殿は今夜もご乱心

不倫が趣味の夫と暮らす
みりこんでスリリングな毎日をどうぞ!

ニラ騒動

2016年01月08日 16時07分48秒 | みりこんぐらし
皆様、昨年は大変お世話になりました。

プログを始めて、はや数年

寄せてくださるコメントを

いつも嬉しく拝見させていただき

温かいお言葉に励まされてまいりました。

お一人お一人の幸せをお祈りしながら

私自身もまた、幸せを噛みしめる日々です。

本当にありがとうございます。


で、年末の記事で張り切っていた

次男の女装計画

ガーナちゃんプロジェクトですが

諸事情により、挫折。

来年に持ち越しとなりました。

楽しみにしてくださった皆様

すみませんでした。



さて皆様は、どんな新年を迎えられましたか?

我が家は一応、死人が出たということで

しめ飾りと鏡餅を避けた以外は、例年通りでした。


3日の夜、夫が野菜炒めを所望しました。

幼児期に餅を喉に詰まらせ

死にかけた経験のある夫は

お雑煮を食べません。

ついでにおせちも嫌いです。

よって、正月に彼が食べる物は無く

いつも家族と別メニューです。


息子達も野菜炒めが食べたいというので

たくさん作りました。

豚肉、白菜、人参、玉ねぎ、モヤシ

ネギ、ブロッコリー、チンゲン菜

仕上げにニラを散らすと出来上がりです。


野菜を植えていない我が家ですが

ニラだけは、庭のプランターに自生しています。

ニラはしぶといらしく、全く世話をしなくても

一年中、勝手にボーボー生えているのでした。


が、その日のプランターは丸ぼうず。

年末に刈り取って料理に使ったからです。

しかし、プランターのそばの植木鉢に

ニラがあるのを私は知っていました。

いつだったか、義母ヨシコが

そこにも植えていた記憶があったのです。

それをごっそり刈り取って

野菜炒めに入れました。


野菜嫌いのヨシコ以外は

みんな野菜炒めを食べましたが

私は急に不安になってきました。

「あれは本当にニラだったのか?」

そんな疑問が沸き起こったのです。


肥料どころか、水もろくにやらない

我が家のニラは栄養失調で

ほとんど香りがしません。

匂いで判断することが難しいのです。

植木鉢の物は種類が違うのか

柔らかくて葉っぱが太めでした。

皿に残っているのをしげしげと観察しますと

縦にスジが入っていて

プランターの物とは少し違うように見えます。


「ねえ、植木鉢にもニラ植えてたよね?」

ヨシコに尋ねてみました。

「はあ?」

「植木鉢のを使ったんだけど

あれ、ニラだったよね?」

「あんた!ニラはプランターだけよ!

植木鉢には無いわよ!」

「うっそ~ん!食べちゃったよ!」

「食べたって、あんた!

違う草だったらどうすんのよ!」

「うわ~ん!」


すでに暗くなっていたので

ヨシコは懐中電灯を持って

確認のため庭へ出ました。

その間、私はテーブルに突っ伏して

数年前に見た新聞記事を思い出していました。

「高齢女性、毒草を食べて死亡。

75才のA子さんと78才のB子さんは

2人で河原を散策中、草むらにニラを見つけ

持ち帰って調理し、食べた。

その後苦しみだし、病院に運ばれたが死亡。

ニラと思っていたのは毒素の強い野草だった」


その草の名前は忘れましたが

高齢女性、つまりそんじょそこらの人より余計に

ニラという植物を見ているであろうベテランが

間違えるほど似ている危険な草が

そんじょそこらの河原に生えていることに

驚いたものです。

「ケチくさい、ニラぐらい買えばいいじゃん」

と思ったのも確かです。

河原より、自分ちの庭のニラもどきで死んだ方が

何やら恥ずかしいような気もします。


庭から戻ったヨシコ。

「やっぱり植木鉢には植えてないわ」

ガーン!


「みんなには黙っておこう。

明日、うちらが起きなかったら

警察に電話して。

鑑識が来たら、植木鉢を見せるのよ!」

「わかった!」

「ばあちゃん、長生きしてね!」

「嫌よ!私も草を食べて死ぬ!」

「もう無いよ、全部食べたもん」

「ええ~?どうしてくれるのよ!」

「どうせ長くないんだから

無理して死なんでええよ」

「一人になりたくない!」

「じゃあ、うちらが死んだら

植木鉢にまた生えるのを待って

あの草、食べ!」

「わかった!」


次の朝、私も家族も死んでいなかったので

ホッとしました。

やがて起きて台所へ来たヨシコは言いました。

「あの植木鉢にニラ植えてたの、思い出したわ。

隣でもらったのよ。

ニラよ、あれ」。
コメント (8)
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