殿は今夜もご乱心

不倫が趣味の夫と暮らす
みりこんでスリリングな毎日をどうぞ!

たのぼう

2011年12月24日 15時11分01秒 | みりこんぐらし
               『うれしくてたまらない』

クリスマスプレゼントに、手作りのランチョンマットと

またまた登場…アクリル毛糸の食器洗いをもろうた。

手編みなので、買ったのと違って凝ってるわぁ。

世の中には、器用な人がいるのねえ。





今年ほど、忘年会の重要性を痛感したことは無い。

メンバーは、4月に敗北した選挙以来、毎月遊んでいる

お馴染み50代のラン子、60代、70代、そして私…

それに60代と70代のご主人である。

月に一度集まっては、暗くなるまで遊ぶ我々女どもを

ご主人達がいつもうらやましがっていると聞いて

先日、急きょ忘年会を設定した。


このご主人達は、妻の集まりに、ただ混ざりたがっているわけではない。

彼らは選挙運動のあった2ヶ月間、雨の日も風の日も

頭を下げながら市内をくまなく回った、一番の功労者なのだ。


気まぐれで時折参加した人は、あと2~3人いる。

我々女性も、告示が近付いてからは回ったが

最初から最後までずっと続けたのは、この2人だけだった。

しかも無償である。


人数が必要な、重要かつ重労働には人手が無く

少ない仕事を順番に分け合うパソコン入力の内気部門と

茶をすすりつつタムロする自称接待部門だけが

掃いて捨てるほど転がっていた選挙であった。

そしてまた、なぜかその人達だけが優遇される選挙でもあった。


引きこもりなのに、来てくれた…

悩みがあるのに、手伝ってくれた…

対話が苦手なのに、電話に出てくれた…

教育関係者の選挙では、商売柄“小さな頑張り”を称賛するあまり

他の者がないがしろになりやすい。


短い期限で勝敗がはっきりする選挙において

小さな頑張り組の人数割合だけが増えるのは、危険だ。

選挙事務所が、弱者を気遣う腫れ物サロンになってしまい

実際に票を拾う者に遠慮や不満が生じて

一人、また一人と志気が下がるからである。


どんなに素晴らしい理想を掲げようとも、まず勝たなければ

政治で弱者に手をさしのべることはできない。

それを肌で知る者は、悲壮な思いで歩み続ける。

ご主人2人にも、腹に据えかねることが多々あったようで

これは一席設けるしか無いだろう、ということになった。


彼らは年上なのに、決して威張らない。

娘くらいの年齢の私にも、友達として接する。

明るくてユーモアがあり、おしゃれで、とても若く見える。

まことに気持ちの良いお爺さん達だ。

こんな人達なので、負け戦の話題も、愚痴ではなく笑い話にしてしまう。

時の経つのも忘れて、ワイワイキャッキャと騒ぎっぱなしであった。


面白くないのがラン子さん。

自分がいかに貢献したか…の話題に持って行こうと、何度も果敢にトライする。

「私がああしたらね、あの人がこう言ってくれて…」

「あの時、私が強気で止めたから良かったけど、もし私がいなかったら…」


だが残念なことに、独りよがりの小自慢は

フルスピードで走る爆笑列車の搭乗キップにはならない。

ことごとく「ふーん」「へー」で軽く受け流されてしまうので

しまいには「娘が買物に連れて行ってくれない」と、しくしく泣き出した。

泣き上戸ではない。

下戸のラン子は、このところの寒さで情緒不安定になっているのだ。


60代夫が、びっくりして私に叫ぶ。

「みりこんさん、あんた、こんな自分勝手な女とよくつきあえるな!」

    「あ~ら、私、振り回されるの好きよ」


座は、ラン子がいかにわがままかという話題で、さらに盛り上がる。

    「こないだはさ、家に幽霊が出るって

     自分が幽霊みたいな声で夜中に電話かけてくるからさ

     塩でもまいとけって言ったのよ」

「ギャハハ」

    「ほんとに幽霊がいたら、溶けて水になるから

     よく見とけって言ったらさ

     水になったらどうすりゃいいんだって、泣くのよ」

「ワハハ」

    「水になったら電話しろって言ったら、それきり電話が無かったわ」

「で、水になった?」

ラン子は「恐くて、まいてない!」と、さらに泣いた。


60代が、真面目な顔をして問う。

「みりこんさん…幽霊がいたら、塩が水になるって本当なの?」

    「知らん」

「ギャハハハ!」

ラン子、話題がやっと自分に向けられたので、満足そうな様子である。


楽しい忘年会…“たのぼう(みりこん語)”も終わりに近付いた。

「私達だけ飲んで、ごめんね」

皆、送迎係を引き受けた私に申しわけながる。

    「なんの、わたしゃ年々飲み方が上達してね

     最近じゃ飲まなくても酔えるようになったのよ~」

おばんのオヤジギャグに、手を打って喜ぶ一同。


「長いこと生きてるけど、こんなに楽しい忘年会は初めてだよ。

 僕達の選挙は、これでやっと終わりました。

 皆さん、本当にありがとう」

2人の男性は、女性陣に深々と頭を下げる。

同じメンバーで楽しい新年会…“たのしん(みりこん語)”の約束をして

お開きとなった。


飲まなくても酔えるのは、本当。

酒を飲んでも酔わないんだから、別に飲まなくてもいいのではないかと

前からちょくちょく思っていたが、自分で言って、はっきりした。

私は酒豪ではなく、年から年中酔っぱらいだったのだ。

新たな発見であった。
コメント (73)
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