蛙と蝸牛

本の感想。ときどき競艇の話。

慈雨

2019年11月30日 | 本の感想
慈雨(柚月裕子 集英社)

刑事を定年退職した神場は妻と四国八十八か所札巡りの巡礼に出る。現職中に捜査した幼女誘拐暴行死事件の犯人が実は冤罪ではないのかとの疑いを持っていたが、巡礼中にその事件と似たような事件がおこり、その疑念が深まる。かつての部下で(現在の事件の捜査に携わっている)緒方に連絡をとるが・・・という話。

昔なつかしい、スポ根系?ド根性刑事物語。
主人公が巡礼にでちゃうというのも今時じゃないよねえ。なんというか「太陽に吠えろ!」より前の刑事モノって感じ。
著者の作品は「孤狼の血」しか読んだことがないけど、そういえば「孤狼の血」も「仁義なき戦い」を彷彿とさせるクラッシックさ?があったなあ。
また、再犯性が高いといわれる幼児性犯罪なのに、どうして真犯人は長年再犯に及ばなかったのか?というのが本書の(警察小説としての)キモなのだが、その理由は他の小説でも読んだことがあった。

各種の書評やランキングで高く評価されているのは、一周回って今ではかえって真正面から描かれた刑事物語が新鮮なせいなのだろうか。
「孤狼の血」は懐かしい感じがとても上手に消化されていて感動を呼んだのだけど、本書は(私にとっては)ベタすぎてうまくついていけなかった。
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ミルク味のカップ麺

2019年11月24日 | Weblog
セブ●のPBのカップ麵には、定番の醤油味やカレー味の他に、企画モノ?のやや特殊な味付けの商品もあります。

企画モノには大きく分けて2種類あり、
一つは、有名ラーメン店などが監修したもので、こちらはお値段が少々高い。
もう一つは、お値段は普通の定番モノと同じくらいで、たいがい定番モノと同じ棚で販売されるものです。製造メーカはサン●ー食品かエー●コックが多いようです。
ここで取り上げるのは後者の方です。

商品名はよく覚えていないのですが、最近だと、トマト味の酸辣湯麵、オクラ入りウドン、つみれ入り鯖だし味、などがおいしかったと思います。
一番印象に残っているのは、確か昨年(2018年)の冬?頃に販売されていた、ほうれん草入りミルク味です。
ミルク味のカップ麺とは、チャレンジングというか、味を想像すると買うのを躊躇してしまいそうな組み合わせでしたが、食べてみると、マイルドな口あたりでとてもおいしかったのです。
何個か買い込んで食べていましたが、割合とすぐに店頭に並ばなくなってしまいました。そもそもはじめから置いていないお店もあったりしたのは、やっぱり「ミルク味のカップラーメンなんて売れないだろう」と思った発注者が多かったせいでしょうか?
(セブ●のホームページの商品紹介にもこのミルク味はすでに掲載されていませんでした)

ミルク味に限らず、こうした特殊?商品が店頭に並ぶのは1~3カ月程度のようで、人気がでなかったというよりも、最初から期間・数量限定のスポットなのだったのかもしれません(それにしても大人気になれば継続販売されるでしょうけど)。
そういう、スポット生産という前提だからかなり冒険的な味付けが可能ともいえましょう。
この冬は、ミルク味の復活をお願いしたいのですが・・・



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スターリンの葬送狂騒曲

2019年11月24日 | 映画の感想
スターリンの葬送狂騒曲

スターリンが急死した後、その葬式までの間のソ連政府内の権力闘争をコミカルに描く。
スターリン亡き後の序列NO.1のマレンコフが仮のトップとなるものの、フルシチョフ-モロトフラインと秘密警察を指揮するベリヤが激しく実権把握を争う。スターリンの娘(スヴェトラーナ)と息子(ワシーリー)もからめて権力闘争が面白おかしく語られている。

この映画を見る限り、本当の決定権を持っていたのは赤軍を掌握するジューコフ(よく見る実物の写真のように、勲章をこれでもか!というくらいぶら下げた衣装がおかしかった)のようで、自ら表に出る気はない彼をとりこんだフルシチョフが、ベリヤを追い詰めて勝利を得たようです(現実では、フルシチョフが政権につくとジューコフは追放(後に復権)されてしまったはずですが)。

