アウシュヴィッツの歯科医(ベンジャミン・ジェイコブス 紀伊国屋書店)
ポーランドの田舎町で歯科医を目指していた著者(当時の名前はブロネク・ヤクボヴィツチ)は、1941年ユダヤ人収容所に送られる。アウシュヴィッツを含む各地の収容所を父や兄といっしょに転々とするが、歯科医師としての技術が認められ(何人もの収容者や看守などの治療をするうち技量があがったらしい)、比較的優遇されていたこともありドイツ降伏まで生き延びる。ついに解放かという時期に、客船に閉じ込められ、この客船がイギリス軍の空襲をうけて沈没しほとんどの収容者が死亡するという事故(カップ・アルコナ号事件)にあうが、ここでも九死に一生を得て自由の身となり、アメリカに渡る・・・という自叙伝。
本書の中で、生きのびることができるかどうかの大半は運だった、と述べられている。
うすい野菜スープとパンだけの食事、過酷で危険な労働(著者は優遇されて事務や医師としての仕事をしていた時期が長いらしいが、炭鉱の採掘などもしている)、せまくて不衛生なベッド、そしてなによりユダヤ人を敵視するドイツ人(やポーランド人)の目などをくぐりぬけ4年もの収容期間をすごして兄弟が二人とも生還したというのは、本当に運がよかった(というか奇跡というか)としかいいようがない。
でも、当時21歳の著者がもしドイツ人やポーランド人だったら、徴兵されて東部戦線とかで戦死している可能性も非常に高いわけで、前線に行かずに収容所にいた方が生還率はもしかしたら高かったかもしれない・・・などと考えると、人生って本当に運次第だよねえ。
今年にはいってたまたまWWⅡ中のユダヤ人迫害に絡む本を(本書をふくめ)3冊読んだのだが、(他の2冊は小説だったので)実話だと迫力が違う。特にカップ・アルコナ号事件の顛末は映画みたいだった。
ポーランドの田舎町で歯科医を目指していた著者(当時の名前はブロネク・ヤクボヴィツチ)は、1941年ユダヤ人収容所に送られる。アウシュヴィッツを含む各地の収容所を父や兄といっしょに転々とするが、歯科医師としての技術が認められ(何人もの収容者や看守などの治療をするうち技量があがったらしい)、比較的優遇されていたこともありドイツ降伏まで生き延びる。ついに解放かという時期に、客船に閉じ込められ、この客船がイギリス軍の空襲をうけて沈没しほとんどの収容者が死亡するという事故(カップ・アルコナ号事件)にあうが、ここでも九死に一生を得て自由の身となり、アメリカに渡る・・・という自叙伝。
本書の中で、生きのびることができるかどうかの大半は運だった、と述べられている。
うすい野菜スープとパンだけの食事、過酷で危険な労働(著者は優遇されて事務や医師としての仕事をしていた時期が長いらしいが、炭鉱の採掘などもしている)、せまくて不衛生なベッド、そしてなによりユダヤ人を敵視するドイツ人(やポーランド人)の目などをくぐりぬけ4年もの収容期間をすごして兄弟が二人とも生還したというのは、本当に運がよかった(というか奇跡というか)としかいいようがない。
でも、当時21歳の著者がもしドイツ人やポーランド人だったら、徴兵されて東部戦線とかで戦死している可能性も非常に高いわけで、前線に行かずに収容所にいた方が生還率はもしかしたら高かったかもしれない・・・などと考えると、人生って本当に運次第だよねえ。
今年にはいってたまたまWWⅡ中のユダヤ人迫害に絡む本を(本書をふくめ)3冊読んだのだが、(他の2冊は小説だったので)実話だと迫力が違う。特にカップ・アルコナ号事件の顛末は映画みたいだった。