蛙と蝸牛

本の感想。ときどき競艇の話。

スーパー8

2012年06月27日 | 映画の感想
スーパー8

母を亡くした主人公の少年は友達と8ミリ映画を撮るようになる。夜中に列車の操車場で撮影中に大規模な鉄道事故にある。この事故以降、少年の住む町では行方不明の人が続出し、軍が駐屯しはじめる・・・という話。

良く言えばスタンダードな、悪くいえば二番煎じ(というか5回くらいは煎じていそうな)エイリアンストーリー。
プロデューサーと監督の名前につられて見たが、良かったのは冒頭の鉄道事故のシーンくらいで、後は「きっとこうなるよなあ」と思った通りの予定調和的展開ばかりだった。
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時間封鎖

2012年06月27日 | 本の感想
時間封鎖(ロバート・チャールズ・ウイルスン 創元SF文庫)

ずいぶん前に評判になった作品で、買った後少しだけ読んで放っておいたのだけれど、約3年ぶりに続きを読んだ。

ある日突然、地球はスピンと呼ばれることになるシールドに包み込まれてしまう。星空は見られなくなるが、太陽の光や熱は届くようになっている。さらに時間の進行がシールド外に比べて一億分の一と極端に遅くなっていることがわかる。
この“時差”によって人間の一生が終わる前に太陽が膨張して地球を飲み込んでしまうことが予想された。人類は生存をかけて火星の地球化(火星はシールドの外なので(相対的に時間の進行が早く)環境を変えて生命のタネを打ち込んで進化させる)を試み成功する。
やがて、“火星人”が地球を訪れ・・・という話。

設定はハードSFっぽいが、スピンの仕組みとかの謎解きはほとんどなく(宇宙にいる謎の生命体が地球を救おうとして作ったもの・・・という程度)、近い将来の地球消滅をつきつけられた人々の姿を描くことが中心。特に主人公と幼なじみの兄妹およびその父母との関係性が濃密に描かれる。

翻訳がいいせいか、かなり長めで少々粘着質のある描写が続く小説にしては“胃もたれ感”みたいなのがあまりなく、すらすら読めてカタルシスを得られる。
うーん、さすが世間の評判の高い作品だなあ・・・というつまらない結論になった。

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ザ・万遊記

2012年06月26日 | 本の感想
ザ・万遊記(万城目学 集英社文庫)

著者の朝日新聞のコラム(作家の口福)がとても面白かったので「ザ・万歩計」を読んだところ、これも良くて、本書も文庫になってすぐ買った。(文庫になって・・・というところがセコイが、文庫版で追加されたエッセイがとっても良かったので、お得感があった)

第1~3章はイマイチだったが、北京オリンピック、プレミアリーグ、スペインリーグのクラシコの観戦記である第4章は楽しく読めた。特にサッカーの観戦記はイギリスとスペインのリーグのムードの違いを際立たせるように書いてあって良かった。

文庫版で追加された「眉間にシワして、北朝鮮」がさらに良い。平壌で公式のガイド付添の外国人ならではなのだろうが、かの国の意外なまでの落ち着き?の描写が意外だったし、ラストの日本の税関におけるエピソードも(作り話めいていたが)印象的だった。
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実録・警視庁公安警部

2012年06月25日 | 本の感想
実録・警視庁公安警部(泉修三 新潮文庫)

普通の警官としての経験のほか公安、外事も経験した警官の自叙伝。
良く言えばユーモアのある語り口のノンフィクション、悪く言うといいかげんな構成の自慢話。

公安や外事のあたりは、高村薫さんや麻生幾さんに書かせたら緊迫感に満ちた重々しいサスペンスになりそうな素材なのだが、この著者に語らせると、漫談調とでもいうのか、はりつめた雰囲気は全く感じられなかった。
話半分で聞いたとしても、著者の仕事ぶりは確かに熱心で有能そうにみえるし、平凡な警官ではこんなキャリアを積み上げることはできないと思われる。
経験が過酷すぎてストレートに描くことが難しくてわざとふざけた文章にしているのか、あるいは、第三者的に見ると厳しい現実も当事者が後から振り返ると美しく楽しい思い出になってしまうのか、どちらかなのだろう。

高度成長時代の仕事熱心なお父さんの典型という感じで、職業生活は充実していても私生活は崩壊(離婚、資産ゼロ、アル中、神経症)していたようだが、そのあたりもあっけらかんとした表現で、悲壮感はかけらもない。

新潮文庫なんだから、細かいところの言葉づかいとか全体構成とか、編集がもう少し指摘してあげればいいのにとも思った。だが、そういうことをすると、ライブ感みたいなのが薄れてしまってつまらない本になってしまうのかもしれないが。
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ゴーストライター

2012年06月01日 | 映画の感想
ゴーストライター

イギリスの元首相に、自叙伝のゴーストライターとして雇われた主人公は、元首相の隠れ家に滞在して草稿の見直しをするうち、前任のゴーストライターが残した資料などから元首相夫妻の秘密を知ってしまう・・・という話。

日本ではあまり話題にならなかったような気がするが、キネ旬の年間ベスト1だったので見てみた。

キネ旬のベストって監督のネームバリューに左右されている面が強いような気がする。
本作は監督の政治的主張のプロパガンダ臭くって、エンタテイメントとしては今一つかなあ、という感じがした。

主人公のゴーストライターが秘密を暴く手段のほとんどはネット検索で、そんなのでわかるのなら、とっくの昔におおやけになっていそうな気がした。
元首相の秘密も、「まあ、たぶん、それに近いことはあったんだろうね」という感じで、意外感はなかった。
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