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殿は今夜もご乱心

不倫が趣味の夫と暮らす
みりこんでスリリングな毎日をどうぞ!

家庭内喪服格差

2009年02月07日 16時44分30秒 | 前向き論
             
身内や他人の不幸、出来れば避けて通りたい。

しかし、そうも言ってられない。

こうなりゃ、少しでも楽しみを見つけるのが得策というもんだ。


一同が同じ色の服を着て集結する場。

いきおい美醜や貧富の差が白日のもとにさらされる。

喪服の質=その人の生活そのものと思って、まず間違いない。

日頃から、急な事態に備える余裕があるか無いかの違いである。


自分のことは棚に上げ、これを眺めるのは、はなはだ興味深い。

普段は目立たないのに、こういう時にパリっとしていると

おぉっ!と感心してしまう。

逆にいつもは流行最先端のオシャレなのに、喪服が悲惨なのを見ると

私の心は躍る。


しかし近年では、こんな絵に描いたような喜ばしい現象は減った。

代わりに「家庭内喪服格差」が席巻。

よそでは知らないが、我が町では

葬式一件につき、必ず数組は発見できる。


特に、奥さんと娘はピカピカで、旦那さんズタズタのケースが多い。

喪服という非日常的衣服は、家族の優先順位が如実に表われるのだ。


成長した娘にあれこれ揃えてやる。

母親も娘に負けじと頑張る。

かくして旦那さんまで手が回らなくなった…という悲劇。


母親は娘の方向だけ向いて、ヒソヒソと何やら話したり

奮発したパールのネックレスの位置を直してやったり。

隣にいる亭主は徹底無視。


ひとり話相手もなく、所在なさげなお父さん。

薄汚れたワイシャツの第一ボタンははまらず

手あかで輝くワカメのようなネクタイ。

結婚以来慶弔着っぱなしのテカったダブルに

メタボの体を押し込み

靴はすでにハンバーグと化して久しい。


やがて「焼香」。

ここでは数珠に注目。

妻…水晶、娘…真珠。

お父さんのは…シッポがちぎれてるナンカのタマ。


これで靴下に穴でも開いていれば満点だっ。

       ブラボー!お父さん!あんたはエライっ!!

すばらしい光景に、心のうちで拍手を送る私。

冷え切った夫婦関係、重くのしかかるローン

近寄ってくれるのは飼い犬だけ

温かいのは便座だけ…。


そんな空想に浸り、一人ほくそ笑む。

だから、お葬式はすぐ終わる。

不謹慎で、スイマセン。






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ヌートリアより愛をこめて

2009年02月05日 11時45分00秒 | みりこん童話のやかた
            「みりこん、ヌートリアになるの図」


ヌートリアという動物をご存じか。

ちょっと大きめのビーバーといった出で立ち。

河川のほとりに穴を掘り、群れで棲む。


旧日本軍が毛皮にする目的で輸入し、それが繁殖したとかいう説もあるが

とにかく彼らは増えた。増えすぎた。

そこらへんの川と名の付く場所には必ず登場するほどに。

雑食性のため、近年では農作物の被害が甚大らしい。

私の住む町にもいる。

家に入り込んでいた、いや、台所で食べ物をあさっていた…

などという噂も聞こえてくる。

真偽は不明。


そのうち子供が襲われるのでは…と言い出す心配性の親も出現するであろう。

人食いではないと信じたい。



ある農村でも、ヌートリア退治の話が持ち上がった。

どげんかせんといかん…と言ったかどうかは知らないが

日曜日、近隣の男性が集まって決行することとなった。


なにしろ初めてのことなので

事前に隣町の経験者に指導をあおぎ、網やワナを用意して臨んだ。

各自分担した役割を見事にこなし、老いも若きも一丸となって頑張った…。


           大漁。


たくさんのヌートリアが、網に捕獲された。

日頃疎遠になりがちな近隣住民は、昔のような連帯感を取り戻し

おのおのの活躍を誉め讃える。

炊き出しの奥さんたちも手を取り合って喜んだ。

各自満面の笑みで、囚われの身となったヌートリアを前に記念撮影。


そこであることに気付いた。

「捕ったはいいけど、これ、どうする?」

一同、そのことは考えていなかった。

捕まえることだけに全身全霊をかたむけたのだ。


「そりゃ、駆除だろが」

「駆除って、殺すことかい」

「まぁ、そうとも言うな」

「…どうやって…」

「さぁ…」


代表が、教えを請うた隣町の経験者に電話をかける。

      「あ~、そりゃね、棒で頭を叩いて殺すんじゃ」

気軽に言われ、青ざめる一同。


「…○山さん、若いんだから、やってや」

「○田さんこそ、力が強いんだからお願いします」

「これからは○岡さんのような若い人が率先して…」

「いや、こういうことは○村さんたち人生経験豊かな人のほうが…」 


なすりあいはどこまでも続く。

あんたは草野球の4番だから棒は扱い慣れているだろう…

いや、寺が親戚のあんたこそ、今後の供養は万全だろう…


やがてクジ引きということになったが

用事がある…と帰り支度を始める者、それをとがめる者も出てきて

険悪なムードが漂い始める。



あみだクジが出来上がる頃には、ヌートリアは網を噛みちぎり

全員脱走していた。


       みんなホッとしましたとさ。

          
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意外な一面?

