蛙と蝸牛

本の感想。ときどき競艇の話。

貧者の戦争3

2022年09月26日 | Weblog
貧者の戦争3

9月上旬、ウクライナ軍はハルキウ州で攻勢に出て同州全域を「解放」した。クリミア半島のロシア軍の基地を攻撃するなど、これまでウクライナ軍の反攻は南部中心になると見られていて、ロシア軍の守備は南部に偏っていたという。情報の秘匿が難しいご時世にあって陽動作戦が見事に成功したようにみえる。
「ウクライナ軍には児玉源太郎でもいるのか」という冗談が聞かれるほどの手際であった。

このような陽動作戦はどちらかというと富める者の戦略であって、軍事的な貧者=ウクライナ軍、軍事的な富裕者=ロシア軍という構図は逆転しつつあるのかもしれない。

NHKの番組で、キーウで(比較的)安全な暮らしを送るウクライナ人は、祖国防衛戦争に貢献できないと考えて罪の意識を覚えるという人がいるという。番組では「ギルティ・シンドローム」と呼んでいた。
祖国が侵略された時、命を惜しんで外国に避難したとしても、精神的には危機に陥ってしまうということで、まことに戦争というのは罪深い。

裏返して見ると、ウクライナ軍の士気は非常に高いものと想像できる。西側援助で兵器などの物量面でもロシア軍の優位が崩れつつあるとすると、意外に早く「解放」が進むのかもしれない。

しかし、ウクライナ側も、(「解放」が実現したとしても)ロシア系住民が多い東部2州やクリミアをどうするのか、は頭が痛いところ。こうした地域で強硬な手段にでれば、外国世論が手の平返し・・・なんて事態もありえるだろう。
一方で「ギルティ・シンドローム」になるほど高まってしまった愛国心をどうコントロールしていくのかも難しい課題だ。

今や救国の英雄とならんとしているウクライナ現政権なら、ある程度のところで妥協したとしてもそれなりの支持が得られるはず。穏健で冷静な判断が望まれるところだ。
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貧者の戦争2

2022年04月29日 | Weblog
貧者の戦争2

前回期待?したような、マンシュタインのバックブロー的作戦によるものではないが、キエフ前面のロシア軍は撤退した。
主な要因は補給の難化にあるらしい。ロシア軍の補給拠点がどこにあるのかは多分(アメリカ等からの衛星情報により)丸見えなのだろう。
ウクライナ側に誘導弾やドローンによりピンポイントで破壊されたのではロシア軍としてはたまったものではない。
打撃力はなくても、情報さえあれば安価な兵器で大軍に十分に対抗できることが証明されたと言えそうだ。

「情報さえあれば」という前提が重要ではあるものの、現状では衛星やドローンのカメラからの監視を防ぐ方法はほぼ皆無なので、今回の戦争を見ていると、大規模な組織的軍行動は難しくなったのではないかと考えさせられる。地続きの国境でもそうなのだから、上陸作戦ならなおさら難度が上がりそうだ。上陸地点が明白では100対1くらいの兵力差でもないと成功はおぼつかない(と、アジアの大国が考えてくれるといいのだが)。

今般さらに衝撃的だったのは、黒海で大型巡洋艦(しかも艦名が首都の旗艦)がウクライナ自家製?のミサイルであっさり撃沈されたことだ。
そもそも対空援護の中心的存在の艦だったそうなのに、なんで自分すら守れなかったの?という疑問はあるが、超高価な兵器(空母とか)がたった1発のミサイルで無力化されるかもしれない、という(軍事大国にとっての)脅威が現実のものとなってしまった。

こうした状況を見ていると、相手の位置情報の把握の重要性が決定的に高まっていると考えざるを得ない。
一方で(繰り返しになるが)宇宙からやドローンなどの安価なセンシング手段を効果的に防ぐ方法はほぼないのが現状である。
つまり、索敵方法の高度化を維持しアピールすることが新たな抑止力になり得るのかもしれない。

しかしこうなるとミノフスキー粒子(※)みたいなものを開発しようと考える人もでてくるだろうなあ。

※ガンダムに登場する架空の物体。この粒子が十分に散布されていると電波による探知や通信が99%以上無効化されてしまう。これにより最前線でロボット同士が有視界で格闘することにリアリティが生じた???。
後には、巨大な宇宙戦艦が大気圏内で浮遊するという理不尽を説明する(反重力的効果も持つ)ための万能物質?に格上げされた。
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貧者の戦争

2022年03月13日 | Weblog
貧者の戦争

ウクライナは貧しい国ではないが、軍備を比較すれば、お大尽のロシアに比べると貧者といえるだろう。
その貧者が玄人の予測に反して長い時間リッチマンの攻勢に耐えている。

欧米諸国から供与された携帯兵器(対戦車砲、対空砲)の威力が想像以上らしい。
映像をみると、民間人の乗用車のトランクで運ばれてきた対戦車砲ジャベリンは、おおよその方向を合わせてボタンさえ押せばあとはミサイルが勝手に?的中させてくれるように見える。
もっとも「どのあたりに敵がいるのか」を知るのが最も難しいわけだが、おそらくそこは欧米諸国からほぼリアルタイムでロシア軍の位置情報が提供されているのだろう。

ジャベリンも決して安価とは言えない平気だが、多分全量供与による武器で、ほぼ素人が操作する携帯兵器で1台数億円はしそうな新鋭戦車(と乗員)が撃破されてはたまらない。これが航空機ならなおさらだ。
同じような理屈でたった1発の長距離ミサイルで建造費が数千億円規模の大型空母が無力される恐れがある。

