蛙と蝸牛

本の感想。ときどき競艇の話。

もしもし、運命の人ですか。

2008年03月23日 | 本の感想
もしもし、運命の人ですか。(穂村弘 メディアファクトリー)

恋愛について語った妄想系(というと誤解されそうだけど、よくあるネタからどんどん発想を拡大させていく、といった感じのもの。
三浦しをんさん岸本佐知子さん のエッセイも似たタイプだと思う)

著者は短歌の世界では良く知られた人とのことで、言葉に対する感受性というかセンスが普通の人とはずいぶんかけ離れている。
そこが本書の大きな魅力で、ふとした言葉からズンズンあらぬ方向へ想像が進展していくのが面白い。

例えば「コンビニ買出し愛」は、友達の家で何人かで遊んでいる時、著者がコンビニに買出しに行こうとすると、一人の女の子が「じゃあ、私も行く」と言い出す。この女の子の「じゃあ」の意味するところについての考察のみを書いたもの。

「心の地雷原」では、年賀状に書かれた「今、イルカに夢中です」という言葉が著者にとってNGワード(地雷を踏んだ)であり、立食パーティで飲み物を自分の服にこぼした時にハンカチを2枚も使ってぬぐってくれた女の子はNGでただ「ダッセー」と笑ってくれる女の子はOKだという、凡人にはやや理解しがたい感覚が書かれてる。(そこが面白い)

雑誌連載ということもあって、ややテンションが落ちている感じのもの(例えば、デート中の相手の顔に点数が出るとか、女の子の自宅の部屋にいたら突然親が来たとか)もあるが、総じて大変面白く読めた。

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