蛙と蝸牛

本の感想。ときどき競艇の話。

テスカトリポカ

2024年06月26日 | 本の感想
テスカトリポカ(佐藤究 角川書店)

メキシコ生まれのルシアは麻薬密売組織に支配されている故郷を捨てて日本にやってくる。川崎の暴力団員:土方と結婚し、小霜(コシモ)という名の子をもうける。
メキシコでの麻薬組織間の抗争に敗れたバルミロも日本に流れてきて、途中ジャカルタで知り合った闇医者とあるビジネスを立ち上げるが・・・という話。

コシモやバルミロ、あるいは闇医者たちの遍歴を描くパートは面白くて読みやすいのだが、アステカの神々が登場する場面(どちらかというとこちらが主題)は幻想的すぎてついていけないし、読みづらかった。多分読んでいる方の想像力不足だろう。

キャラクターとしてのコシモに非常に魅力があって、かつ、彼が主役のはずなのにその成長を描く場面は少なめで、コシモの視点でバルミロやナイフ職人パブロ、力士体型のチャターラなどが描かれることもほとんどなかったのが、残念。
ただ、もしかしてコシモ登場の続編もあり?と思わせるラストではあったが。

蛇足かつ、私だけの思い込みだとは思うが、
本作で描かれるアステカの神々のイメージは、岩本ナオ作の漫画「マロニエ王国の七騎士」と共通するものが多くあった。というか「マロニエ・・・」のモチーフもアステカ神話なのだろうか??

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