蛙と蝸牛

本の感想。ときどき競艇の話。

チルドレン

2006年09月03日 | 本の感想
チルドレン(伊坂幸太郎 講談社)

「チルドレン」は家庭裁判所の調査官を主人公とした連絡で、一般的な常識をわきまえた人と、常識はわきまえないけれど真実を鋭く追及する人が絡む、伊坂さんの作品によくある組み合わせで話がすすみます。

この本を読み終わって、最近出版された本を除いて伊坂さんの著作はすべて読んだことになります。私にとってはどの本もとてもおもしろく、また世間の評価も高いようです。どうして直木賞がとれないのでしょうか。伊坂さん著の候補作は受賞作よりはるかに面白いように思うのですが。

本格ミステリのような凝ったトリックがあるわけではないのですが、次々に提示される謎が魅力的で、解決でやや非論理的だけれど納得感はある。

思わせぶりな箴言がたくさん引用されるし、小難しい知識が開陳されて、普通の本なら退屈したり、読み飛ばしたりしそうなのだが、伊坂さんの作品ではそうならない。それは伊坂さんの文章力や構成力のゆえんなのでしょうか?
それより、題材の選択のうまさに原因があるように思います。詳しく知っているわけではないけれど、誰もがチラッと聞いたことはある人物や理論を注意深く選んでいて、本をよく読む人(=自分では教養豊かと思っている人)を心地よく刺激しているような気がします。例えば、よく登場するゴダール。名前を聞いたことはよくあるのですが、その作品である映画をたくさん見ている人は少ないのではないでしょうか。

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1 コメント

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こんにちは♪ (miyukichi)
2006-11-07 21:42:32
 TBさせていただきました。
 よろしくお願いします◎

 たしかに、教訓くさいことを言ってても、
 伊坂さんの作品に押し付けがましさは感じられません。
 不思議な魅力を感じます。

 伊坂さんの作品、ほぼすべて読まれたんですね。
 私はまだ最近読みはじめたばかりなんですが、
 これからもっと読んでいきたいと思っています☆
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