蛙と蝸牛

本の感想。ときどき競艇の話。

フェアウエル

2021年09月23日 | 映画の感想
フェアウエル

ニューヨークに住む中国系のビリー(オークワフィナ)は、音楽家?を目指しているが奨学金?を勝ち取るとこができず、鬱々としている。中国に住む祖母ナイナイが末期がんで余命わずかと知り、こっそり中国に帰る。ナイナイはがんを告知されておらず、医師も家族もするつもりがない。アメリカナイズ?されているビリーは真実を伝えるべきだと皆に訴えるが・・・という話。

ルル・ワン監督の実体験に基づく話だそうで、中国では余命を告げるというのは今でもあまりないのだろう。
日本でもちょっと前までは同じだったような気がするし、私自身がそういう状態になったら告知なんて絶対してほしくないのだけれど、最近はインフォームドコンセントとかで、いともあっさり本人に告知するらしい。

アジア的な大家族の暖かさみたいなものがテーマになっていて、ビリーの従兄のハオハオの結婚式(花嫁が中国語を解さない日本人といのがイマドキ?)がクライマックスなんだけど、(コロナ前から)日本では親戚知人一同に集めるニギニギしい結婚式は減ってきてきていて、こんなところもアジア的文化から離れてきている証左なのだろうか。
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ジャージー・ボーイズ

2021年09月23日 | 映画の感想
ジャージー・ボーイズ

ニュージャージー出身のフランキー・ヴァリ(ジョン・ロイド・ヤング)は、地元のワルのトミーに誘われてトミーのバンドにボーカルとして参加する。バンドには作曲の才があるボブが加わってヒットがでるようになるが、トミーはマフィアからの借金がかさんでいて・・・という実話に基づく映画。

「シェリー」とか「君の瞳に恋してる」といった日本人なら(というか世界中の人が?)誰でも聞いたことがある歌の由来を知ったのは初めて。
売れに売れているのに稼いでも改正でもマフィアの借金返済に回ってしまうとか、仕事で家をあけているうちに娘が非行に走って薬物中毒になってしまうとか、昔の芸能人の典型??を描いているんだけど、イーストウッド監督らしいテンポの良さと歌唱場面の演出のうまさでとても楽しめた。
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赤い闇

2021年09月23日 | 映画の感想
赤い闇

ロイドジョージの外交顧問であるガレス・ジョーンズは、その鋭すぎる分析が嫌われて解雇される。大恐慌下でも繁栄を続けるソ連経済に疑問を持ったガレスは、新聞記者に扮してモスクワを訪れるが、陰に日向に取材を妨害される。それを振り切って潜入したウクライナでガレスは過剰な搾取を受けて飢餓に苦しむ人々を目撃する・・・というホロドモールを描いた作品。

ガレスは、新聞王ハースとの支援でウクライナの惨状を記事にして反響を呼ぶのだが、ソ連は当然これを否定していて、ホロドモールの実相が知られ始めたのはけっこう最近のような気がする。私の学生時代の世界史では、大恐慌下でもソ連経済は成長していたことになっていたし、ウクライナが国家になっていなければウヤムヤになっちゃったかもしれない。
現に、映画のラストでも語られるようにソ連経済の繁栄を報道し続けたNYタイムズのデュランティ(本作では当局に買収された堕落したジャーナリストとして描かれる)は、ピュリッツァー賞を受賞して長寿を全うしたそうである。(ガレスは若くして満州での取材中に暗殺?された)

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〆切本

2021年09月23日 | 本の感想
〆切本(左右社)

書評に取り上げられたり、書店で見かけて面白そうというので買った本なのに、買ったとたんに積ん読状態になってしまい、何年もそのまま、ということがけっこうある。本書も4年前くらいに買ってそのままにしていた。
ところが、図書館で借りた本は返却期限があるので優先的に読んでしまう。まこと人間には締切が必要なのだと実感できる。

本書は締切に関する文筆家のエッセイなどを集めたもの。締切が迫るのに書くことができない苦しさなどを描いたものばかりでなくて、締切の随分前に仕上がるのが当然という作家のものもある。「人の不幸は蜜の味」ということで前者も面白いのだが、私としては後者のほうがより楽しめた。
後者の方の作家名をあげると吉村昭、森博嗣、中島梓。いずれも着手や書くスピード自体が早いことで有名だが、3人とも私好みの作家であるのも面白く感じる原因だろう。

締切を守れない(守らない?)ことで有名なのは江口寿史さん、締切厳守で有名なのは楳図かずおさんだと思うのだが、この両巨頭?の作品がなかったのは残念。また本書で初めて知ったのだが、手塚治虫さんは締切ギリギリということが多く編集者泣かせだったらしい。(同時進行の作品数が多すぎたせいだと思うが)
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エレジーは流れない

2021年09月23日 | 本の感想
エレジーは流れない(三浦しをん 双葉社)

穂積怜は、大規模な温泉街の餅湯温泉の商店街のひなびた土産屋で母と2人暮らし。将来に野望も展望もなく、平和に日々が過ぎればそれが一番という平凡な高校生。しかし、彼には、月に1回もう一人の母の別荘で一緒に過ごすことにしているという秘密?があった・・・という話。

三浦さんの作品は、職業小説が多いが、妄想爆発という感じのジャンル分けが難しいものもある。私は後者の方が好きなのだが、本作のタイトルを見て、そちら方面なんかと思って読み始めてみたものの、どちらでもなくて、「小説推理」に連載されていたそうだし、二人の母、博物館の土器の盗難事件などからミステリになるのかと思ったら全くそんなことはなかった。あえていうと家族小説?

二人の母、盗難事件ともに謎解きは平凡だし、ちょっt盛り上がりに欠けたように感じた。
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