ベリヤは、フルシチョフとジューコフにより、即席裁判を形式的に行われ、葬儀の裏で銃殺されてしまいます。秘密警察のヘッドだった彼は、FBIのフーバーのように高官たちの秘密を握っていたはずで、それを漏らす前に抹殺してしまったのでしょう。このあたり、映画の中ではとぼけた爺さん位にしか見えず、冷戦時代にあっては(相対的に)穏当であったフルシチョフも相当に冷酷な権力主義者だったようです。

今となってはなじみが薄れてきた人たちの複雑な人間関係をうまく消化して、知識がない私がみても十分に権力闘争の滑稽さが理解できるような良い作品でした。
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千葉ロッテマリーンズ 2019年シーズンを振り返って

2019年11月04日 | 野球
千葉ロッテマリーンズ 2019年シーズンを振り返って

弱いチームのファンとしては、優勝なんて大それた望みは抱いておらず、なんとか5割程度を維持して大型連敗をしなければ満足、といったこところです。ですので、今年の結果に不満はありません。
月ごとに見ても毎月ほぼ5割で、ある意味ファン心理としては非常に安定したシーズンだったとも言えます。(以下、敬称略)

2018年は、荻野がスタメンにいるうちは調子よく、彼が故障してしまうと成績がガタオチになりました。今年はほぼ通年出場でき、さらに3割越えのアベレージを残したのですから、これがチームの安定感の大きな原因だったと思います。来季反動がきそうですが、これまで故障が多かったから使い減りしていない、とも言え、できるだけ長く活躍してもらいたいです。

① 投手
吉井コーチのシーズン全体を見通したリソース管理のおかけで、何回も崩壊しかけた先発もブルペンも際どいところで踏みとどまったように見えました。
開幕早々先発陣総崩れで、どうなることかと暗然とした気持ちになりました。当時、吉井コーチが「まだ4月だし」みたいなコメントをしていたのですが、キャンプの負荷が軽かったという評判を聞いていたこともあり「そんなにのんびりしてて大丈夫か?」と心配でしたが、ちゃんと先が見えていたのですね。多分。

先発陣は涌井の衰えが激しく、明らかに世代交代の時期です。種市、岩下といった、ロッテらしくない、自家育成かつパワー系の若手投手のめどはたちつつあり、昨年の今思えば奇跡のようなボルジンガーの活躍の反動を埋められました。
西野の復活にもけっこう驚きました。首脳陣に見込まれたのか、オープン戦で打たれても打たれても投げさせたり、シーズン半ばで先発に転向させるなど、試行錯誤がいい結果に結びついてうれしかったです。
個人的に小島クン(高校時代からずっと応援していたので「クン」をつけたくなります。ロッテに入ってくれてうれしかった)がお気に入りなので、来年も先発として活躍してもらいたいなあ、と祈っています。

救援陣は、益田が最後までクローザーとして力を発揮できたのが、とても大きかったと思います。FAするつもりでがんばっているんだろうなあ・・・と勘ぐっていました。申し訳ございません。
シーズン後半は「魔の8回」といった感じでセットアッパーに課題を残しましたが、先発同様、シーズンの頭と終りではガラッとメンツが変わってしまった割りには結果はまあまあだったと思います。東條の進化が印象に残りました。

② 捕手
田村は故障もあったのか、出たり出なかったりの時期があり、その時に吉田が故障してしまい、どうなることかと思っていたら、柿沼がまさか(失礼)の活躍でカバーしてくれました。
田村はもともと打てる選手のはずですし、年々アベレージも上がってきていりうので、来年あたり3割近く打ってくれないでしょうか。森ほどでなくても捕手がアンパイでないと、それだけで随分打線の迫力が違うので。

③ 野手
頑張ってもがんばっても冷遇される鈴木、今シーズン初はついにポジションを失ってしまったのですが、外野までやらされながらキャリアハイの打撃成績を残したことには頭が下がります。残留してもらいたいのですが、これまでの仕打ちを考えると難しいかもしれません。

