蛙と蝸牛

本の感想。ときどき競艇の話。

犬の力

2009年11月29日 | 本の感想
犬の力 (ドン・ウインズロウ 角川文庫)

主人公のアートは合衆国の麻薬捜査官。メキシコを経由の麻薬流入を阻止しようとメキシコの麻薬王バレーラ一家と果てしない戦いを数十年も続ける。
バレーラ一家は同業者との血みどろの抗争をくぐりぬけてメキシコで覇権を唱えるが、メキシコ出身のカトリックの枢機卿を殺したことからアートの殲滅作戦に壊滅状態に追い込まれる。

麻薬流通をめぐるアートとバレーラ一味の戦いが主筋だが、負けず劣らず、ノーラという高級娼婦と幾人かの登場人物の恋物語も重きをおいて描かれる。
アートもバレーラの頭目ミゲル、アダンも意地の張り合い以外はけっこう軟弱なのに比べて、ノーラのキャラが際立っている。彼女はハードボイルドな(?)娼婦で、ストイックに商売に専念し、女の魅力を磨き続ける。本当に惚れたのは高齢の枢機卿だけで、彼が殺された後、復讐を誓ってアート側のスパイになる。

上下巻合計1000ページ近くあり、いくらなんでも長すぎる。
下巻の後半から相当盛り上がるが、そこまで着くのに一苦労。
あと、日本語表記だと似た名前の人物が多いのも、少々読み進みにくい感じを増す原因になっていた。

私としてはドン・ウインズロウに期待するのは、ストリートキッズシリーズのような(よくありそうな警官とか探偵とかのようなのではなくて)オリジナリティの高いハードボイルドなのだが、そのリクエストにぴったりくるのは、前記のように、ノーラくらいで、他の登場人物はちょっと類型的な感じ。
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チームバチスタの栄光(映画)

2009年11月19日 | 映画の感想
この話には謎解きが2つあって、その一つ目が「映画ならでは」といえる表現になっていて感心した。二つ目の方が本当の謎解きなのだが、こちらの方は、まあ、ありきたりだった。

いろいろなところの映画評を見ると、概して評判が良くなかったので、そのつもりで見ていたのだが、それほどひどい内容でもなく、十分に楽しめた。もっとも、原作の方の評価は非常に高いようなので原作と比べると見劣りがするのかもしれない。(私は原作は読んでないが、読みたくなった)

主役の一人の竹内さんは、ボケ役なのだが、あまりにもボケすぎていてとても医者には見えない。これは演技というより脚本のせい。他の作品並みに「きりっとしているが、それゆえに白鳥にかきまわされて混乱する」みたいなキャラだったらよかったと思った。
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