蛙と蝸牛

本の感想。ときどき競艇の話。

サイパン邀撃戦(上)

2012年11月18日 | 競艇
サイパン邀撃戦(上)(谷甲州 中公Cノベル)

「マリアナ機動戦」の最後でサイパンの制空圏を奪われた日本軍が、サイパンへの上陸を目指すアメリカ艦隊を捕捉したことから、後部に飛行甲板を載せた上に主砲は陸奥のそれを換装したスーパーな(「覇者の戦塵」シリーズらしからぬ豪華?さの)重巡「大峰」および飛行魚雷(誘導ミサイル)の発射装置を装備した軽巡2隻を中心とした艦隊でこれを襲撃したが、相手は戦艦を中心とした強力打撃部隊だった・・・という話。

「あとがき」で著者が言っているように、「覇者の戦塵」シリーズとしては珍しく戦艦を含む艦隊の砲戦という派手なシーンが実現したのだが、実際には「大峰」の主砲はなかなか火を噴かず読んでいる方は少々イライラさせられる。この辺がこのシリーズならではの「リアリティ」(記述がリアルかどうかは知識不足でしかとはわからないのだが、なんとなくリアルな感じを醸し出している)なのだろう。

で、上巻はクライマックスのど真ん中で終わってしまった。下巻を早く書いていただきたいです。少なくとも1年空けるなんてことがないように。
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ヒューゴの不思議な発明

2012年11月18日 | 映画の感想
ヒューゴの不思議な発明

ヒューゴは父母を亡くして、パリの大きな駅の天井裏?に住んで、時計守り?をしている叔父にひきとられる。
父が取り組んでいたからくり人形の修復に取り組むが、叔父はまともに食事も与えてくれない。
部品集めに苦慮してエキナカのおもちゃ屋から万引しようとして店の主人につかまる。この主人は、かつては映画創生期の有名なプロデューサー(兼監督兼俳優)だった・・・という話。

スコセッシ監督が若かった時代は多少こうした無声映画時代の雰囲気の名残があったのだろうか、ストーリーや画像に、そうした監督自身の思い出に沿った古典的や様式美や構成を取り入れている感じがした。上映時間がちょうど2時間ぴったりというのもその一環だろうか。

何度か見直して細部を楽しむような映画なんだろうなあ、と思ったが、お気楽に娯楽作品として楽しみたいという、私のような者には少々退屈だった。
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キツツキと雨

2012年11月18日 | 映画の感想
キツツキと雨

主人公(役所広司)は岐阜の山奥できこりをしている。
妻はすでに他界しているが、家事はそつなくこなしている。悩みはプータローの息子がなかなか落ち着かないこと。
ある日、作業場近くにゾンビ映画の撮影隊がやってくる。主人公はふとしたきっかけから撮影を手伝うことになり、映画作りの面白さに目覚めて積極的にかかわるようになる。
このゾンビ映画の監督(小栗旬)は主人公の息子と同じくらいの年齢なのだが、気弱の上、ベテランのスタッフに囲まれて思い通りに進めることができないでいたが、きこりの主人公と交流するうち、監督として自信を取り戻していく・・・という話。

ツタ●で、特に借りたいものがなくて、あまり期待せずに借りて見たのだけれど、とても楽しめた。

一つには、主人公が私の出身地のそれに近い方言を使うので、ストーリーに入り込みやすかったためであろう。役所さんの方言は相当にうまい。

二つめには、役所さん演じる、素朴でぶっきらぼうで裏表がなくて、でもなぜか家事全般ができるきこりが、リアリティがあるというのか、いかにもすぐそこに存在してそうな感じがして、そんな人が全く別世界の映画製作にのめりこんでいくプロセスがとても自然に描かれていたからだ。

三つめには、悩める監督を演じる小栗さんも(小栗さんが出た映画を初めて見たので思っていたよりずっと)良くて、助監督役(古館寛治)、カメラマン役(嶋田久作)も、いかにもいそうという好演だったせいだろう。この「キツツキと雨」の監督とスタッフとの関係も作中作にかなり近いのでは?と思わせるほどであった。
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エースは一発病

2012年11月18日 | 野球
私は、プロ野球の千葉ロッテマリーンズのそこそこ熱心なファンなのですが、とりわけ成瀬投手が贔屓の選手です。

勝利数は10勝をちょっと超えるくらい、というのが多いので堂々とエースと呼ぶのは少々ためらわれますが、ここ数年はローテーションを守り続けて、投球回数はいつもリーグトップレベル。故障で休んだところをほとんど見たことがなく、「無事これ名馬」という基準でみればあるいはリーグトップの先発投手といえるのではないでしょうか。

ストレートはほぼ130キロ台。切れ味鋭い落ちる球があるわけでもなく、生命線はコントロールです。
ローテーションピッチャーとしての通算四死球(の少なさ)という記録があれば、おそらく現役トップなのではなかろうか、と思われます。特に死球を与えることはめったにありません。
つまり、「軟投派」に分類されるわけで、ここでも「エース」の称号を冠するのをためらわせる理由があります。

さらに印象を悪くしているのは「一発病」と揶揄される被本塁打数の多さです。球威がないので当たると飛ぶのか、ホップする球筋のせいか(江川投手、元ソフトバンクの和田投手も同じ理由で被本塁打が多いと聞いたことがあります)、特に今年は夏以降、試合中盤以降に下位に打たれる場面が目立ちました。


もし、成瀬投手がもっと投手陣が豊富なチームにいて、先発ローテの2番手くらい(去年までの日本ハムの武田(勝)投手のような立場)だったら、もっと気楽に投げられてもっと良い成績があがるのではないかと思います。
幸か不幸か今のロッテのようなチームにいるので、エースという立場を強いられて、イニングをこなしていくだけでは褒めてもらえないのですけれども、少ない援護の中、故障らしい故障もなく1年間投げ抜き、それでもコンスタントに2ケタ勝っているケナゲさが魅力といえば魅力なのだと思います。

ダルビッシュやマーくんのように絶対的パワーを持つ投手ではなく、欠点が目立ち、派手さもなくいつも仏頂面(←これは成瀬投手の出身高校の投手共通の特徴と聞いたことがあります。なんでもこの高校の監督は、投手はどんな時でも表情を出してはいけないというふうに教育するらしいです。不確かなウワサですけど)だからこそ、応援したくなるというのが(ちょっとヒネた)ファン心理というものだと思うのです。

そんな成瀬投手ですが、今年はNHKのスポーツドキュメンタリ番組で特集されたりしました(ただし、ラストシーンは打ち込まれた場面でしたが・・・)。ところが、この番組でけっこう詳細に投球ファーム等の分析をされてしまったせいか、放映以降、急に打ち込まれだしてしまったのです。そんなところも、成瀬投手らしいナア、と言えるのかもしれません。
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