蛙と蝸牛

本の感想。ときどき競艇の話。

生きていてもいいかしら日記

2018年03月31日 | 本の感想
生きていてもいいかしら日記(北大路公子 毎日新聞社)

貧乏性のせいか、休みの日でもTO DOリストを作って消し込むとかしないと落ち着かないような気分になります。そのくせ、「休みの日くらい、予定に縛られずにぼーっと本を読むとか映画を見るとかしたい」といつも考えていて、我ながら矛盾しているなあ、と思ってしまいます。しかし、たいていは前者の方に倒れてしまって、チマチマ家事などをしているうちに一日が終わっていることが多いです。

本書によると、著者は、独身で(フリーライターではあるものの)定職はなく、学卒以来実家で暮らしているらしいです。
趣味は飲酒?で、友人と居酒屋などで飲むのはもちろん、昼酒もお好みのよう。失礼ながら内容らしい内容はなく、(さらに失礼ながら)自堕落な毎日を日記にしたようなエッセイです。

それでもけっこう人気があって何冊かの続編的エッセイも出版されているのは、なぜでしょうか?

①私もたいがいだが、この人よりはまし、という相対的幸福感に浸れるから
②スケジュールとかお金の心配とかがない(著者の実家はそこそこ儲かっている自営業っぽい)のんびりした生活に憧れるから
③女性の手による酒飲みエッセイが珍しいから

著者は①を狙っているような気もしますが、私に関して言うと、それなりに楽しく読めた理由は②で、時折(独身であることや太り気味であることについての)悩みが語られたりするものの、「それって本気で心配してないでしょ」という感じに読めてしまい、「ああ、こんなストレスフリーな生活がいいよ~」という気分に浸っていました。
それに、著者には毎日のように飲み歩ける友達がたくさんいるように見受けられ、「なんでこんな人に(失礼)こんなんい友達がいるんだ(私には電話すればすぐ呑みに出てくる友達なんていないのに)。楽しそう」と羨ましく思える一面もありました。

(余談)下世話な興味から著者名をググってみると、最初に表示された画像がすごく若くて美人だったので(エッセイの内容との差異に)びっくりしたのですが、よく見ると、著者のエッセイのファンという女優さんの写真でした。
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キャプテンサンダーボルト

2018年03月31日 | 本の感想
キャプテンサンダーボルト(阿部 和重、伊坂幸太郎  文藝春秋)

相葉は友人をAV業界から救い出そうとして法外な金額を要求され困っていた。
相葉と高校の野球部で同級生だった井ノ原は、長男の皮膚病治療のために借金を重ね、こちらもカネが必要だった。
ふたりは、ひょんなことから蔵王の山奥にある泉の水がとても高く売れそうだということを知るが、この泉の水には重大な秘密があり、陰謀をめぐらす国際的テロ組織もこの水の採取を狙っていた・・・という話。

リアリティがない設定やなんでもない一般人がスーパーマン的に活躍する強引な展開は、いつもの伊坂さんの作品の通りでしたが、本作のストーリーの柱である「村上病」をめぐる、妙に理に落ちた結末とかは阿部さんカラーなのだろうか?(伊坂さんの作品だとわざわざ辻褄合わせや謎解きをせずに、あえてあいまいなまま終わらせることも多いような気がするので。もっとも私は阿部さんの作品を読んだことがないので想像にすぎない)

相葉と井ノ原は、二人ともカネに困って家族にも迷惑をかけているような境遇にある。
輝いていた野球部時代の自分たちが、将来こうなることを知ったとしたらどう思うだろう?
と、苦い思いを二人とも抱いているのだが、本作の終盤では奇跡的(というか、ありえね~的な大活躍の末)に事件を収拾させて、これまでの自分たちの人生が無駄なものではなかったと思い直す。このシーンが特によかった。

あと、二人の道中に同行する犬の名前(ポンセ)もよかった。昔のプロ野球の外国人選手の名前(ただし巨人所属の選手は除く)を犬の名前にする飼い主ってセンスいいよね。
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映画 夜空はいつでも最高密度の青色だ

2018年03月31日 | 映画の感想
映画 夜空はいつでも最高密度の青色だ

看護師をしながら夜はガールズバーで働く美香は、父とまだ学生の妹がいる実家へ仕送りをしているが、感謝が得られずいらついている。建設現場で雑用をして稼いでいる慎二は、余暇には本が手放せない元秀才で、現在の自分の職業や周囲の人に不満を感じているが、あえて何かを変えようともしない。美香は慎二の先輩とつきあっていたが、その先輩が急死してしまい・・・という話。

慎二が住む古ぼけたアパートの隣室に一人で住むおじいさんは、哲学書を読みふけるようなインテリ?で慎二におすすめの本を貸してくれる。慎二は、妙に片付いた自室で本を読み、几帳面に家計簿を作成する。
慎二の高校時代の同級生だった女の子が突然連絡してきて、NYで弁護士資格を取って帰ってきたと嘘をつく。慎二はその子を接客態度が最悪な中華料理店に連れていく。
慎二の同僚の岩下は、いつも前のチャックがあいていて、腰が痛いといっては仕事をさぼり、飲み代はいつも後輩にせびる。
このあたりの貧乏くさい感じが私好みだった。

慎二役の池松さんは、こういう、人生を考えこんでしまっているような人の役がよく似合っていると思う。
岩下役の田中哲司さんは、いつもとは全く異なる情けない男の役だったけど、こちらも案外ハマっていた。

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15時17分、パリ行き

2018年03月31日 | 映画の感想
15時17分、パリ行き

パリに向かう高速列車の中でテロリストによる銃撃事件が発生する。たまたま乗り合わせた休暇中のアメリカ軍兵士とその友人3人らが徒手空拳ながら犯人を取り押さえる・・・という実話に基づく話。ただし、事件そのものより、主役3人の子供時代から長く続いている友情物語が中心に描かれる。

主役3人(スペンサー・ストーン、アンソニー・サドラー、アレック・スカラトス)は、本人が演じている、というのは、テレビや映画評で明かされていて、私もそれを知った上で見た。
それを知らなければ、ラストシーンでもっとびっくり(というか混乱→「えっ、何?どうなってんの?」という感じ?)できたのに・・・と思うと残念だった。(単なる合成映像と勘違いした可能性も高いけど)

多分、クリント・イーストウッド監督はラストシーンから逆算して、本人たちをキャスティングしたんだと思う。
実話に基づく映画で、ラストシーンに現実の映像や写真を登場させるというのは、よくあるパターンだが、それを逆手に取った本作の構成は、監督の稚気あふれる(観客への)挑戦もしくは映画関係者に対する挑発なんだろう。(かつ、経費削減も目的かも知れんが)
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LION ライオン 25年目のただいま

2018年03月31日 | 映画の感想
LION ライオン 25年目のただいま

インドの貧しい村で生まれ育った主人公サルーは、幼いころに誤ってカルカッタ行きの列車に乗ってしまい、兄とはぐれてしまう。浮浪児?保護施設?に収容されたサルーは、里親探し組織?の仲介でオーストラリアに住む夫婦の養子となる。やがて成長したサルーは、断片的な記憶を頼りに自分の故郷がどこかをさぐろうとするが・・・という実話に基づく話。

サルーの子供時代を演じた子役が愛らしく、かつ、たくましくて、サルーが成長した後の話より、子供時代を描いた場面をもっと多くしてほしいと思ったほどだった。
最終盤で明かされる、サルーの兄の運命には泣けた。
同じく、最後の最後に明らかにされる「ライオン」というタイトルの由来もよかった。
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