蛙と蝸牛

本の感想。ときどき競艇の話。

床下仙人

2008年03月27日 | 本の感想
床下仙人(原宏一 祥伝社文庫)

本のオビに「ついに10万部突破!これは現代版カフカの「変身」だ」とある。評判を聞くこともあって読んで見た。

表題作は、仕事が忙しすぎて買ったばかりのマイホームに帰ることもままならないサラリーマンが、ある日帰ってみると床下に痩せてひげ面の仙人のような面相の男が住み着いていて、その男は女房や子どもともうまく(?)暮らしているらしいことがわかる、という話。
このあたりまでは確かに不条理感ただよう「奇想小説」(文庫本のカバーにそう書いてある)らしいのだが、ラストにオチがついていて妙に収まりよく終わってしまったのが残念だ。

その他の収録短編も忙しすぎるサラリーマンが主人公のものが多く、設定は確かに不条理っぽいのだが、やはりどれも理屈っぽくオチている。
ヘンテコな設定でヘンテコさが解決されずに読者を突き放すように終わるようなものもあるといいんじゃないだろうか、と思った。(そういうのはエンタテイメントとしては失格なのかもしれないが、短編集の中の一編くらいはそういうのがあってもいいんじゃないだろうか)

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