山王くらぶを後にし、やって来た本間美術館の敷地内にある清遠閣と本間氏別邸庭園。
閉館40分ほど前になんとか滑り込み。
清遠閣は江戸時代後期に建てられた築200年以上になる京風木造建築。
北前船で財を成した豪商、本間家の別荘として建てられた。
築造のきっかけは、北前船で入港できなくなる冬期間の失業対策事業でもあったという。
明治末期の増築により、現在は2階建てになっている。
1階の上座敷から眺める庭園。
上座敷は藩主が領内巡回の際の休息所として使われたという。
真夏だからか扉が全て取り払われ、より庭との一体感が感じられる。
庭園には佐渡の赤玉石や伊予の青石、鞍馬石など、諸国の名石が置かれているとか。
それらの石は北前船によって、酒田から米を積んで出航した帰り船で運ばれてきたという。
船の安定を保つために船底に積んだもので、綿積石とも、海難を避ける海神石ともいわれたそう。
1階の座敷の一部は椅子式の喫茶室にもなっている。
和風の建物だけれども、おしゃれでモダンな照明がたくさんあった。
2階への階段の上がり口には梅の木を模した欄間が繊細でアールヌーヴォーのように美しい曲線を描いてる。
けやき造りの階段の腰壁は網代模様になっていて、
階段柱の柱頭にはこんな凝った装飾がされてた。
2階の広間は天皇陛下や皇族をお迎えするために造られたという。
こちらの部屋からも庭園の景色が見渡せて爽快。
部屋の真ん中にぽつんと一つ置かれていた椅子に座って庭園の美しい景色をしばし独り占め。
部屋の欄間もそれぞれ違っていてこだわりが見られた。
各部屋に付く照明も全てデザインが違ったものだった。
和風ぽい房飾りがついていたが、模様は洋風だった照明。
こちらは唐草模様な飾りと、周りの照明を吊り下げる金具が優雅でおしゃれ。
こちらも和洋折衷の雰囲気。
2階には大広間の他に二間あり、こちらの部屋は洋間の雰囲気の造り付けの窓と一体となった棚が
デザイン性があって素敵だった。
階段状にデザインされた飾り棚。
3000坪あるという庭園側から見た清遠閣。
庭園には太鼓橋や蓬莱島、八ッ橋、鳥居、様々な灯籠などが配されてる。
庭をぐるっと一回りして、
美術館新館の方へ。
入口扉の取っ手はやきものでできていて、きれいな織部釉がかかっていた。
玄関ホールの壁面に貼られてたタイルも風合いと重厚感たっぷり。
そしてこの日の最終スポット、山居倉庫へやって来た。
明治26年に建てられた米の保管倉庫で、現在も農業倉庫として使用されている。
土蔵造りの蔵が12棟並ぶ様子は圧巻。
けやきの並木は日除けや風除けの役目があるという。
米の品質を守るための自然を利用した低温管理行われるなどの工夫が見られる。
手前の11号、12号棟はお土産屋さんや食事処になっていて、この後お土産を物色。
倉庫を表側から
敷地内には東宮殿下行啓記念館があったが、閉ざされていた。
一日のノルマを大体果たして、夕飯には宿からも近くガイドブックにも載っていた「すしまる」で
宝石ちらしを食することに。
店主とお話をしながら機嫌よく食べていたのも束の間、
薄々痛かった頭痛が更に苦しくなってきて、普段なら即完食する自信のあるちらし寿司が半分から先がなかなか進まず・・
一日中レンタサイクルで走り回って来た私はどうやら熱中症気味になってるようだった。
残してはいけない、となんとか必死で平らげて、その日の宿の最上屋旅館へ向かったのだった;