2009年02月04日 16時19分20秒 | みりこんぐらし


     紹介します。

        うちの子です。


       おとなしくて、いい子です。ははは。
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わかってください・Ⅲ

2009年02月03日 10時58分06秒 | 異星人
         「みりこん、放浪の旅に憧れるの図」


「気持ちは嬉しいけど…俺、家族がいるしな…。

 割り切ったつきあいじゃイヤだろ?」

    なんじゃ~?!これは求愛に苦悩する男のセリフ!!

   「いや、違うって!」

「ま、俺くらいになると、飲み屋のお姉ちゃんにもよく相談されるけどな」

       あかん…完全に酔っとる…。

       ボーゼンとして口ごもる私…。

「お前の気持ちはわかってたよ。前にDVD、送ってくれたじゃん」


そうさ…ああ、そうさ。

悪いのは私。

市内を美しく撮ったDVDが発売されたことを話すと

欲しがったので、送りましたともっ。

お返しは無かったけどねっ。


    「あ~!こんな誤解されるんなら、送らなきゃよかった!」

それをどう聞いたらこうなるのか…。

「え?旦那なんかより、あんたのほうがよかった?…ハハ、お前なぁ…」

鼻息も荒く、そうのたまうヤツ。          

         ギャー!!!もうダメじゃ!!

     「うるさいっ!お前にお前って言われとうないわいっ!」


見た目のハンディと、出会いの少なさからか

ヤツは結婚が遅く、奥さんはかなり年上。

閉鎖された男の職場に何十年…ヤツはこういうのには慣れていない。


こちとら海千山千の、腐りきった古女房。

少々の色話、シモ話に、そよりとも揺れる神経は持ち合わせてないが

ヤツは新婚に毛が生えて、ちょっっぴり浮ついた気持ちも芽生え始めた結婚初期。


男と生まれたからには、色めいた思い出のひとつやふたつ

作ってから死にたいのはわかる。

しかし、ヤツの青春の思い出になるのはイヤ。

私にだって、選ぶ権利があるというものじゃ。

このまま無視して、ほとぼりが冷めるのを待とう…。

私に出来ることは、それしかなかった。


その後、何度かメールや電話があったけど、無視。

でも、うっかり非通知の電話に出てしまった。

「今度休暇を取ったから、オヤジの墓参りに、そっちへ行こうと思ってるんだ」

非通知なんぞ使いおってからに、平然と話すヤツ。

健在の母親は他県の人だが、父親はこちらの出身なので、墓があるのだ。


        「行けば」

「飛行機だから、着いたら空港まで迎えに来てよ」

        「お断りします!」

「俺がお前の気持ちに応えてやれないからって、そう気を悪くするなよ」

        「違うって言ってるだろっ!

         しかもお前って言うな!」

「ハハハ。じゃあ、出発する頃電話入れるから」


     それって、もしかして…迎えに行って、墓参りに連れてって

     懐かしい場所へ案内して、夜はホテルまで送れってこと?

     しかもあわよくば思い出作りっ?

            ギャー!!!ざけんなよ!!


      「ちょっ…ちょっと!私行かないからね!」

「なんで~?あてにしてるのに。いいじゃん」

      「なんで私がそんなことしないといけないのよっ!

       他の男子に頼みなさいよ」

「みんな仕事じゃん。働いてないの、お前くらいじゃん」

      「だから、お前言うな!

       私はダメだよ。忙しいんだから」

「辞めたって言ってたじゃん」

      「もう働くんだよっ!」

「へぇ~。どこ?」

      「さ…沢竜二劇団…」

とっさにその名前が出てしまった。

沢さん、ごめんなさい…。


失業した人を募集して、劇団の雑用の仕事を与えてくれるという。

「給料はそんなに出せないが

 雨露をしのぎ、食事にも困らない、仕事が見つかれば離れてもいい」

テレビでそう話している座長を見て、間もない時だった。

 
私は放浪に憧れるところがあって

旅から旅、最期は見知らぬ土地で一人息絶える…なんてのが理想なのだ。

寅さんに出てくるリリー…山頭火…

旅に病んで、夢は荒野を駆け巡る…芭蕉…なんちゃって。


劇団に入れてもらうには、困っている人が対象らしいので

困っている部分を探している時にヤツからの電話を取ってしまったのだ。


「何?それ?」

      「た…旅芝居にくっついて全国を回るのさ。

       だから、もう家にはいない!ガチャン!」


天の助けか、ヤツの所属する職場は

ニュースになるほどのゴタゴタが続いている。

今回も深刻。

おそらく休暇どころではなくなるだろう。


思えば一昨年、ヤツが赴任してからずっと災難続き。

そのつらさゆえ、よこしまな感情が私に向けられたことは明白だ。

要は、誰でもいいのさ。

私の胸を木枯らしが吹き抜ける。     


                 完
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