転妻よしこ の 道楽日記
舞台パフォーマンス全般をこよなく愛する道楽者の記録です。
ブログ開始時は「転妻」でしたが現在は広島に定住しています。
 



10日に名古屋・御園座顔見世の昼夜を観て、
その夜に東京に移動、11日に歌舞伎座昼の部を観劇、
11日夜はポリーニを聴く予定だったが、公演延期になったため、
空いた時間にシアターサンモールでスタジオライフを観てきた。
半死半生というくらい忙しいときに何をやっているのか、
という二泊三日だったが、広島から離れたほうがよほど休めるので
結果論だが休息になった。

新装相成った御園座だが、昼の部に一階席を奮発したのが失敗で、
客席の勾配が緩やか過ぎる上、席が縦にも横にも直線的に配置され、
前列の席の間から見るようになっていないため、
私のように上背のない者にとっては、舞台のほぼ中央が
完全に前の人の後頭部に遮られ、大変観づらかった。
二度と、御園座の一階席は買うまいと心に誓った。

夜の部は二階席の後ろのほうだったのだが、こちらは大変良かった。
はっきりと傾斜がついていたので、全景を見下ろすことができ、
列と列の間も思った以上にゆったりと空けてあった。
今後御園座で見ることがまたあったら、私は二階後方の一択だ。
これは私の個人的な趣味の問題でもあって、
私は「近い」ことより「全体が見える」ことのほうが重要なのだ。
あちこちの劇場でいろいろ試して、結局、そのあたりに落ち着いた。
歌舞伎座なら一階の二等席は「近い」うえに「全体が見える」ので
両方を満たした、かなり良い場所だと私は常々感じており、
「これぞ」という演目のときには気合いを入れて買っていたのだが、
同じことは御園座には言えないと、このたび知った。

演目は御園座・歌舞伎座、どれも大変良かった。
行った甲斐があったと思っている。
ポリーニが演奏会を延期したために、11日夜の時間ができ、
スタジオライフの『はみだしっ子』を見ることも叶った。
原作を知っていて、大変興味を持っていたのだが、
今回の日程では観られないと思って諦めていたのが、
思いがけず、機会が得られて、これまた大変良かった。

マウリツィオ・ポリーニは、御本人の腕の疲労のためとかで
11日の演奏会が21日に延期されたのだが、
これと併せて、18日のリサイタルのプログラム変更も発表された。
私はもともと、18日のほうで当初予定されていた、
ベートーヴェンの『ハンマークラヴィーア』が大変聴きたくて、
自分の行く予定だった11日の演奏会には、これが入っていないことを、
とても残念に思っていたのだが、今回の延期と曲目変更の発表により、
どちらの演奏会に行っても結局、べートーヴェンは演奏されないとわかり、
予期していなかったことだが、すっぱりと未練がなくなった。
行ける筈だった演奏会が、自分の行けない日へと延期され、
しかも、それなりに執着を感じていたハンマークラヴィーアそのものが、
残りの来日公演プログラムから完全に姿を消してしまった。
今回のポリーニの来日公演と自分とを繋いでいたものが全部なくなり、
つまり、私はポリーニとは縁が全く無かったのだ、
という、大変はっきりした納得感が得られた。
巡り合わせというのは、そういうものかもしれないな(^_^;。

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