師のアレックスは自宅近くの道路で男に誘拐され廃屋に監禁される。狭い檻に閉じとめられ何日も放置されて死も間近かと思われたが何とか脱出する。すぐにも助けを求めるかと思われた彼女は姿を消し、誘拐事件を捜査する刑事カミーユは彼女を追う・・・という話。

ミステリというよりサスペンス小説だが、若干くどめの描写に慣れれば、二転三転(いや四転くらいしたかな?)する大仕掛けのストーリー展開に気持ちよく翻弄されることができるし、誰が被害者で誰が加害者なのかすら判然としない筋書のアイディアはとても斬新で、昨年の各種ランキング上位を独占したのも、もっともと思われる。

さらに本書を魅力的にしているのは、アレックスの行方を追うカミーユをリーダーとする刑事グループのキャラだろう。
カミーユは身長140センチ台で子供のような背丈なのに刑事としてのプライドの塊のような人物で、妻は事件で殺され両親もすでに亡く天涯孤独。今は飼い猫だけが唯一の慰めである。
ルイは富豪刑事。高価な衣服を小粋に着こなすが、刑事としての技量も一流。
アルマンは極度の吝嗇だが、仕事への熱心さはピカイチ。
暴走しかけるカミーユをルイとアルマンが上手にコントロールしてチームワークはバツグン。
事件解決後に明かされる彼らチームの小さなエピソードが、やや陰惨な印象の物語にわずかな救いをもたらしている。
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