蛙と蝸牛

本の感想。ときどき競艇の話。

彼方の友へ

2021年11月13日 | 本の感想
彼方の友へ(伊吹有喜 実業之日本社文庫)

戦前から戦後にかけて発売された「少女の友」(実業之日本社が発行。作中では「乙女の友」)という雑誌の編集部をモデルにした小説。主筆(事実上は編集長)と呼ばれるイケメンと気鋭の青年挿絵作家(中原淳一がモデル)が、家柄も学歴もなく見場もぱっとしないバイトの女の子(佐倉ハツ)の文学的才能を見出して育て上げていく(その過程でモテモテのイケメン主筆がその女の子に惚れてしまう)という、少女マンガの王道をいくようなストーリー。

と、いうような要約を読んだとしたら、私は絶対にその本を読むことはないと思うが、実際読んでみると、素晴らしいエンタテインメントに仕上がっていた。(なので上記は適切な要約ではありません。。。)

年に1冊か2冊くらい、「この小説を読めて幸せだった」という本がある。本書はそういう類の作品で多くの人におすすめできる内容だった。
回収されていない伏線もたくさんあるので、続編や外伝的作品も期待したい。

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