蛙と蝸牛

本の感想。ときどき競艇の話。

僕のワンダフルライフ

2018年10月13日 | 映画の感想
僕のワンダフルライフ

主人公のイーサンはベイリーという犬を飼っていて、とても仲良しだった。イーサンはアメフトの有望選手だったが、火事で大けがをしてしまい、彼女と別れ、やがて両親は離婚し、母親の実家で農業を営む。
ベイリーは何度か生まれ変わり、いろいろな犬種を経験して、失意のうちに年老いたイーサンの前に現れる・・・という話。

私の奥さんは、子供のころから犬好きで、何頭も犬を飼ってきたのだが、特に初めて飼った犬が忘れられないらしくて、今現在飼っている犬をなでながら、よく「〇〇(今飼っている犬の名前)はXX(最初の犬の名前)にそっくり」などという。全く別の犬種なのだが。
なので、多分、犬が生まれ変わって飼い主のもとに戻ってくる、というのは犬好きの共通幻想なのではなかろうか?

私は、犬猫嫌いの家庭で育ったので、今の犬が人生初体験。
そのせいか、どうもイーサンや私の奥さんのようには心底から犬がかわいいとは思えない。これが2頭目、3頭目になると、最初に飼った犬がいとおしく思い出されるものなのだろうか?
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私の財産告白

2018年10月13日 | 本の感想
私の財産告白 (本田静六 実業之日本社)

著者は東京帝大の農学部の教授を務めつつ、株式と山林等への投資で膨大な個人資産を築いた人物として有名で、本書も発刊から50年以上たった今でも資産形成の指南書として読み継がれているとしていう。
割合として有名な本で、読んでみたいと思っていたところ、書店で新装版を見かけたので買ってみた。

株売買などのテクニカルな内容はほとんどなくて、身過ぎ世過ぎの心がけを説いている部分が多い。
一番共感できたのは「仕事の道楽化」という部分で、仕事に習熟することで人生は豊かにできるという主張には、共感できた。
フランスやイタリアの人が聞いたら「これだから日本人は・・・」とため息をつきそうなものだと思う。ま、しかし、ほとんどすべての人が、人生の大部分を仕事に費やしているわけで、1カ月もバカンスを取れる彼の国の人だって、それは同じはず。

本書のタイトルに「告白」とある通り、かなり本音に近いと思われるエピソードも多い。例えば、留学から帰ってきて先輩より先に教授にする、といわれた時に、つい遠慮してしまったことを大いにに悔やんでいるところとか。
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「超」独学法

2018年10月13日 | 本の感想
「超」独学法(野口悠紀雄 角川新書)

著者は、東大の工学部にいたのに、独学で経済学を学び、公務員試験をパスしてキャリア大蔵官僚になる。官僚になってからアメリカ留学をしていた時を除いて独学で経済学、財政学、ファイナンス理論を学び、大学などで講義してきたという。そうした経験を通じて独学の意義を説く内容。

よく言われることだが、学習した内容を定着される良い方法は、学んだことを他の人に教えることだという。
教えるためには本質的な理解が必要で、私自身の経験でも、いざ他人に教えようとすると、いかに自分がわかっていないのかがよく見えてくる。
本書でも、独学の方法論として同様の記載があるのだが、スケールが違うなあ、と思ったのは、独学でファイナンス理論を学ぶために、大学院でそれを教えることにした、というくだり。

確かに、勉強を進めて以前はできなかったはずの問題ができるようになると、自分の成長が実感できて嬉しく感じることはあるけど、著者が強調する「学ぶことは楽しい」という心境に達するのは難しい。ましてや、大学教授として確たる地位を築いた後に、全く門外漢とはいえないもののファイナンス理論を独学して、学校で講義できるまでのレベルに達するなんて、やはり普通の人じゃ無理だよね。学習能力の差もあるけど、それよりもその学ぼうという意欲の差の方がもっと大きい。