井上はまあまあだったのものの、中村は1シーズン限りの開眼だったのでしょうか。不運な当たりが多かったような気はしますが・・・

プリンス平沢の敵に見えるせいか、ロッテファンからも非難を浴びることが多いように見える藤岡ですが、守備は他のチームのショートと比較しても遜色ないと思います。平沢は多分送球イップス気味ですよね。それが打撃にも影響しているように思え、外野専念に踏み切るべきかと。

レアードはジキル博士とハイド氏みたいな成績の乱高下で、同じ人とは思えませんでした。見かけと違って?実年齢はさほどのトシでもないので体力的なものとも思えないのですが。
外人にもよりますが、DHは角中がいいかと。DHと決め打ちしたら本人も覚悟を決めて集中力が高まるように思います。

④ 編成・用兵
投手のところで述べたように、吉井コーチのシーズン全体をにらんだ起用が素晴らしかったと思います。

積極的な走塁はどうなってしまったのでしょうか?西武の強さって、打撃と走塁の相乗効果によるところが大きいと思います。

毎年そうかもしれませんが、「ここで勝てば波に乗れる」といいう試合で脆かったですね。大逆転した中日戦の次の試合とか、ここ3タテしたら優勝まで見えるかも、と真夏の夜の夢を見かけた8月上旬のソフトバンク3戦目とか。

観客数は今年も12球団最下位。やはりスーパースターといえる野手がいないせいでしょうか。ただ、個人的にはもうこれ以上球場が混雑しないでほしい、というのが本音。昨年黒字だったそうですから、今年もそこそこの経営成績のはず。楽天とかDeNAと比べると球場内外のムード作りはやや劣る感じですが、昔と比べるとずいぶんよくなりました。なので、まあ、今のままくらいでもいいのかも。
人気NO.1のチームのファンより人気最低のチームのファンの方がかっこいいですよね。(そんなことないか??)

⑤ 来季の展望
レアード&マーティン?が今年のように活躍してくれないと、ガタガタになってしまいそうな心配があります。活躍してくれるという前提に立ったとしても安田、藤原あたりの上積みがないとなかなか上位に行くのは厳しそうです。ヤクルトの山田&村上みたいになってくれないものかしら。
来年もBクラスだとさすがにクビが寒くなりそうなので、来年は勝利にこだわった采配になりそうで、ガマンして若い人を使い続けるというのは現実的ではないかもしれませんが。

来年は涌井を8回か9回に使うのはどうでしょう。西武では10試合連投連続セーブとかありましたよね(それがイヤで出たのかもしれんけどね)。長い回を投げないと調子が出ないとかは、気分の問題として割り切り、思い切った決断をしてもらいたいなあ、と思います。あの江夏だってリリーフになったんだから。


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新感染 ファイナル・エクスプレス

2019年11月04日 | 映画の感想
新感染 ファイナル・エクスプレス

冷徹なファンドマネージャであるソ・ソグは離婚して娘のスアンを引き取り、自分の母と3人暮らし。スアンが母に会いたいとせがむので、釜山行きの急行列車で連れていくことにする。その列車には感染すると狂暴化し、他人に噛み付いて感染を拡大しようとするウイルスの保有者が乗っており・・・という話。

「新感染」という邦題はいかにもベタすぎないだろうか。原題は「釜山行き」とのことなので。

私の妻も娘も韓国ドラマが大好きで、録画を撮りためては二人でワイワイ観ている。チラリ見しただけでも、あまりに画一的な展開(イジメぬかれた主人公がついには・・・)にゲンナリする。
さらに(私は)ゾンビ映画もキライなのだけど、いきつけのツ●ヤの旧作?ランキングで上位にあり、かつ未見のものは本作くらいだったので、観てみることにした。

ゾンビ映画の文法をふまえてはいる(ただし、感染→発病のリードタイムは異常に短い。また、グロいシーンが抑制気味なのはよかった)ものの、韓国風?全開で、邦題さながらのベタベタな内容だった。
ところが、本作ではゲンナリするどころか、クライマックスで主人公が娘と決別するあたりではジーンとしてしまった。

普段は家族が観ているのを盗み見する程度だから韓国ドラマの良さを理解できていなかったのかもしれない。先入観を持たずに没入すれば違う世界が開けてくるのだろうか??
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