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蛙と蝸牛

本の感想。ときどき競艇の話。

3652

2011年04月30日 | 本の感想
3652(伊坂幸太郎 新潮社)

作家生活10年間(専業でないときも含めて)のエッセイを収録したもの。

ただ寄せ集めて出版したわけではなくて、全編脚注付という(とても多忙そうな著者としては)大サービス付。脚注があることで10年前のエッセイもある種の新鮮さが感じられる。

この本を読むと、伊坂さんの作品は、自分の好みに沿って書かれているのだということがよくわかる。当然かもしれないが、プロの作家では、そうでなさそうな人も多いので。
その好みとは、ハードロック、幻想的、偶然性、価値観の逆転、みたいなところだろうか。

また、著者の作品では主人公の父母や目上の人が、ちょっと独特の性格を持つ変わった人という設定が多いが、実際、著者の父母(特に父親)はかなりユニークな人のようだ。

「重力ピエロ」を出したころは、もう大人気作家という感じだったように思うが、実はこの作品が会社を辞めて専業になって初めてのもので、勝負作だったというのは意外だった。
その他に、特に印象に残ったエピソードは2つ。いきつけのレンタルビデオ屋の店員が実はさっきいた喫茶店のDJだったというのと、干支エッセイの猿年のもの。
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011.4.24 常滑 GⅠ 名人戦 優勝戦

2011年04月25日 | 競艇
2011.4.24 常滑 GⅠ 名人戦 優勝戦

1.今村 2.森脇 3.中村 4.岡 5.北川 6.新良

私が一番多く足を運んだ競艇場は徳山で、15年ほど前なので、1,2,6ついでに隣県の出身だった5は良く知っている選手。「オレもオールドファンのほうに入っちゃたなあ」と感慨。

ネームバリューだけみれば1の力が図抜けていて、しかも常滑のインだし、
名前だけで1-5、1-6

結果 1-5
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お父やんとオジさん

2011年04月24日 | 本の感想
お父やんとオジさん(伊集院静 講談社)

後半のアドベンチャーがアクション映画なみにすごいので、どこまで実話かわからないけど、著者の家族をモデルにした小説。

主人公(著者の父がモデル)は、朝鮮半島から口減らしのような恰好で単身日本に渡り、自らの手で運命を切り開き、海運業などを手広く手がけるようになる。
その妻の父母、兄は、戦後、朝鮮に戻るが、やがて朝鮮戦争が始まり、兄は一時北朝鮮側の兵士となる。部隊が壊滅して故郷に戻るものの、近所の人は裏切り者であると見ており、見つかったら殺されそうな勢いのため、兄は父母の家の鶏小屋の下に掘った穴に隠れ住むはめになる。事情を知った主人公は、妻の兄を救助すべく半島へ単身のりこむ・・・という話。

主人公は、成功した事業、美しい妻と数多くの子供と友人、そうしたすべてを投げ捨てるようにして、さほど親しくもない妻の兄を助けるために戦火の半島へ密航する。その決意を固めたことを妻に伝えるセリフがかっこいい。
「なんとかしてみよう」

この部分だけ引用しても、あまりニュアンスが伝わらないと思うけれど、本作の中で男の男として描かれる主人公が、命をかけた決意を静かにシンプルな言葉で表現するのがなんとも良かった。
(著者の他の作品でも、著者の父をモデルにした登場人物が同じセリフを言ったような気がするので、もしかすると著者の父の口癖だったのかもしれない)
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箕作り弥平商伝記

2011年04月24日 | 本の感想
箕作り弥平商伝記(熊谷達也 講談社)

「箕」というのは(表紙の絵から想像するに)竹籠の半分が開いていて雪かきスコップの先状になっている農機具らしい。
昔は普通の家でもよく見かけた(わが家にもあった。でもあれをそう呼んでいたか思い出せない。少なくとも「箕(み)」ではなかったと思うが)けど、最近はすくなくとも都会では見かけない。

箕作りをして製品を自ら行商することを生業とする一家に生まれた主人公(弥平)は生まれつき両足の長さがちがって足をひきずるように歩く。そうしたハンディにもめげず、弥平は箕作りでは名人級になり、行商の腕もみがいている。

そうした弥平の箕作りの職人話や行商の苦労話を小説にしたものなのかと期待(そういう話が好きなので)読んでいた。
前半はそういう部分が多かったけれど、後半は被差別の娘との恋愛が中心になってしまい、ちょっと残念だった。
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川の底からこんにちは

2011年04月24日 | 映画の感想
川の底からこんにちは

主人公(満島ひかり)の実家は、川からとれるしじみを加工・販売する会社を営んでいる。主人公は19歳の時、高校の同級生と東京へかけおちするが、すぐに捨てられ、今は玩具会社で働いている。実家で父(しじみ会社の社長)が倒れて呼び戻されるが、玩具会社で知り合った男(離婚して子連れ、失業中)もついてくる。
実家が経営する会社の従業員、近所の人達、昔の友達、皆に「駆け落ちして戻ってきた女」として蔑まれる。ついてきた男は子供を残して主人公の同級生の女と逃げてしまい、父の病状は悪化し、会社の経営も行きづまり、まさに八方ふさがりとなってしまうが・・・という話。

低俗で、下品で、ありきたりで、主人公の演技は(演出かもしれないが)素人くさくて、カネがかかってなくて(タイトルバックが戦前の映画みたい)、上記のようにさえないストーリーなのだけれど。。。
後半、苦境の主人公が開き直ったあたりから、そのすべてを吹き飛ばす、パワー全開の展開となる。その豹変ぶりも不自然ではあるのだけど、見ていて大笑いできて、激しくうなずけて、何より元気がわいてくる、とにかくカタルシス満点であった。

気分が落ち込んでいる人、仕事にやる気がでない人、生活に疲れた人などにおすすめしたい。(必ず最後まで見ることが条件。途中までは暗い気分がさらに暗くなる展開なので)

以下は蛇足。私が子供のころ、少年ジャンプに「トイレット博士」という人気漫画があって、その中でスナミ先生という人気キャラがいた。天然パーマでひげが濃いという設定だったが、モデルは同名のジャンプの編集者だったと思う。本作の主人公のおじさん役の人(岩松了。この人の演技が一番役者らしかった)の外見がスナミ先生にそっくりだなあ・・・と思った。
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