なお、本書には具体的な独学法はほとんど書いてなくて、独学がなぜ必要か、独学はいかに素晴らしいか、といった内容ばかりである。他の「超」シリーズも同様で、「「超」独学法」というのは、(「ものすごく効果ある独学ノウハウ」ではなくて)「ノウハウみたいなチマチマした方法論を超えて独学の本質を問う」という意味だと思う。
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アンチクリストの誕生

2018年10月08日 | 本の感想
アンチクリストの誕生(レオ・ベルッツ ちくま文庫)

ヨーロッパの歴史を題材として、史実とはちょっとだけ異なる筋立てにした短編集。

「主よ、われを憐れみたまえ」
ソ連成立初期、赤軍と白軍の内戦時代、旧軍の大佐:ヴォローシンは暗号解読の専門家だったが、赤軍への協力を拒んで秘密警察の長:ジェルジンスキーから銃殺を言い渡される。ロストフにいる家族への暇乞いを認められ、その後約束通りにモスクワに帰るがロストフで里心がついてしまい、ジェルジンスキーから重要な暗号を解けたら助命すると提案されてそれを受入る。しかし暗号解読は難航し・・・という話。
文庫本でわずか30ページほどの小品なのだが、
ある程度歴史の知識を持った読者を想定して説明を極力省いた緊密な叙述
軍人の意地、家族愛、秘密警察長官の狡猾、など数多くのテーマを過不足なく詰め込んだストーリ
そしてなんより暗号を解けない焦りと、意外な暗号鍵の存在
などなど、素晴らしい出来であった。

「アンチクリストの誕生」
悪人として知られるある有名な歴史上の人物の来歴をモチーフにした作品。自分の子が反キリスト者であると確信した父親の異様な執念の描写が出色。

「霰弾亭」
第一次世界大戦中のチェコ兵の思い出話。二重人格的なフワステク曹長(語り手の上官)のキャラが抜群で、曹長の恋人との写真のエピソードにはしびれた。
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カルテット(TVドラマ)

2018年10月08日 | 映画の感想
カルテット(TVドラマ)

今頃になってやっとツタ●でDVDを借りて来てみました。

いわゆるミニシアター系の映画のDVDを借りて来て家で見ていると、ウチの奥さんが「またわけのわからない映画みてる」などとくさします。
本作は、多分、普通のTVドラマを見慣れた人には、「わけがわからない」内容だったのではないかと思います。特に1回目、2回目は(TVドラマとしては)極端に説明を省いた(あるいは後回しにした)視聴者に不親切な内容でした。今時のTVドラマって、初回2回くらいで視聴率が取れないと厳しいみたいですよね。そういう意味でも挑戦的な作品だったと思います。
と、いいますか、脚本とか演出の人が超有名というわけではない、TBS制作、ゴールデンタイムに近い時間帯、キャストが相当に豪華、などという条件下でこのような作品が許容されたことが信じられません(えーと、けなしているのではありません)。

それでもポリシーやこだわりを貫いたことで、本作は視聴率以外の面では高く評価されているようで、世の中には「わけがわからない」ドラマが好きな人も一定数いることがわかります。

多少ミステリアスな設定や筋立てもあるものの、いずれも種明かしされてみるとさほどシリアスなものでもなく、基本的には、主要登場人物4人(松たか子、松田龍平、満島ひかり、高橋一生)+宮藤官九郎(松の元夫役)の人生の屈託と、それを他の登場人物との絡みで解決していくストーリー。

満島さんの秘められた過去とか、松さんと宮藤さんの夫婦が行き詰まっていくエピソードなんかは、ストーリーとしては糠みそくさい感じなんですが、役者がうまいせいで全く飽きずに見ることができました。
しかし、なんといってもいいのは高橋一生さんで、NHKの朝ドラで二枚目役やっているより、こういうヘンテコな人の方がはるかに似あっていました。

ちょっと残念なのは吉岡さんが演じた役の人ですかね。何かウラがあるのでは?という期待もむなしく、最後までイヤ~な感じ、だけの女の人でした。
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