蛙と蝸牛

本の感想。ときどき競艇の話。

いつも旅の中

2014年02月02日 | 本の感想
いつも旅の中(角田光代 アクセスパブリッシング)

旅行が趣味の著者自身の体験を描いた旅行記。

海外に出かけるまでは、いろいろな心配をしまくってガイドブックを読みふける著者が、いざ現地にいくと(どこに行っても)地元の人とすぐ仲良くなってしまうのが不思議だった。

親切そうに寄ってくる人は何か悪だくみをしているに違いない、なんて私なんかは思ってしまってそう簡単に仲良くなれそうもないし、現地の人しか乗らないような長距離バスなんて怖くて乗れそうもないが、著者はこうしたことは全く平気なのだ。
そして、この本に書いてあることが事実なんだとしたら、海外でも日本の大阪のおばはん並に世話焼きで過剰なまでに(知らない人にも)親切な人はいっぱいいるということになる。(人あたりがきついというので)著者が毛嫌いしているらしい中国でさえ、夜中の空港で途方にくれている著者をホテルまで案内してくれた人がいたそうだから。

それはともかく、本書を読んでいると、けっこう旅した気分にひたることができた。エッセイでも、小説並かそれ以上に並はずれた技量が光っていた。
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1Q84

2014年02月02日 | 本の感想
1Q84(村上春樹 新潮社)

近所の図書館にはBOOK1~3が3セットあるのに、開架で見かけるようになったのはやっと最近で、やっぱり人気あるんだなあ、と思った。

それで、やっとこさ読んでみたのだけれど、いつものように不条理的な設定ながらも、小学校で出会って初恋どうしの天吾と青豆が青年になって再び巡り合うまでの物語という筋は明確だし、これ以上ないというハッピーエンドで終わるし、青豆は藤枝梅安並みの技を使う暗殺者だったり、いろんなブランド名が登場したりして、どちらかというと同じ村上でも「龍」さんの方の作品か?と思ってしまうような内容だった。

このままではまずい、と著者も思ったのか、BOOK3になって、それまで端役だったはずの牛河(天吾と青豆をマークする宗教団体の手先で、二人の現在と過去を調査している人)が独立章を設けてもらえるほど前面に出てくるようになって、むしろ彼の行状を描いた部分が最も興味深く読めた。
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