アメリカや西側諸国は、中東やアフリカ、アフガンで自分たちがリッチ側としてこうした貧者の(コストが安い割に破壊力があなどれない)兵器に苦しめられてきたのだが、それが今は逆転しているし、背後に高度なインテリジェンス支援があれば、さらに効果的なのだろう。

健闘が伝えられる貧者側ウクライナだが、量的な軍事力では対抗できるはずもなく、味方からのリアル打撃力による支援も期待できない状況で、守っているだけでは遠からずすり潰されるように主要都市を占拠されてしまいそうだ。
大変不謹慎なもの言いになってしまうのだが、戦史に興味がある人なら、ハリコフといいう地名と現在の戦況からマンシュタインのバックブローを連想するかもしれない。
1943年2〜3月、スターリングラードで甚大な被害を受けた南部のドイツ軍は勢いに乗ったソ連軍の攻勢によって戦線の維持すら難しくなっていたが、南方軍集団のマンシュタイン司令官は、残った機動戦力をかき集めてソ連軍の伸び切った補給線を突き、逆転攻勢に成功、ハリコフを奪回した。
ウクライナ空軍は相応の兵力を維持しているそうだし、マンシュタインのような知恵者が出現して乾坤一擲の攻勢でキエフ前面のロシア軍を追い払う・・・そんな夢想をしてしまった。

独ソ戦では、3月も下旬になると今戦地になっているあたりは泥濘化し、軍隊としての機動はほとんどできなくなって休戦状態になったそうである。土木技術が発達した今ではそんなことはないのかもしれないが、ロシア軍もあまりモタモタできないと思い始めているかもしれない。
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松任谷正隆さんのエッセイ

2019年12月23日 | Weblog
松任谷正隆さんのエッセイ

JAFの会員に配られているJAFメイトという雑誌があります。
そこでちょっと前から松任谷正隆さんがコラムを連載しています。
若い人はあまりなじみがないかもしれませんが、本職は今でいう音楽プロデューサー的な人です。
バブル前夜のころ(だったかな?)には、プレイボーイとして浮名を流していましたが、なんといっても名が売れたのは、当時すでに超人気歌手だった荒井由実(ユーミン)さんを射止めたことでした。
私なんかは「すぐに破綻しそう」なって思っていましたが(失礼)、今に至ってもそういうことはないようです。
いずれにしても、華やかでおしゃれなイメージの人です。
車好きとしても有名で、JAFがコラムを依頼したのもそのせいでしょう。

そんな松任谷さんが書くエッセイは、きっとスノッブでありながら洗練されたものなんだろうなあと想像していました。
ところが、ほぼ毎回、車にまつわる自身の失敗を赤裸々?に語った内容で、これが(イメージギャップもあって)とても面白いのです。
・アメリカでユーミンと同乗(正隆さんが運転)した車で迷子になり夫婦の危機を迎えた。
・フランスでお金や荷物をスタッフに預けて一人で運転してたら迷子になって(またか!)マジで怖かった。
・昔からお腹が弱くて、車に乗る前には必ず用を済ます。
・飼い犬が愛車のシートでXXXをしてしまった。
などなのですが、
最高に面白かったのは・・・
ユーミンの録音につきあって毎晩彼女を車で自宅(八王子)まで送っていた、
帰り道は中央高速を利用するのだが、この経験があの名曲のもとになっているわけではない、
ある日、当時流行っていた?納豆スパゲッティが話題になり、食べたことがなかった正隆さんにユーミンがある日それを作ってきてくれ、帰りの車に持ち込んだ、
ところが、うっかり、タッパの中の納豆を車内にこぼしてしまい・・・
という内容の「中央フリーウエイ、本当の話」という連載第8回のもの。
その結末は、私には大爆笑モノだったのですが・・・もし将来単行本になったら読んでみてください。
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ミルク味のカップ麺

2019年11月24日 | Weblog
セブ●のPBのカップ麵には、定番の醤油味やカレー味の他に、企画モノ?のやや特殊な味付けの商品もあります。

企画モノには大きく分けて2種類あり、
一つは、有名ラーメン店などが監修したもので、こちらはお値段が少々高い。
もう一つは、お値段は普通の定番モノと同じくらいで、たいがい定番モノと同じ棚で販売されるものです。製造メーカはサン●ー食品かエー●コックが多いようです。
ここで取り上げるのは後者の方です。

商品名はよく覚えていないのですが、最近だと、トマト味の酸辣湯麵、オクラ入りウドン、つみれ入り鯖だし味、などがおいしかったと思います。
一番印象に残っているのは、確か昨年(2018年)の冬?頃に販売されていた、ほうれん草入りミルク味です。
ミルク味のカップ麺とは、チャレンジングというか、味を想像すると買うのを躊躇してしまいそうな組み合わせでしたが、食べてみると、マイルドな口あたりでとてもおいしかったのです。
何個か買い込んで食べていましたが、割合とすぐに店頭に並ばなくなってしまいました。そもそもはじめから置いていないお店もあったりしたのは、やっぱり「ミルク味のカップラーメンなんて売れないだろう」と思った発注者が多かったせいでしょうか?
(セブ●のホームページの商品紹介にもこのミルク味はすでに掲載されていませんでした)

ミルク味に限らず、こうした特殊?商品が店頭に並ぶのは1~3カ月程度のようで、人気がでなかったというよりも、最初から期間・数量限定のスポットなのだったのかもしれません(それにしても大人気になれば継続販売されるでしょうけど)。
そういう、スポット生産という前提だからかなり冒険的な味付けが可能ともいえましょう。
この冬は、ミルク味の復活をお願いしたいのですが・・・



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